10月17日 おはよう日本
中国人観光客が中国に持ち帰るのはお店で買ったものばかりではない。
着物を着て観光する中国人
お寺や神社をまわり日本文化を楽しむ人もいる。
なかでも人気なのだ日本庭園である。
上海に住む会社員の謝楽さんは自宅に日本式の庭を造った。
(謝楽さん)
「欧米風とは違って素朴で心いやしてくれる日本式の庭が好きなんです。」
謝さんは頻繁に日本に旅行に行くようになり
いまは庭園めぐりが欠かせなくなった。
日本ならではの魅力を感じていたいと自宅に日本式の庭を造ったのである。
物珍しさもあり謝さんの庭を近所から見に来る人もいる。
なかでも気にいているのが駐車場にある2畳ほどのわずかなスペース。
日本で撮影した写真をもとに小石を敷き詰め
竹で垣根も作った。
さらに小さな木も植え季節感も出した。
(謝楽さん)
「こけを少し加えたことで庭が生き生きとして見えるでしょう。」
もともと中国では池を作り大きな岩を配置するなど広い土地を使う大掛かりな庭が好まれてきた。
しかし経済発展に伴い都市部には高層マンションが立ち並び
落ち着ける場所や自然を感じられる空間が少なくなった。
狭い路地にわずかに残された空間ではこれまでのように大きな庭は造れない。
こうしたなか狭い空間を隅々まで活用して落ち着いた空間を醸し出せる日本式の庭が中国人を引きつけているのである。
中国の経済発展は日本式の庭造りブームに拍車をかけている。
インターネットには自作の庭を自慢するサイトがいくつもできていて中国全土から写真が投稿されている。
「灯篭が見え隠れしていいでしょ」
「黄色の石を置いたら色彩豊かになりました」
園芸のイベントでは日本式の庭を紹介する専門のブースまで設けられるようになった。
日本人の専門家による説明を受けられるので
日本を観光で訪れたことのある中国人はもちろん
ネットなどで日本式の庭の実ry句を知った若者や造園業者などが
そのノウハウを知りたいと相談に訪れるようになっている。
「日本式の庭はひと言で表せないですがシンプルさがよいですよ。」
日本式の庭造りブーム。
なかには本格志向の人も現れている。
上海の郊外に住む陸征崎さん(67)は自分で日本式の庭を造っただけでなく
部屋の中のちょっとしたスペースにも石を敷き詰めた。
(陸征崎さん)
「日本式の庭は手軽にお金をかけずに自分の工夫次第で作れるのが楽しいんです。」
陸さんは庭をより本格的にしたいと
上海で多くの庭を手掛けている日本人の建築家を呼んでアドバイスを受けた。
「足もとが見えるからちょっと隠したい。
さつきを入れるとかね。」
燈籠をきれいに見せるための木の配置などプロならではの工夫を教えてもらった。
(陸征崎さん)
「日本人の知識と技術は違いますね。
教えをこうことができてとてもうれしかった。
大変勉強になりました。」
(建築家 早川延幸さん)
「昔はお金持ちの方がやるケースが非常に多かったんですけど
一般の方がだんだん増えてくるということはやっぱりニーズが増えてくるんじゃないかと。」
工夫を凝らし心をいやしてくれる日本式の庭。
日本文化の魅力を伝えている。
10月17日 おはよう日本
愛媛県松山市の衣料品メーカー。
もともとは使われなくなった着物をリサイクルして洋服や小物を製造していた。
国内の着物の市場が縮小するなかで
国民の約8割がイスラム教徒というインドネシアに活路を見出そうと取り組みを始めた。
(衣料品メーカー 伊東信二社長)
「あらゆる自由なファッションを取り込むファッションになってきて
日本の伝統的な着物
帯、和の素材
日本の素材はいいものがたくさんあるので。」
人口2億5,000万。
インドネシアの首都ジャカルタ。
ピンクや黄色といった色鮮やかな服を着た女性の姿が目立つ。
イスラム教徒の女性は頭や体を布で覆う女性が多いが
インドネシアではその中でおしゃれを楽しむ女性が増えている。
専門家を通じてこうした変化を知ったこの会社では
色鮮やかな着物の生地なら現地の女性に関心を持ってもらえるのではないかと考えた。
(インドネシアの文化を研究 折田真一さん)
「大前提のなかに
“透けない”
“体のラインが見えない”
“手や足を足首・手首まで覆う”というのが前提にあるが
着物を見てみると満たしている。
そういう意味でも受け入れられやすい。」
こうした条件を満たしたうえで着物の魅力をアピールしようと会社ではデザイナーと検討を重ねた。
{和服としては柄が派手じゃないかと思うけど
ムスリム(イスラム教徒)の方が使うとなるとこういったものがいい。」
「刺繍とか派手なものじゃないしここらへんもいいんじゃないですか。」
試行錯誤の結果3種類の服が完成した。
グレーを基調にしたシックな装いには頭を覆うヒジャブの部分に豪華な着物の柄を施した。
