生きている不動明王?!
令和元年6月29日
取り敢えず防火の段取りをし、
「住職さんに聞いてきます。」
と小走りで本堂の方へ。
恐縮の極み!
暫くの時間、鯉などを鑑賞。
白装束の着流しの住職さんが
後ろからついてこられる。
「貴方ですか。芭蕉の句は?」
「『山寒し こころの庭や
水の月』です。」
「ああそれならと・・・」
と率先して本堂前を横切り、
右奥へ案内して下さる。
「あの橋のたもと付近に見えるのが
そうですよ。」
と教えて下さる。
若い修行中の女性も、
「私も見に行きます。」
とご一緒する。
橋を越えた一角にある。
宝物を見つけたよう。
無明橋、「むみょうばし」だ。
芭蕉の句碑だ。
芭蕉の句は、
「山寒し こゝろの庭や
水の月」。
この句は、『芭蕉句集』には、掲載
されていない。
インターネットで調べると、やはり
芭蕉の句。
『奥の細道』より前の紀行の折の句。
季語は水の月で「秋」。
句意は山に登っていくと湖水に
写る月陰が見える。
吹きゆく風は早や晩秋のそれ
であり、心の底まで寒さを覚える。
澄んだ湖面の月と晩秋の淋しさを
感じる。
「うちの住職、凄い面相でしょう。」
「いやあ、活きた不動明王を見た
よう!」とその飾らない、修行を
超えた自然人を感じる。
「いいですね。ああいう住職さん
のもとで修行できて・・・!」
と言うと、
「はい」と、
ほんとに嬉しそう。
「芭蕉句碑巡りなんていいご趣味
ですね。」
と屈託もない。
久し振りに向上心や好奇心の強い、
明朗な若者に遭遇。
お蔭で最良、最高のひとときを
過ごすことになる。
深謝! 深謝!!