2月25日 おはよう日本
1冊数千円もするノートがなぜ今売れているのか。
こだわりの文具といえばいままでは万年筆だった。
1本10万円以上するものも。
ところが最近高級なノートが人気になっている。
1冊3千円以上するものもある。
売れ筋はA5など小型のもの。
持ち運びやすくすぐに取り出して書けるのが理由である。
丸善 丸の内本店 渡辺亮平売場長
「ノート自体の購入金額も上がっている。
品切れを起こすノートも出てきている。」
高級ノートの試し書きコーナーも設けた。
40代から50代の人たちの姿が目立つ。
「すべりやすいというか、すらすら書ける感じ。」
「あとから見直す大事なメモを書き留める場合には
値の張ったいいノートを使うようにしてます。」
メーカー側も高級ノートの開発に力を入れている。
モニター調査をしたところ
書き心地への関心が高いことがわかった。
そこで紙の滑らかさを追求することにしたのである。
紙の滑らかさの基準のひとつが“平滑度”という指標である。
紙を押さえて下から一定量の空気を吹き付ける。
その空気がまわりに抜ける時間を計ると
紙の滑らかさを数値化できる。
一般的なノートの平滑度は50程度。
80になるとかなりつるつるした感触になる。
100を超えると絹のような手触りといわれている。
開発に2年。
紙のプレス方法などを工夫して平滑度110超のノートが完成した。
発売から1ヶ月で2万冊を販売するほどの人気である。
アピカ商品開発部 八木浩史副部長
「紙の質をちゃんと伝えることによって
お客さんの反応がここまであるものだと
今回発売をした商品によって
それを気付かされたという感じはしています。」
パソコンでホームページ製作などの仕事をしている男性も
高級ノートを使い始めた一人である。
毎朝起きると真っ先にノートに向かう。
思いついた仕事のアイデアを書きとめたり
自分の考えを整理したり、
いまではこのノートが日常生活に欠かせなくなった。
3ヶ月に1度、2千円ほどのノートを買う費用も惜しくない。
高級ノートの人気について、
文具の評論家 高畑正幸さんは
“経済・社会の閉塞感”が影響していると指摘する。
多少お金をかけても
日々の積み重ねを手書きで残し、
充足感を得たいという現われだとする。
「高級な時計、高級な車はなかなか買いづらい世の中かもしれないが
ノートは数千円も出せば超高級ノートが買えてしまう。
せっかくだからいいノートを買ってきちんと書いて
自分のやっていることを書き記していくことに
注目が集まっているところはあるのかなと思う。」
この人気を背景にデジタル製品と組み合わせて使うノートまで登場した。
ノートは四隅にしるしが付いている。
普通のノートのように書き込み
書き終えたらスマートフォンで撮影する。
すると四隅のしるしを認識し、
ノートの内容がそのままスマートフォンに取り込まれる。
手書きのイラストもそのまま。
ノートでは出来ない書いた日付による検索が可能になり
手で操作して見返すことも出来る。
キングジム商品開発部 遠藤慎さん
「アナログにはアナログの良さがあると思う。
手軽にぱっと書ける。
そのときの気分で制約は無くすらっと書いて
書いたペン先の感触とかはずっと残っていくものなのかなと思う。」