紫を基調とした服は着物を意識して帯を縫い付けた。
袖の部分も着物風である。
(デザイナー 堀内ちはるさん)
「見てもらうとわかるが素材・染め・織りの良さは日本人が昔から培ってきたものなので
そういうものが土台にあるのでどんな形に作ってもすごく素晴らしいものに仕上がる。」
9月 着物で作った服を売り込もうとインドネシアを訪れた。
商談の相手はインドネシアで約150店舗を展開している大手の高級ブランドである。
色鮮やかなデザインでわき女性を中心に人気を集めている。
社長の伊藤さんはサンプルを持参した。
着物の帯で作った新作のジャケットも紹介した。
「日本の着物を着たときの帯。」
メーカーの反応は上々。
現地での販売に向けて価格やデザインの調整を進めていくことにした。
(衣料品メーカー 伊東信二社長)
「日本の素材はいいね
着物はいいねという気持ちになる方がひとりでも多く増えてくれれば
本当によかったなと思って
いまから頑張っていこうと思っています、」
10月15日 おはよう日本
2005年 パキスタン北部を襲った大地震。
7万人を超える人が死亡。
12万人以上がけがをした。
10年が経つが
地震によるケガで重い障害が残った女性たちの中には今でも社会から孤立している人たちがいる。
今年5月 首都イスラマバードで開かれたファッションショー。
駐在する各国の大使たちもモデルとして参加した盛大なイベント。
主役は胸元や頭で輝くビーズのアクセサリーである。
これは紙から作ったペーパービーズと呼ばれるビーズ。
いまパキスタンで大きな注目を集めている。
このファッションショーを企画したのは日本人の高垣絵里さん。
世界各地で開発支援を手掛けてきた高垣さん。
4年前 パキスタンに拠点を移した。
パキスタンで仕事をする中で高垣さんが目の当たりにしたのは
女性の社会的地位があまりに低い現実だった。
パキスタンでは学校に通わせてもらえずに労働にかり出されるケースや
10代での児童結婚などが横行している。
10年前の地震で最も苦境に立たされたのはその女性たちだった。
大けがをして働くことができなくなったことで厄介者とされ
家族から見捨てられる女性が続出したのである。
路頭に迷った女性たちの中には地震から10年経った今も保護施設での生活を余儀なくされている人が少なくない。
「『障害がある子が生きていくのは無理だ
車いすの生活は家族の重荷だ』と言われ生きるのが嫌になりました。」
「地震で人生のすべてが変わりました。
『死んだ方がましだ』と大勢の人に言われました。」
社会からも家族からも見捨てられた女性たち。
ところがそんな中でも生きる希望を失わない女性に出会い高垣さんは衝撃を受けた。
(高垣絵里さん)
「自分の手で何かがしたいとおっしゃって
その言葉が忘れられなくて
その生き方にすごい感動して
彼女たちのために役立ちたいと考案したのがペーパービーズ作りでした。」
内に秘めた女性たちの願いをなんとか叶えたいという思いに突き動かされた高垣さん。
2年前にビーズを作るグループ「ペーパーミラクルズ」を設立。
生涯がある女性たちとビーズ作りを始めた。
限られた予算でも活動できるように材料になる紙は使わなくなったカレンダーやチラシを使う。
国内の支援者から無料で提供されている。
(高垣絵里さん)
「普通の人にしてみれば単なるごみの山にしか見えないと思うんですけど
みんな1人1人
個人・企業の方だったり
そういう方たちが寄付してくださる紙なんで
いろいろな方に支えられているとつくづく感じます。」
ビーズ作りは集められた紙を色合いを考えられた紙を細長く裁断することから始まる。
それをひとつずつ丸めていくことでビーズの形にする。
集中力が必要だが障害がある人でも指先さえ動けばできる仕事である。
紙のデザインはモザイクのような柄を作り出すよう
平面積とは異なる独特の輝きが魅力である。
活動は現在貧困層の女性たちも含め200人が参加するようになった。
作ったビーズは1つ2円~3円で買い取ってもらう。
外に働きに出ることが難しかった女性たちにとって貴重な収入である。
多い人で月に1万3,000円ほど。
公務員の初任給の半分ほどになる。
一度は社会から見放された女性たちはビーズをを作ることで再び生きる希望を取り戻している。
施設で暮らすシャヒーンさん。
地震で崩れた建物の下敷きになり下半身が不自由になったのは16歳のとき。
被災直後から病院を転々とし
3年前にこの保護施設にたどり着いた。
生きる意味を見失っていたシャヒーンさんだが
いま自分は社会の役に立っていると実感できるようになったという。
(シャヒーンさん)
「アクセサリーを買った人が喜ぶのはうれしいし
自分にも何かできるという自信になります。」
前向きな気持ちになれたことで生活にも変化が現れている。
