3月27日 おはよう日本
ジャズバイオリニスト 寺井尚子さん。
バイオリンでジャズというのは世界でも珍しい存在である。
この演奏スタイルは寺井さんは独学で切り開いてきた。
今ではジャズバイオリンの第一人者として世界を舞台に活躍している。
寺井さんは今年プロデビューから25年の節目を迎える。
(寺井尚子さん)
「ジャズにもいくつかの約束事はあるが
コード進行とか。
弾くメロディー自体が自由なわけです。」
楽譜にとらわれずその瞬間に浮かんだイメージをそのまま演奏するのが
寺井さんのジャズバイオリンである。
寺井さんはもともとはクラシックの演奏家を目指していた。
しかし15才のとき腱鞘炎にかかり一時バイオリンを弾くことが出来なくなった。
心にぽっかりと穴が開いたように感じた寺井さんだが
レコード店で偶然手にした一枚がその後の人生を変えた。
“ワルツ・フォー・デビー”
世界的ジャズピアニスト ビル・エヴァンスの名演奏である。
寺井さんはその旋律の自由さに衝撃を受けた。
そしてバイオリンの世界ではほとんど演奏する人がいなかったジャズに挑戦することを決意。
(寺井さん)
「今までクラシックの音楽ばかりだったので
こんな世界があったんだと言う驚きと
血が騒いで涙があふれてくるような
体中が熱くなってエネルギーが湧いてきた。」
寺井さんはすぐにジャズバイオリンに取り組み始めるが教えてくれる人は誰もいない。
それでもあの日感じた自由な演奏に近づきたいと試行錯誤を繰り返した。
プロデビューは21才のとき
そして25年経った今も自由な演奏を追い求めている。
(寺井さん)
「自由になりたいと思えば思うほど
やらなくてはいけないことがたくさんある。
でもチャレンジしていることが楽しい。
もちろん失敗したらどうしようとかあるが
考えないでおこうみたいな。」
「節目の年を迎えて
また新たな始まりでもあるなと。
自分が挑戦したいなというものが見つかった時に
自由自在にパッと向かえるような自分で常にいられたらいいなと思います。」
寺井さんの原点の“ワルツ・フォー・デビー”。
これまでこの曲を大切にしていて人前で弾くことはほとんどなかったが
デビューから25年を経た今
新たなスタートとして
たまに弾いてもいいかな
と思えるようになった。
この曲は来月から始まる全国ツアーでも披露される。