8月4日 NHKBS1「国際報道2020」
2018年冬の平昌オリンピックの開会式で話題になった
ピタ・タウファトファ選手(トンガ代表)。
南太平洋の島国トンガの民族衣装を身にまとい
寒さをものともせず行進した。
平昌オリンピックではスキーのクロスカントリーに出場したタウファトファ選手。
本来は夏の競技であるテコンドーの選手で
来年に延期された東京オリンピックへの出場もすでに決めているが
実はもうひとつ別の競技にも出場しようと飽くなき挑戦を続けている。
トンガ代表のピタ・タウファトファ選手(36)。
4年前のリオデジャネイロ大会で初のオリンピック出場を果たし
いまは来年に延期された東京大会に向けてオーストラリアを拠点に練習に取り組んでいる。
(タウファトファ選手)
「(夏・冬・夏と)3大会連続の出場権獲得は
決して簡単なことではなかったです。」
タウファトファ選手はトンガの人たちの誇りである。
「彼はスーパースターよ。
オリンピックへの彼のあらゆる挑戦を応援しているわ。」
実はタウファトファ選手は東京大会では新たな競技にも挑戦しようとしている。
カヌースプリントのカヤックである。
(タウファトファ選手)
「常にレベルアップすることが人生です。」
カヤックの競技経験は無し。
専属のコーチもいなかった。
最初に使ったのはレクリエーション用のボート。
漕ぎ方は見よう見まねだった。
去年の8月に初めて臨んだ国際大会では
スタート地点に艇を止めることすらままならず
制止できないままレースが開始。
無残な結果に終わった。
(タウファトファ選手)
「自分でも訳が分からず
すごく悲惨だったけど
それよりも次をどうするかです。」
無謀ともいえる挑戦の原動力。
それは
10年ほど前から支援している
貧困などに苦しむ子どもたちを勇気づけたいという思いである。
一昨年からはユニセフの親善大使も務めている。
(タウファトファ選手)
「誰しも困難にぶつかります。
身をもって困難は克服できると示したいのです。」
東京オリンピックの延期にもタウファトファ選手は
“トレーニングできる時間が増えた”と前向きである。
手作りの機械でひたすら練習に打ち込んできた。
体の軸がぶれなくなったことで力を効率よく使えるようになり
この1年でタイムを10秒以上縮められたという。
あと数秒縮められればオリンピック出場が見えてくると
追い込みをかけている。
(タウファトファ選手)
「自己新記録を出すために
さらにバランスを高める必要があります。
あともう少しです。」
新型コロナウィルスの影響は世界中で続いているが
タウファトファ選手は
多くの人が不安を抱える今だからこそ
オリンピックの舞台で伝えられるメッセージがあると考えている。
(タウファトファ選手)
「世界中が参加するオリンピックが今ほど重要な時はありません。
カヤックで海を渡ってでも
東京大会に出場したい。」
自らの限界を打ち破り
世界に勇気と希望を送りたい。
熱い思いを胸に
東京オリンピックを目指し続ける。