積極的に外出しショッピングなどを楽しむようになった。
さらに障害を負ったことであきらめいた夢を再び目指したいという気持ちも芽生えている。
(シャヒーンさん)
「以前は歌手になりたかったんです。
そのためには自立することが必要でした。
いまもう一度夢を実現させたいと思います。」
高垣さんはペーパービーズの活動を広めることで
女性たちが社会で輝ける環境を作っていきたいと考えている。
(高垣絵里さん)
「ちょっとしたきっかけで自信を取り戻すとすぐ性格も変わるし表情も変わる。
小さな夢でもいいのでそれを見つけてちょっとずつ前進していくのが大事じゃないかと思うので
あきらめずに常に前向きな姿勢で向かっていってほしい。」
10月15日 おはよう日本
外国人に日本語を教えるボランティアをしている高瀬三枝子さん(66)。
よどみない英語は還暦目前になってからの語学留学で見につけた。
3人の子育てにひと区切りついた59歳のとき思い切って海外留学に挑戦。
オースタラリアやアメリカなどで英語を磨いた。
(高瀬三枝子さん)
「やっぱり一生に一度の人生。
思い切りがなかったら何もできない。
今のうちしかないと思って。」
高瀬さんのようなシニアが増えるのを旅行会社側もチャンスととらえている。
この会社では行先や期間の異なるシニア専用の留学コースを用意している。
海外生活は初めてという人も多いため出発前には不安を取り除くためのカウンセリングを行う。
(ユナイテッドツアーズ 平田舞さん)
「昔行ってみたかったけどチャンスがなくて
今やっとという方がすごく多く。
ますます活発なシニアの方が海外に出てもらえるんじゃないかと期待。」
若者におなじみのゲームセンターでもシニア獲得に力を入れている。
「メダルの入れ方
ゲームの進め方などを説明させていただきます。」
ゲームセンターが開催したシニア向けの無料体験ツアー。
(参加者)
「楽しい。
なかなか機会がないので。」
少子化で若者客の増加が今後見込めないなか
シニア層には時間的にも経済的にも余裕があると期待している。
50歳以上の会員にはゲームで使うコインを増量サービス。
店長クラスの従業員は介助の資格も取った。
こうした取り組みを進めて3年余
いまや客の2割をシニアが占めるようになったとみて会社側も手ごたえを感じている。
一方 仕事を続けることにこだわるシニアも増えている。
9月に開かれたビジネス交流会には退職後に企業を目指す人たちが集まった。
(参加者)
「現役のときと違ってお金優先ではなく
仕事を楽しみながら
いいなと思うことをやろうと。」
2年前に会社を起ち上げた布袋田晋さん(68)は現役時代は家電の販売に携わっていた。
家電量販店に営業マンを派遣するなど企業の営業を代行している。
40年間の会社勤めのノウハウを生かしたいと考えたのである。
この日はマッサージ器のメーカーに店頭での松蔭の並べ方などアイデアを出した。
(布袋田晋さん)
「自分で組み合わせ使えるシーンが想像できるようにしておけばいい。」
5年で創業したこの会社は今では60人以上の社員を抱えるまでに成長した。
(布袋田晋さん)
「仕事をやりとおせる。
生涯現役が自分の目標。
仲間もたくさんできるし楽しい。」
高齢者の起業をサポートする会社も登場している。
現役時代の人脈や専門性をどのように生かすかなどをアドバイス。
これまでに600件余の起業を手助けしてきた。
(銀座セカンドライフ 片桐実央社長)
「在職中から起業について関心を持つ方が増え
定年後退職したらすぐ始められるように準備しておく片が一般的な流れになると思う。」
高齢化が進むなかで活躍の場を広げるシニアたち。
その勢いはさらに増していきそうである。
10月14日 キャッチ!
サイバー攻撃からアメリカの企業をどうやって守るのか
10月に首都ワシントンの商工会議所で開かれたサイバー攻撃対策会議。
エネルギー企業や航空会社など民間企業の代表者らが集まり
アメリカ政府の高官も参加した。
(ホワイトハウス サイバー問題担当官 M・ダニエル氏)
「サイバーセキュリティーの対策は21世紀の最大の挑戦のひとつだ。
サイバー空間での収奪はより手口が巧みになり頻繁に起こるようになっている。」
サイバー攻撃による企業などに被害はこの6年間で5倍に急増。
中でもアメリカ政府が懸念するのは中国である。
アメリカの連邦捜査局は今年7月に製作したビデオではサイバー攻撃による被害の実情を紹介している。
攻撃を仕掛けるのは中国の産業スパイ。
「トイレをお借りしてもいいですか?」
しかし男はトイレに行かずに『オフィスを徘徊。
パソコンにUSBメモリーを差し込む。
「何をしているんですか?」
「申し訳ない。
ウェブメールをチェックしようとしただけです。」
「FBIだ!」
手を挙げろ!
