私がキース・ジャレットを好きに…、あ、いかん、この言い回しでは誤解されてしまう、・・・キースのピアノが好きになった強烈なきっかけがこの『ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド』という曲を聴いたからなんです。
もともとはビリー・ホリデイが作ったブルージーな歌曲なんですが、キースはこれをゴスペル・ロック風に演奏しています。
「Standards,Vol.1」というアルバムの中に収められているのですが、ゲイリー・ピーコック(Bass)、ジャック・ディジョネット(Drums)とともに繰り広げるその演奏の素晴らしいこと!!
それまで私はなんとなくキースの作品が食わず嫌い(この場合「聴かず嫌い」ですが、「嫌い」というほどでもなかったので、単に「聴いていない」というだけのことですね)だったんですが、皇太子殿下の婚約(1992年)で日本中がお祝いムードに包まれていた頃、「皇太子の奥さんになる女性がキース・ジャレットのファンらしいぞ」という話をテレビのワイドショーだったかで聞きつけて、興味本位で聴いてみたのがその「Standards,Vol.1」だったというわけです。
感動しました。
もうこの一言です。とくに「ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド」に。耳だけで聴くのが惜しくて、もう全身で聴きました。自分の心がふるえているのをあんなに実感できたのは久しぶりでした。そして、キースのピアノそのものに加えて、三人の調和の素晴らしいことにも感銘を受けました。
音楽、もしくは「ある曲」を演奏するというのはその曲に生命を吹き込むことだ、ということを教えてくれた、私にとっての名曲・名演奏です。
◆ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド/God Bless The Child (1983年)
■作詞・作曲
アーサー・ハーツォグJr.、ビリー・ホリデイ/Arthur Herzog Jr.、Billie Holiday
■演奏
キース・ジャレット・トリオ/Keith Jarrett Trio
■プロデュース
マンフレート・アイヒャー/Manfred Eicher
■収録アルバム
スタンダーズ Vol.1/Standards Vol.1 (1983年録音)
■録音メンバー
キース・ジャレット/Keith Jarrett (piano)
ゲイリー・ピーコック/Gary Peacock (bass)
ジャック・ディジョネット/Jack DeJohnette (drums)
キース・ジャレット・トリオ 『ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド』(1985年2月15日 東京・厚生年金会館ホール)
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