『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭

ジュリアナから墓場まで・・・。森羅万象を語るブログです。
ここでは、気軽に読めるエントリーを記していきます^^

[映画『火天の城』を観た]

2009-09-15 19:39:44 | 物語の感想
☆よく出来た作品であった。

 時代劇の大作として、『BALLAD/名もなき恋のうた』を子供向きだと感じた人は、こちらも見れば、不満が解消されよう。

 また、私があれ程感心した『BALLAD』での小国のお城のセットが、こちらの『火天の城』の安土桃山城セットでは更にパワーアップされている。

 どちらがセット的に優れているかと言う問題ではなく、城のスケールの違いが段違いで分かる。

 繰り返すが、映画作品としての格の違いではなく、登場人物である小国の殿と織田信長の違いである。

 どちらも、その作品の設定上においては見事なのである。

 そして、この二作は、日本におけるVFX技術が、もう、どのような作品でも遜色なく作り得ることが証明された結果でもある。

   ◇

 安土桃山城はスケールが大きい城であった。

 しかし、この作品には、もっとスケールの大きいものがあった。

 主人公の娘役の福田沙紀、である。

 なんか、デカイぞ!^^;

 この子には悪いが、物語の前半、私は作品の質に完璧な思いを感じ続けていたので、この子の存在感が物語の大きなマイナスポイントに感じた。

 色んな意味で濃すぎるのである。

 いい女になっているのに、無理矢理「少女」っぽく見せようとして、丈の短い着物で登場させられているが、昔のエロ本のモデルが、三十路過ぎているのにセーラー服を着させられているような居心地の悪さがあった。

 でも、その福田沙紀の「M1号」っぽい口元が、父親である安土桃山城の築城の責任者・又右衛門役の西田敏行に似ていなくもないので、無理矢理に親子だと思うことにした。

          

   ◇

 福田沙紀問題さえクリアーすれば、物語はかなりの緊張感で進んで行く。

 これは、宮大工・岡部又右衛門と、築城依頼主・織田信長の勝負の物語である。

 下手に文芸大作風にしないで、勝負の構造をスタローン的に直に示してくれたのはエンターテイメント作品として懸命だ。

 その勝負の予選として、名立たる番匠(建築家)たちと、指図(設計図)プレゼンテーション対決をさせられるのも、物語の序盤を大いに締める。

 その設計図、建設予定デザイン図、立体模型と続く多角的なプレゼン方式には息を巻いた。

 面白い^^

   ◇

 岡部又右衛門チームのメンバーも個性的で魅力的だった。

 私は、この作品の緊張感の中での戦術性を、潜水艦物の映画と重ね合わせて見ていたのだが、・・・と考えると若頭役の寺島進は副キャプテン役で、いわゆるおいしい役どころを演じていたと思う。

 石工のリーダー役の夏八木勲も、眼帯がキワモノ臭いが、あまりある演技で良かった。

 圧倒的なプレッシャーは、定説よりもやや人間臭い魔王・信長から受け続けるのだが、

 その他にも、檜の大黒柱を得るために、又右衛門は、織田の敵対国である武田の領地に向かわなくてはならなかったりして、展開は矢継ぎ早で飽きさせない。

 武田領の木曾義昌の配下に、森の民の首領・甚兵衛を緒形直人が演じていてなかなか良かったのだが、又右衛門の甚兵衛との絡みなども、長大な物語の中でダイジェスト感を与えてくるようなことはなく、じっくりと見せてくれた。

 木曾義昌を、笹野高史がいつものとぼけた味で演じるのだが、この演技もやや安っぽくはあるものの、作り手は即座に、画面の陰影を濃くし、格調高く見せてくれる。

 又右衛門の奥さんを演じる大竹しのぶもうまい。

 苦境の又右衛門との問答の場において、私は、遠い記憶の彼方での『男女七人夏(秋か?)物語』での大竹しのぶの、有名な正面カットでの泣きの演技を思い出すのだった。

   ◇

 で、概ね満足できる作品だったのだが、不満もある。

 それは、あの信長暗殺のくだりだ。

 その安易なアクション導入に、私はしらけた。

 あれで私の鑑賞テンションはかなり下がった。

 美しい水野美紀の使い方も宜しくない。

 私は、村娘役の水野嬢は、信長に見初められて、又右衛門チームの一人(山本太郎)との間に悲恋を形成するのかと思っていた・・・。

 それと、西田敏行の演技だが、いかがだろうか?