ゆっくり立ち上がれ!」
実際の事件をもとにFIBの容疑者逮捕を描いている。
FBI捜査官 ディーン・チャペル氏は取材に対し
産業スパイ事件の8割以上に中国が関与しているとの疑いがあり
多くはサーバー攻撃によるものと見ていることを明らかにした。
(FBI捜査官 ディーン・チャペル氏)
「産業スパイの主な手口がサイバー攻撃です。
民間企業や政府などを標的に攻撃は成功しています。」
アメリカのセキュリティー会社は中国によるサイバー攻撃の巧妙さを指摘している。
アメリカ政府と数百もの企業をクライアントに持つサイバー攻撃の対策ソフトを開発する会社は
企業秘密を盗むソフトウェアは普通のメールを装って送信されるが
発信音は巧みに偽装され特定は困難だという。
(セキュリティー会社 エンジニア J・シャップ氏)
「発信元がロシアとアメリカである場合も単なる経由地に過ぎない。
中国は発信元であることを隠して10カ国以上経由して送信しています。」
(セキュリティー会社 CEO A・ゴーシュ氏)
「中国のハッキング能力はトップレベルです。
アメリカ企業の対策を熟知しており
通常のウイルス対策ソフトやファイヤーウォールを破る技術を日々開発しています。」
一昨年のクリスマス商戦の最中
アメリカ全土で2,000もの店舗を展開する企業が大規模なサイバー攻撃に合い
1億人を超える顧客の電話番号やメールアドレス、住所などの個人情報が盗まれた。
(アメリカABC 201年1月放送)
大手スーパーのサイバー事件に新たな衝撃です。
予想を3倍も超える被害が出ていました!
大規模な被害が頻発する事態を重く見るビジネス界は
9月 対策会議を開いた。
被害に合った企業の副社長が
サイバー攻撃は今やすべての民間企業が対象になると警鐘を鳴らした。
(大手スーパー副社長 B・マリオリノ氏)
「1年前は中国が企業情報をねらうとは思えなかった。
今は国に比べれば小さい企業をも標的押している。」
身近に迫る危機に会議の参加者らは政府に対し抜本的な解決策を求めた。
(会議参加者)
「ビジネスがサイバー攻撃に脅かされています。
今や一番警戒しないといけません。」
「中国はすべての産業を標的にしているようだ。
米中の首脳会談で解決してほしい。」
10月13日 おはよう日本
台湾企業が買収した静岡県伊東市の旅館。
創業50年近い旅館を30億円かけて改装し
去年 リニューアルオープンした。
離れの個室は1泊1人当たり最も安い平日で11万円。
それでも来年3月まで台湾のツアー客でいっぱいである。
建設会社社長(55)は日本を20回以上訪れていてこの旅館に泊まるのは8回目。
「家に帰ったような落ち着いた気持ちになる。
台湾では一生懸命仕事をしているのでご褒美としてきている。」
(旅館 フロント担当)
「7~8割が海外のお客様。
だいぶ多くなっている。
東京で買い物をすることが多いと思うが
こちらでゆっくり過ごしていただくことをメインにやっている。」
全国でホテルの売買を仲介する会社は
中国や台湾の投資家から日本のホテルを買収したいという依頼が増えているという。
(ホテル旅館経営研究所 辻右資所長)
「中国のオーナーも旅館を買って自分でやりたい人が増えてきた。
北京五輪でホテルがいっぱい建って景気をよくして
今回も日本でホテル投資をしてみたい。
旅館を買って自分で経営したい。
その自信があるからです。」
9月にホテルを買収したばかりの企業もある。
中国の中堅旅行会社の社長 虞丁心社長(45)は
下見をしたその日に修善寺温泉のホテルの購入を決め
6億4,000万円で買収した。
旅行会社を経営する強みを生かし中国の団体客を呼び込む戦略である。
(虞丁心さん)
「一目ぼれで買いました。」
平成6年に開業したホテル。
日本人観光客の減少とともにここ数年赤字が続いた。
大規模に改修し部屋数を50ほど増やせば採算がとれると考えている。
買収の翌日新オーナーとして始めてホテルに姿を現した社長。
従業員を集めて説明会を開いた。
従業員は戸惑いを隠せない。
(虞丁心さん)
「私たちの会社が正式に子のホテルを経営することになりました。
皆さんと一緒に頑張っていきたい。」
日本の客に昔ながらのおもてなしをしてきた従業員たち。
文化や習慣の違う外国人にどんなサービスをすればいいのか
不安の声が上がった。
(従業員)
「お風呂に中国の人が入るとき立ってかける。
それも水。」
(経営側)
「中国は温泉がないのでそれは厳しく指導してあげてもよいのでは。」
(従業員)
「お客様に提供する食事はバイキングになるのか。」
(経営側)
「経営のスリム化を考えるとバイキング対応をしないといけない。」
新たな経営者を迎えての再スタート「。
従業員全員の雇用は守られることになった。
外国人旅行客に対応するため従業員も変わろうとしている。
(従業員)
「頑張ってみようかなと。
前向きになった。
不安な気持ちから。
変わらずに来た会社なので逆にいいかなと。」
今後は東京でもホテルを買収し事業を広げようと考えている。
(虞丁心さん)
「我々の得意分野なのでもうける自信があります。」
相次ぐ外国資本によるホテルや旅館の買収。
外国人旅行客が右肩上がりで増え続けるなか
今後こうした動きはさらに加速しそうである。
10月13日 キャッチ!
