【Live Information】
ザ・バンド。
ニュアンスとしては、「バンドの中のバンド」とでもいうような感じなのでしょうか。
若いころは血気盛んというか、とにかく日々あふれんばかりに元気が湧いてきていたので、聴く音楽も当然エネルギッシュなものが中心でした。
ビートルズに始まり、レッド・ツェッペリン、シカゴ、クイーン、ディープ・パープル、エアロスミスなどなど。
1970年代の終わりごろになると、ヴァン・ヘイレン、TOTO、フォリナー、ボストン、ジャーニーらが台頭してきます。
いろんなスタイルのバンドを聴いてみたいと思っていたのはもちろんですが、「みんなが知らないバンドを聴いてロック通だと思われたい」という強い強い自己顕示欲もあったので、片っ端から聴けるものは聴いていました。
ロックのガイドブックに例外なく「名盤」として載っている「ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク」にも、もちろん手を出しました。
でも、高校生の自分には物足らないというか、興味が湧かないというか、退屈な音楽にしか思えなかったんです。
派手なギター・ソロがあるわけでなく、アップ・テンポのハードな曲があるわけでもなく、パッとしない風貌だし地味な音楽だし。
その程度にしか思えなかったんですね、当時の自分としては。
いま思うと、ロック通を気取っていた当時の自分がハズカシイ
「その耳にあいている穴はなんのための穴?」と、当時の自分に問い詰めてやりたい~~
そんな自分の体にも、年を重ねるごとにブルースやフォーク、ジャズ、R&Bなどの良さが徐々に沁み込んできたのでしょう。気づけば、それらの音楽の良さや楽しさが自然に感じられるようになっていたんです。
そして久々に聴くザ・バンドの「ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク」。
「かったるい」と感じていたのがウソみたいでした。
もちろん「シブい」と感じましたが、そんな感想はありきたりすぎです。
「味わい深い」「熟成された」「まるで人生が反映されているような」、いろいろな言葉はありますが、当然一言で表せるものではありません。
なんといってもこのアナログな感じが良いのです。
「血の通った人間が演奏しているからこその温もり」とでも言ったらいいのでしょうか。
ザ・バンドは、主にレヴォン・ヘルム、リック・ダンコ、リチャード・マニュエルの3人がリード・ヴォーカルを取っているのですが、それぞれみんな個性が実に際立っています。
メンバー全員がマルチ・プレイヤーなのも音楽的には大きなメリットでしょう。
そして確かな演奏力。驚異的なテクニックを披露するわけではありませんが、彼らの演奏は安定しているばかりではなく、いつも熱がこもっています。
そして、アメリカのいろいろな要素がブレンドされている、ザ・バンドの音楽。
素朴なカントリー、フォーク、荘厳なゴスペル、黒人音楽の影響濃いブルースやジャズ、荒々しいロックンロールなどの、その芳醇な香りは、人間らしさや生きざまと相まって、味わい深い音楽として抽出されているのです。
名作「ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク」を発表したのは1968年7月1日。その時レヴォン・ヘルム28歳、リック・ダンコ、ロビー・ロバートソン、リチャード・マニュエルは弱冠25歳、最年長のガース・ハドソンでさえようやく30歳です。その若さでなぜあんなに成熟した音楽を創り上げることができるのでしょうか。
ことし1月21日に、ガース・ハドソンが亡くなりました。これでオリジナル・メンバー全員が鬼籍に入ってしまいました。
「ザ・バンド」とそのオリジナル・メンバーは歴史上の人物になってしまったわけですが、彼らの音楽はまだまだ生き続けます。
その中で、ぼくとしては「アイ・シャル・ビー・リリースト」と「ザ・ウェイト」に、これからも気持ちを揺さぶり続けられることでしょう。
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