ステイーヴィー・ワンダーが1976年に放った大ヒット・アルバムが「キー・オブ・ライフ」です。リリースされるや、いきなり初登場で全米アルバム・チャート1位となり、13週連続、計14週チャートの1位に輝いています。同年度のグラミー賞では4部門を制覇しました。
「キー・オブ・ライフ」は、スティーヴィーの持つ豊かな音楽性を遺憾なく発揮した、大傑作アルバムだと言えるでしょう。
『キー・オブ・ライフ』
「愛するデューク」は「キー・オブ・ライフ」に収録されている曲で、これもシングル・カットされるや大ヒットを記録、全米ソウル・チャート、全米ポップ・チャートの両方で1位になりました。
「デューク」とは、ジャズ界の偉人、デューク・エリントンのことで、スティーヴィーがナット・キング・コールと並んで最も敬愛しているアーティストです。
1975年のグラミー賞授賞式では、最優秀アルバム賞受賞後に「前年に亡くなったデューク・エリントンに捧げる」とスピーチしているほどです。
「愛するデューク」の、ホーン・セクションとドラムだけのイントロを聴くだけで、すでにワクワクしてしまいます。生き生きとしたビートに乗って流れてくるメロディーが楽しい。バックのホーン・セクションは、まるでビッグ・バンドのアンサンブルのようです。
そして『音楽には誰もが歌い踊る平等な権利がある。そしてそれは生活と切っても切れないもので、みんな全身でそれを感じることができるはず』というメッセージが込められています。人種や言葉の壁を超えた、人間にとってはなくてはならない音楽というものを、心から讃える歌詞が歌われているんですね。
後半、同じメロディーが何度も繰り返されるごとにどんどん盛り上がり、スティーヴィーのソウルフルな歌声もテンションが高まってゆきます。
この曲の間奏は、ホーン・セクションとベースのユニゾンで演奏されています。みんなが気持ちよくスウィングしていて、とってもカッコいい。
ぼくが初めてベースを弾いた(弾かざるをえなかった)時、渡された楽譜の中にこの曲があったんです。ろくに指も動かない全くの初心者なのに、あんな長い間奏、しかもユニゾンでキメなければならない難しいフレーズが弾けるわけがないと思いました。でも、一ヶ月ほど「デューク」ばかり弾いた甲斐があったのでしょうか、本番でもヒヤヒヤものながら、無事弾き終えることができたのもいい思い出です。
歌詞の中にはエリントンのほか、カウント・ベイシー、グレン・ミラー、サッチモことルイ・アームストロング、エラ・フィッツジェラルドの名前が出てきます。スティーヴィーが愛してやまないグレイトなアーティストの名を登場させることで、彼らをリスペクトしているのかもしれませんね。
スティーヴィーの書く曲は、単なるブラック・ミュージックのカテゴリーにはとどまらず、さまざまなジャンルの音楽を貪欲に吸収し、消化しています。
「愛するデューク」もソウル、ポップス、スウィング・ジャズなどのエッセンスを取り込んだ、とても楽しいナンバーです。
この曲は2002年にはトヨタ自動車のCMに使われていたので、耳馴染みのある方もきっとたくさんいらっしゃることでしょう。
[歌 詞]
[大意]
音楽はそれ自体がひとつの世界で そこには誰でも理解できる言葉があり
みんなに歌い、踊り、手拍子を取る平等な権利があるんだ
レコードに溝が刻まれているからって 決まりきったことはしないこと
でも最初のAの文字から みんなが動き始めれば分かるはずさ
みんな全身で感じられるんだ そこら中に感じられる
みんな全身で感じられるんだ そこら中に感じられるのさ
音楽は知っているんだ それが生活に切っても切れないものだと
そしてそこには時間を経ても忘れられない 音楽の先駆者たちがいる
ベイシー、ミラー、サッチモ、そして全ての王者デューク・エリントン
エラのような声が鳴り響いても バンドは絶対に負けちゃいけない
君はそれを全身で感じる みんな全身でそれらが感じられる
君はそこら中にそれを感じる 僕も全身でそれを感じている
みんなそこら中に感じるんだ それが全身に感じないかい?