首都テヘランで開かれた産業機械などの国際見本市。
15回目を数える今年は日本を含む約20カ国から去年より35%多い800社余が参加した。
参加企業が増えた背景にあるのが核開発問題をめぐる最終合意。
近い将来 経済制裁が解除されることへの期待が高まっている。
世界屈指の資源国として知られるイラン。
自動車の生産を開発段階から手掛けるなど
高い技術力を持つ工業国としても知られている。
人口も7,800万と中東最大級で
制裁の解除後は最大で7%の経済成長が見込まれている。
日本のブースは去年の2倍近くを確保し存在感を示そうとしている。
日本からは去年の3倍を超える18社が出展。
資源開発や建設
それに自動車や食品など幅広い分野で品質や技術力の高さをアピールした。
(発電機メーカー 担当者)
「イランは大型のプロジェクトもあると思っている。
高い厳しい現場が想定されがお客様に使っていただけると思う。」
(包装機メーカー 担当者)
「包装は遅れているが
日本の包装機を持って来れば
もっと市場が開拓できるのではないかという大きな期待をもって来た。」
イラン市場を目指すのは日本だけではない。
特にドイツなどヨーロッパ勢は最終合意の直後から
閣僚や企業団を派遣するなど積極的な動きを見せてきた。
(ドイツ企業担当者)
「イランは重要な市場のひとつです。
ドイツ製は評価されています。
日本には負けません。」
外国企業の進出競争が激しさを増すなか
イラン国民の間でも近い将来外国製品などの品ぞろえが充実することへの期待が高まっている。
(市民)
「ドイツ イタリア アメリカの製品も好きです。」
しかし将来への期待が足元へ思わぬ事態を引き起こしている。
制裁の解除を待つとしていまある商品の買い控えが起きている。
外国製品を扱うテヘラン市内の家電販売店。
ここでも売り上げが大きく落ち込んでいるという。
(店員)
「売り上げは約6割減少です。
客は様子を見てから購入を決めるつもりです。」
より深刻な状況に直面しているのが国産品。
なかでも主要産業の自動車である。
新車の登録件数は4月~8月に15%減少している。
インターネット上では
経済制裁下の国内市場で圧倒的なシェアを持つイランの自動車メーカーへの反発から
買い控えだけでなく不買を呼び掛ける運動にまで発展している。
こうしたサイトでは
国内メーカーがイランの消費者に粗悪な商品を販売してきたと批判。
“価格が高いわりに安全性も走行性能も低い”
“ゴミを売りつけられた”など手厳しい書き込みもある。
ネットで不買を呼び掛けた人物の1人がネットで取材に答えた。
自らも国産車の不具合に悩まされているというこの人物は
品質や価格に加えサービスの是正を促すことが運動の目標だと説明。
そして“これは不当な価格への対決だ”として
呼びかけを車以外の他の製品にも広げる考えを示唆した。
国産車への逆風が強まるなか販売店にはあきらめムードも漂っている。
20%の値下げなど営業努力にもかかわらず店の売り上げはこの半年で半減したという。
(店員)
「外国車との競争によって国産車の性能は向上するので
客は将来戻ってくるはずです。」
10月10日 経済フロントライン
大手デパートの高島屋が日本橋の店の向かいに時計の専門店をオープンさせた。
特徴は超高級ブランドを含めたこだわりの腕時計を数多く取り揃えていること。
日本初上陸となるスイスのブランド。
LEDとレーザーポインターが付いていてスナイパー狙撃手をイメージした腕時計は205万円余。
約30年ぶりに復活したブランドの腕時計で世界で25本しかないという限定モデルは1296万円。
好きなものにはお金をかけてもよいという国内の顧客をターゲットにしている。
(高島屋 日本橋店長 亀岡恒方さん)
「限定モデルを求められるお客様とか
値段が高くでも一生ものだったら人の持っていないもの
それを探される方が非常に多い。」
こだわりの商品を求める流れは足もとにも及んでいる。
いま1990年代に匹敵するスニーカーブームが起きている。
渋谷にある店は世界の20以上のメーカーから取り寄せた2000種類を超えるスニーカーを扱っている。
(スニーカーショップ キックスラボ 斉藤裕子さん)
「お客さんの数は平日だと500~600。
休日はもっといく。
ブームというより本当に人気が定着している。」
カラフルな女性向けのスニーカーからかつて爆発的な人気を博したスニーカーの復刻版まで。
お目当ての商品を求めるお客が後を絶たない。
