☆原作となった「クレヨンしんちゃん」云々は別にして、非常に面白かった。
内容は、『バック・トゥ・ザ・フューチャー3』の戦国版である。
主演の草なぎ剛がもっと面倒な演技をする作品かと思いきや、実に見事に、生真面目な戦国武士を演じていて、私は魅力を感じた。
姫(新垣結衣)に好意を持ちつつも、身分違いの恋を、自分の国防への使命で打ち消そうとする。
そんな相反する感情をうまく表現していた。
新垣結衣は、私の好みでないが、主人公のシンイチが「いつの時代でも女は強い^^;」と言うように、気丈に振舞いつつも、運命に従がう様が良かった。
・・・そう、時代は個人の幸せよりも、共同体の幸せを重んじる時代だった。
どちらがいいと言うわけではない。
より深く大きい「正義」が重んじられるのは、現在も過去も一緒だ。
故に、春日城の殿は、自分の娘である<れん姫>を、政略的に近在の有力者と結婚させようとしていたが、大きな勢力を持つ、その傲慢なるかな男(大沢たかお)との婚儀に、最終的には「否!」と言う答えを出し、合戦が始まることになる。
◇
メインキャラクターをはじめ、舞台となる春日城を形成する人々が味わい深く描かれていた。
そういった優しい視点は、監督が『三丁目の夕日』の作り手なのでお手のものだろう。
タイムスリップしたシンイチの持つ「ドラえもんの秘密道具」の如き未来のアイテムは、主に、戦国の人々とのコミュニケーションツールとして使用される。
◇
この作品のテーマは、「大切な人を守ること」にあろう。
そのテーマに準じて、丹念にエピソードを重ねていく語り口に、私はイーストウッドや黒澤と似たものを感じた。
それを説得力あるものに見せているのは、何よりも、舞台となる戦国時代の美術セットの素晴らしさだろう。
草なぎ演じる武士の住まいの、考証的なリアルさもあるし、各侍の衣服のくすみ具合や甲冑の汚れなども生活感が感じられた。
城に付随する城下町の雰囲気も、そこに生きている者たちの息吹が感じられた。
作り手は、あえて主人公たちを歩かせて、その背景の村人たちの生活を垣間見せてくれる。
上に春日城の全容を掲げているが、このような大規模な舞台の構築は、邦画史上でも稀だろう。
合戦時、背景の一部である漆喰の壁に矢が刺さったり、火縄銃の弾で壁が抉られる描写に興奮した。
・・・最後の合戦で勝利し、凱旋する主人公たちを、れん姫は物見櫓の上から降りて来て、城内を、「ワンカット」で走って迎えに行く。
その姫の移動の背景も完璧に構築されている。
家来や村人たちは、姫が通り過ぎていくと、当然のようにかしずき頭を垂れる。
そのような演出もそつがない。
見事である。
◇
惜しむらくは、現代からタイムスリップしたシンイチ役の子の演技に、あまりにもムラがある点だろうか?
元々が、この役は「クレヨンしんちゃん」だったわけで、作り手の戸惑いが感じられもした。
でも、その両親も、おってタイムスリップしてきて、三人で戦国見聞をすることになり、それ故に、家族揃って楽しめる<ファミリー映画>となったので良かったか?
合戦時に、『駅馬車』のクライマックスを彷彿とさせるが如く、シンイチファミリーの4WDが飛び出してくるところなんかたまらない^^
それから、もう少し、「タイムスリップ」自体にケレン味を加えることは出来なかったのか?
あまりにもあっさりし過ぎである^^;
(2009/09/08)
内容は、『バック・トゥ・ザ・フューチャー3』の戦国版である。
主演の草なぎ剛がもっと面倒な演技をする作品かと思いきや、実に見事に、生真面目な戦国武士を演じていて、私は魅力を感じた。
姫(新垣結衣)に好意を持ちつつも、身分違いの恋を、自分の国防への使命で打ち消そうとする。
そんな相反する感情をうまく表現していた。
新垣結衣は、私の好みでないが、主人公のシンイチが「いつの時代でも女は強い^^;」と言うように、気丈に振舞いつつも、運命に従がう様が良かった。
・・・そう、時代は個人の幸せよりも、共同体の幸せを重んじる時代だった。
どちらがいいと言うわけではない。
より深く大きい「正義」が重んじられるのは、現在も過去も一緒だ。
故に、春日城の殿は、自分の娘である<れん姫>を、政略的に近在の有力者と結婚させようとしていたが、大きな勢力を持つ、その傲慢なるかな男(大沢たかお)との婚儀に、最終的には「否!」と言う答えを出し、合戦が始まることになる。
◇
メインキャラクターをはじめ、舞台となる春日城を形成する人々が味わい深く描かれていた。
そういった優しい視点は、監督が『三丁目の夕日』の作り手なのでお手のものだろう。
タイムスリップしたシンイチの持つ「ドラえもんの秘密道具」の如き未来のアイテムは、主に、戦国の人々とのコミュニケーションツールとして使用される。
◇
この作品のテーマは、「大切な人を守ること」にあろう。
そのテーマに準じて、丹念にエピソードを重ねていく語り口に、私はイーストウッドや黒澤と似たものを感じた。
それを説得力あるものに見せているのは、何よりも、舞台となる戦国時代の美術セットの素晴らしさだろう。
草なぎ演じる武士の住まいの、考証的なリアルさもあるし、各侍の衣服のくすみ具合や甲冑の汚れなども生活感が感じられた。
城に付随する城下町の雰囲気も、そこに生きている者たちの息吹が感じられた。
作り手は、あえて主人公たちを歩かせて、その背景の村人たちの生活を垣間見せてくれる。
上に春日城の全容を掲げているが、このような大規模な舞台の構築は、邦画史上でも稀だろう。
合戦時、背景の一部である漆喰の壁に矢が刺さったり、火縄銃の弾で壁が抉られる描写に興奮した。
・・・最後の合戦で勝利し、凱旋する主人公たちを、れん姫は物見櫓の上から降りて来て、城内を、「ワンカット」で走って迎えに行く。
その姫の移動の背景も完璧に構築されている。
家来や村人たちは、姫が通り過ぎていくと、当然のようにかしずき頭を垂れる。
そのような演出もそつがない。
見事である。
◇
惜しむらくは、現代からタイムスリップしたシンイチ役の子の演技に、あまりにもムラがある点だろうか?
元々が、この役は「クレヨンしんちゃん」だったわけで、作り手の戸惑いが感じられもした。
でも、その両親も、おってタイムスリップしてきて、三人で戦国見聞をすることになり、それ故に、家族揃って楽しめる<ファミリー映画>となったので良かったか?
合戦時に、『駅馬車』のクライマックスを彷彿とさせるが如く、シンイチファミリーの4WDが飛び出してくるところなんかたまらない^^
それから、もう少し、「タイムスリップ」自体にケレン味を加えることは出来なかったのか?
あまりにもあっさりし過ぎである^^;
(2009/09/08)