 いや、うまいよ。

 でも、この人、いつも同じ演技だ。

 そういった目で見直すと、福田沙紀も、大竹しのぶも、椎名桔平も、寺島進も、
山本太郎も、熊谷真実も、西岡徳馬も、渡辺いっけいも、河本準一も、遠藤章造も、石橋蓮司も、笹野高史も、夏八木勲も、いつもの彼らの芸風と同じだ^^;

 それってどうなのだろうか?

 緒形直人だけは、ちょっと新鮮な個性を発揮していたが・・・。

   ◇

 終幕のさりげなさは、非常に良かった。

 作り手は、丁寧に語るべきところと、蛇足の無駄を良く知っているなあと感心した。

                                      (2009/09/15)
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[日教組について(1・プロローグ)]

2009-09-15 09:15:02 | 保守の一考
☆一昨日、[与党民主党考・3「日教組、不良教師を野放し」]と言うエントリーをしたら、同日、以下のようなニュースも入っていた。

   ◇

   《「自民を名乗るべからず」宮崎県連が中山氏の除名要請へ(朝日 2009年9月13日0時42分)》

 <自民党宮崎県連は12日、党紀委員会を開き、衆院選の宮崎1区に無所属で立候補し、落選した前国土交通相の中山成彬氏を除名処分にするよう党本部に求めることを決定した。
 中山氏は昨秋、「日教組が強いところは学力が低い」などの発言に批判が広がったことを受けて国交相を辞任。その後、衆院選不出馬も表明したが、7月の衆院解散後に撤回した。県連は公募で元参院議員の上杉光弘氏の擁立を決めていたが、党本部はどちらにも公認を出さず、結局共倒れになった。党紀委は中山氏の一連の行動を「党の規律を乱す行為」と認めたという。
 県連は同日、衆院選を総括するための会議も開いた。緒嶋雅晃会長は「中山氏の不出馬撤回が1区の敗因というのが皆の意見。今後は自民党と名乗って選挙に出ることは認められない」と話した。>

   ◇

 中山氏の日教組批判は正しい。

 しかし、中山氏、その波紋の各場面で、行動の撤回(発言撤回・不出馬撤回)を行なった。

 本人的には矛盾はないのだろう。

 ただ、その行動原理が、あまりにも狭い視野(一部マスコミのバッシングによる恐慌状態の自分の認識・周囲の数人の認識)に起因していた。

 当初の発言撤回や国交相辞任、不出馬宣言からして駄目だったのだ。

 国会議員の発言たるや、日本全国の人がメディアを通じ見聞きしており、その、例えば日教組批判などには多くの人が快哉を送っていたのに、そこに思い至らず、勝手な撤回を行なってしまった。

 そのような、自己の行動進路の選択ミスで、悪循環がインフレーションを起こし、このような結果になってしまった。

   ◇

 日教組が大きな力を発揮しだした日に、このような中山氏の失脚がニュースとなったのは運命的であるが、一連の経緯は、もちろん日教組の攻撃からなどではなく、中山氏の「自殺点」であり、まことに悔しい。

 中川昭一前財務相の落選も似たパターンだろう。

 しかし、中山氏や中川氏みたいな、筋の通った人物の復活なくしては、日本はすぐに傾くだろう。

 ・・・与党自民党には、芯の通った政治家が多数いた(過去形)。

 でも、悔やんでいてもしょうがないし、反攻を期さなくてはならない。

 周囲の人物は、失敗への怒りを収めて、盛り上げていってくれよ!

                                     (2009/09/15)
コメント (4)
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