定番と言われる商品に細部へのこだわりを施した特別なスニーカーは
「Made in Japanということで靴ひもがコットンになっていたりホールがアルミになっていたり
こだわって作られている。」
(お客)
「もう出会いです。
気に入ったらこれがいいという感じで買う。」
「いいものであればお金は使う。
靴で2万円とかは普通。
部屋にも飾ってある。
そのくらい好き。」
10月10日 経済フロントライン
大手電力会社は危機感を募らせている。
東京電力はこれまで外部に委託してきた安全点検を直接社員を当たらせている。
顧客との接点を増やし要望をヒアリングするためである。
「電力の自由化が始まってお客様が重視するポイントは?
いろいろな電気料金メニューをいま考案中でして
さらにお安くできるメニューがございましたら私の方からぜひ提案させていただきたい。」
(客)
「昔は官庁と一緒でふんぞり返って“電気売ってやる”という雰囲気があったけど
今はお客様 お客様ということでだいぶ腰が低くなってサービスもそれなりに良い。」
経営体質の見直しを迫られる東京電力。
自由化を見据えて競争力を強化しようと発電所でもコスト削減を進めている。
火力発電所では2年ごとに点検が必要である。
発電を止めて実施することから1日に1億円以上のコストがかかる。
その点検の日数をいかに短くできるか。
今年から経営幹部に加わったトヨタ自動車の元常務とともに数百項目にのぼる作業を見直している。
(トヨタ自動車から招へいされた 内川晋特任顧問)
「こっちを外している時には前の部位は取り付けを始める。
こっちの部位は同時に分解を始める。
もっと上手にやれる方法をぜひ考えてください。」
例えばファンの点検。
これまでは羽を手作業で寝かせ片面ずつ点検していた。
これを見直し羽を立てる台を作成。
両面を同時に点検できるよう改善した。
点検期間を1日半短縮につながった。
足場も新たに設置。
これまでは点検の度に仮設の足場を組んでいたため非効率だったという。
(東京電力 常陸那珂火力発電所 風見倫良所長)
「1,5日の短縮でそのメリットは全体で2~3億円程度と考えている。」
こうした細かい積み重ねで全体の点検日数は80日から50日に短縮。
この発電所だけで50億円ほど削減できるという。
(東京電力 常陸那珂火力発電所 風見倫良所長)
「1分でも1秒でも短くすることがコストダウンにつながる。」
この自由化を境にですね
とにかく競争に打ち勝ってきちんと利益を上げていける企業に生まれ変わる必要がある。」
10月10日 経済フロントライン
今年8月IT大手の楽天が電力小売りを行うと表明した。
(楽天 三木谷浩史社長)
「述べ1億人の会員と顧客企業がいる。
それを活用し電力ビジネスに革命を起こしたい。」
この会社は来年4月に始まる家庭向けの自由化を見据え
すでに自由化されているホテルなど事業所向けに営業攻勢をかけている。
自社の旅行予約サイトに登録している全国3万軒にのぼるホテルや旅館がターゲットである。
長野県南牧村のホテルでは楽天と契約したことで電気料金が約7%削減できた。
楽天は発電設備を持っていない。
そこで複数の発電会社から電気を購入。
時間帯などで最も安い会社を選び
それらを組み合わせてホテルに提供することで電気料金を安くしている。
(八ヶ岳グレイスホテル 小塩智也支配人)
「お客様に対するサービスの質は下げられない。
サービスの質を下げずに電気代の削減ができた。
私たちにとってもうれしいサービス。」
楽天では事業者向けと同じようなサービスを家庭でも提供しようと考えている。
ネット通販の会員を対象にポイントをつけるなどの特典を打ち出し
家庭向けでも契約を増やしたいとしている。
(楽天 エネルギー次号 菅原雄一郎事業長)
「やはり楽天というとポイント。
ポイントを上手く戦略的に活用して今までと違った形の電力会社の姿というのが描ける。」
さらに楽天は再生可能エネルギーによる電力も売り出そうとしている。
国内最大規模の発電所を持つ大手商社丸紅と提携。
小規模な水力発電の開発にも乗り出している。
「落差40mぐらい水を落として水車を回して発電する。」
比較的建設コストが安く済むこうした発電所を5年後に全国30か所に作りたいとしている。
水力発電の開発に消費者にも参加してもらうことを検討している。
再生可能エネルギーを支持する消費者に発電所の建設に出資してもらおうというのである。