さあ、そこら中に感じよう 君も全身で感じられるさ みんな-全身で
■愛するデューク/Sir Duke
■収録アルバム
キー・オブ・ライフ/Songs in the Key of Life(1976年)
■シングル・リリース
1977年3月22日
■作詞・作曲
スティーヴィー・ワンダー/Stevie Wonder
■プロデュース
スティーヴィー・ワンダー/Stevie Wonder
■録音メンバー
スティーヴィー・ワンダー/Stevie Wonder(vocal, electric-piano, percussion)
マイク・センベロ/Michael Sembello(lead-guitar)
ベン・ブリッジス/Ben Bridges(rhythm-guitar)
ネイサン・ワッツ/Nathan Watts(bass)
レイモンド・パウンズ/Raymond Pounds(drs)
レイモンド・マルドナード/Raymond Maldonado(trumpet)
スティーヴ・マダイオ/Steve Madaio(trumpet)
ハンク・レッド/Hank Redd(alto-sax)
トレヴァー・ローレンス/Trevor Lawrence(tenor-sax)
■チャート最高位
1977年週間チャート アメリカ(ビルボード)1位 イギリス2位
1977年年間チャート アメリカ(ビルボード)18位
スティーヴィー・ワンダー『愛するデューク』
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現存されるミュージシャン達の中でも一際輝く存在のスティービーは・・・先日、日本で小室哲哉さん宅を尋ねた折りにテレビで拝見しました(@_@)
アルバムを一枚作るのに100曲近くの作品を考えるらしいです♪
偉大な方ですが、おごる事もなく、日本のCMの為にファイヤーも書き下ろしましたね☆
盲目な天才ですが、素晴らしい意外に言葉が・・・見つかりません(>_<)
もちろん、ウィ アー ザ ワールドも大好きでございます♪
この曲のタイトルがデューク・エリントンを指しているのは知っていましたが、そんなにいろんな名前が登場していようとは知りませんでした・・・
ヒアリング能力ゼロでーす♪(笑)
ウキウキソングですよね♪ 私もエレクトーンで弾きました。
このアルバムで一番好きなのは、「アナザースター」です♪
>アルバムを一枚作るのに100曲近くの作品を
自分の音には妥協せず、厳しいお方、という話は聞いたことありましたけど、やっぱりそうなんですね。
おクラ入りした曲でもいい曲がたくさんありそう。
キリンのCFですね。あれ良い曲すぎて15秒にまとまらなかったのでキリン側が作り直しを頼むとスティーヴィーが怒ってしまったそうですよ。
盲目の天才。でも天才ほど努力してるんですよね。。。
>ヒアリング能力
ご安心下さい。ぼくも歌詞読むまではさっぱり分かりませんでした。
(^^;)
ほんとに、どうやったらこんな楽しい曲が書けるんでしょうね。しかもこのアルバム全部がいい曲ぞろいだし。やっぱりスティーヴィーは凄すぎます。
このアルバムの中では、今「可愛いアイシャ」がCMになってますよね。「回想」も好きです。
友達4人でユニット組んで発表するぞ!ってがんばって練習してたんですよ。結局、発表できなかったんですけどね~
イントロと間奏はBa ba ba dot とか、Doot du du doot って声でやったんです。難しくて、ここの部分はいつも私が足を引っ張ってました
知り合いのアカペラやっている人がこの曲練習してたんですけれど、やっぱり断念してました。間奏では音の高低差が大きいのでかなり難しいみたいですね。
でもユニゾンがピシッとそろうと快感でした~
ぼくが最初に渡された楽譜はベース譜なので「ヘ音記号」でした。まだト音記号を読むのさえつっかえつっかえだったのにヘ音記号なんて読めるわけがない・・・(汗)。でもそのおかげで読譜力がつきましたよ(^^)。
私もとうとうこのCD盤を買ってしまいました。
また、気が向いたら更新してくださいねー
少し元気が戻ったら必ずや再開させますので、今後ともどうぞよろしくです~(^^)