(丸紅幹部)
「自分で電気を作って自分で消費するという形に持っていきたい。」
(楽天 エネルギー事業 菅原雄一郎事業長)
「今までなかった新しいバリューを組みことで差別化する。
結果としてお客様に選んでもらう。」
10月10日 経済フロントライン
イギリスの消費者は複数ある電力会社から価格やサービスを比較して自由に選ぶことができる。
ロンドン郊外に住むコーンファインさんは9月に電力会社の契約先を変えた。
以前の会社と比べ23%料金が安くなる試算である。
コーンファインさんは値段が安くなる会社を求めてこれまで6回契約先を変えてきた。
(コーンファインさん)
「テレビも洗濯機もオーブンも同じように動くし
新たにパイプや電線を増設するわけでもない。
コストで電力会社を選んでいる。」
コーンファインさんがA社からB社に契約先を変える場合ネットで申し込むだけ。
電線やメーターを変える必要はない。
イギリスで家庭向けに電力を販売している会社は29社。
消費者が選びやすいよう価格やサービスを比較できるサイトも登場している。
このサイトを運営する会社ではコールセンターを設け
電力会社を変えたいという消費者の相談に応じている。
「乗り換えた方が安くなります。
ガス料金を含め年に約4万円削減できます。」
消費者が契約先を選ぶ基準は価格だけではない。
環境問題に関心があるストークスさんは去年
再生可能エネルギーだけで発電した電力を販売する電力会社に乗り換えた。
電気料金が高くなっても発電方法を自分で選択できることは自由化のメリットだと考えている。
(ストークスさん)
「値段ではなく再生可能エネルギーかどうかで電力会社を選んでいる。
より多くの人が使用すれば再生可能エネルギーの普及にもつながる。」
10月10日 おはよう日本
インドネシアの首都ジャカルタで行われた日本酒や日本産のワインをPRするイベント。
山梨県の7つの酒造メーカーが合同で開いた。
イスラム教徒も含め約200人が集まった。
(来場者)
「飲みやすいけれどほのかな苦みもあって気に入った。」
「私の知っているワインよりずっと香りがよくおいしい。」
用意したお酒が1時間もたたないうちにすべてなくなるほどの人気だった。
(酒造メーカー代表)
「インドネシアの方がこんなに日本酒に興味があり
来てもらえると思っていなかった。
大変うれしく思う。」
人口2億5千万のインドネシア。
国民の90%がイスラム教徒である。
イスラム教の戒律ではアルコールを口にすることは禁じられている。
そのため法律では認められていても多くの国民には飲酒の習慣が無かった。
しかし年間5%以上の高い経済成長に伴って次々と新しい飲食店がオープン。
日本や欧米の食文化が急速に浸透し
イスラム教徒でもお酒について柔軟な考えを持つ人たちが増えている。
インドネシアの大手酒造メーカーの売り上げは前の年に比べて10%余増加した。
しかしこうした風潮に保守的な人たちから反発の声も出ている。
(市民)
「酒は人間を破壊する飲み物。
特に若者には悪い影響を与えるだけなので禁止すべき。」
「酒は国が規制すべき。
全面禁止にした方がいいと思う。
若者も大人も関係なく何が何でも禁止。」
さらにイスラム政党は今年4月
いまの状況は国民の大多数がイスラム教徒の国にふさわしくないとして
アルコールの度数1%以上の飲み物の販売や購入を禁止する法案を議会に提出。
いまも審議が続けられている。
それでもどのような暮らしを送るかは個人の自由だとしてお酒を楽しむ人たちが増えている。
国際NGOで働くダニー・ヌルダディさんは
5年ほど前から女友達とバーなどに出かけてお酒を楽しむようになった。
週に2回集まりお酒と主に恋愛や家族の話に花を咲かせる。
お酒は人間関係の距離を縮めてくれると感じている。
「すぐに打ち解けることができるのでお酒は好き。」
「お酒を飲むと盛り上がるしふだんできない難しい話もしやすい。」
ダニーさんは自宅でもお客さんをもてなせるよういろいろな種類のお酒を買いそろえている。
暮らし向きが上向くにつれ好きなものを選択できる自由を大切にしたいと考えている。
(ダニー・ヌルダディさん)
「インドネシア国民の90%はイスラム教徒だが信仰の深さは人それぞれ。
お酒を飲むか飲まないかは個人のライフスタイルの問題で規制されるべきではないと思う。」
経済成長で生活を楽しもうという中間層が増えるインドネシア。
お酒への意識も変わってきている。
10月8日 キャッチ!
日本や中国と同じようにお茶が広く飲まれていた韓国。
ナツメ茶やゆず茶など様々なお茶が伝えられていて観光客にも人気である。
しかしいま韓国ではコーヒーが大流行で
ソウルではコーヒーの専門店が2~3軒隣合わせになっていることも珍しくない。
かつてコーヒーショップを見かけることはまれだった韓国に最大手のチェーン店が進出したのが1999年。
以後コーヒーが次第に韓国の食文化に定着し
この数年で一気に増えた。
韓国のコーヒー店は数々のチェーン店から個人経営のコーヒー専門店まで現在2万軒以上と推計される。
コーヒーをよく飲むようになった理由については
「仕事のストレスからいっとき解放される気分になれる」が多く聞かれる。
(市民)
「会社の短い休憩時間にコーヒー片手に話せばリラックスできます。」
「1日に6杯ぐらい飲みます。
良い気晴らしです。」
近年激しくなってきた競争を勝ち抜こうとお店側はさまざまな工夫を凝らして独自色を出そうとしている。
最近 急速に店舗を増やしているチェーンではコーヒーにオレンジの実とシロップを加えている。
オレンジ味をミックスしたコーヒー「オレンジビアンコ」。
こうしたコーヒーブームのなか今年韓国で初めてコーヒー豆の収穫に成功した農家がある。
場所は韓国南部のコフン。
チュ・ドンイルさんはもともと農業を営みコーヒーが好きだったと言う。
気候が温暖なこの地ならコーヒー豆の栽培がうまくいくと判断して3年前に引っ越してきた。
ビニールハウスで育てているコーヒーの木は約6,000本。
今年になって初めて実がなり
5月の初収穫では600キロにのぼる豆が採れた。
(コーヒー農園経営 チュ・ドンイルさん)
「初めて実がなったとき“ビジネスになる”と確信しました。
韓国でも豆が栽培できるのです。」
チュさんはコーヒーで町おこしをしようと意気込んでいる。
他の農家でもコーヒー豆の栽培を指導するとともに
観光客にビニールハウスの中を見学してもらっている。
(観光客)
「コーヒーの木を初めて見ました。
国内で栽培できるのはうれしいです。」
見学のハイライトは農場で採れた豆を使ったコーヒーを味わう時間。
収穫して炒った豆でいれたコーヒーをお客さんにふるまっているのはチュさんの息子ボムジュンさん。
コーヒー豆の栽培にビジネスチャンスを感じて会社勤めを辞め父を手伝っている。
チュさんは今後コフンでコーヒーに関する大掛かりなイベントを開きたいと考えている。
(コーヒー農園経営 チュ・ドンイルさん)
「地元がコーヒーでより豊かになるよう自分が役にたてればいいと思います。」
コーヒーブームは都市から農村部にまで広がろうとしている。
韓国の飲み物と言えばコーヒー。
世界的にそう認知される日も近いかもしれない。
10月14日 編集手帳
無心になれば、
余計な力が抜ける。
これがむずかしい。
鎌倉時代の説話集『沙石集』に歌がある。
〈言ハザルト見ザルト聞カザル世ニハアリ思ハザルヲバイマダ見ヌカナ〉
言わない、
見ない、
聞かない、
は口と目を閉じ、
耳をふさげば何とかなる。
「思わない」のは至難の業である、
と。
「考えるな」と言われて逆に考え込み、
「力を抜け」と言われて力み返った経験は誰にもあるだろう。
尻を突き出し、
印を結ぶ忍者のように合掌する。
その人がキックの前にする儀式は精神統一の効験あらたかであったらしい。
五郎丸歩選手(29)である。
ラグ ビーのワールドカップ・イングランド大会で世界の強豪と互角に渡り合い、
日本代表が帰国した。
余計な力を抜くにはまず有り余る力が要ると言われるが、
五郎丸選手に限らない。
猛練習を通じて“思ハザル”無心の栄光を手にした面々である。
合掌する人の心模様をうたった高田敏子さんの詩を思い出す。
〈右の手の悲 しみを/左の手がささえ/左の手の決意を/右の手がうけとめる〉(『浅草観音』)。
祈りの合掌はなるほど、
仲間と組むスクラムにどこか似ている。