minga日記

minga、東京ミュージックシーンで活動する女サックス吹きの日記

夕暮れライブとジャズ裏話@吉祥寺ズミ

2014年05月12日 | ライブとミュージシャンたち
知らない事だらけ。ズミのマスター、泉さんと会うと、次から次に面白いジャズの裏話が聞ける。もちろん、お宝レコードも!!音楽大学の講義をしたらいいのに、と思ってしまう。もったいないよ、沢山の音楽好きに聞かせてあげたいな。

昨日は井の頭公園の夕暮れを眺めながらのTReS ライブに来て下さってありがとうございました。

母の日で気持ちのいい五月晴れ、ということで吉祥寺は本当に賑やかでした。私たちもレコーディングがほぼ完了し、その中からの選曲もちらほら。このお店ならではの自由な演奏を楽しませてもらいました。

1セットと2セットの合間に、泉さんの裏話。「ダラーブランド」がデュークエリントンに発見され、デビューできた裏には「内助の功」があった・・・。



演奏後、お客様も帰ったあとで、さらにチーズとワインでおもてなしをして下さり、ヨーロッパのフリームーブメントについて・・・。


美味しい5種類のチーズ盛り合わせ!

驚いたのは、ペーターブロッツマンsaxの画集が・・・・。若かりしブロッツマンは絵描きでもあったのだ!!




この絵がなんとも素敵!右横にちらりと見えているのはペーターコヴァルト(ベース)の絵のレコードジャケット。


若いね、ブロッツマン。

そして、次に聞かせてもらったのが、JEANNE LEE/ジーン・リーというボーカリスト。ボイスとしてヨーロッパのフリーシーンで活躍した彼女はもともとはNYで歌っていたが、ヨーロッパに渡り、FMPで活躍するギュンターハンピルと結婚し、拠点をヨーロッパに移し、ボイスとして参加していく。ボイスという表記を初めて使ったのが彼女だそうな。

晩年、マル・ウォルドロンが広島原爆ドームを訪れた際、ショックを受け、その時に被爆した子供の詩に曲をつけた「白い雨、黒い雨」を歌ってもらえるのは、ビリーホリデイ亡きあとは、ジーン・リーしかいない、と彼女を喚んで広島ドームで8月7日にコンサートを行ったという話もある。

暖かな歌声。ジャズボーカルはこんなに自由なのだ!今でこそ、こういうスタイルで「ボイス」というジャンルが確率しているけれど、彼女の時代、いろんな困難があったそうな。広島コンサートの2年後に彼女は癌で亡くなっているが、その素晴らしいボイスが旦那様のギュンター・ハンピル(ヴイブラフォン、etc...)のレコードなどでも沢山聞ける。



そして、晩年に制作した彼女のアルバム[The Newest Sound Around]には、デイブ・ホランドとチャーリーミンガスに捧げたDUOやら、1曲づつ思い入れのある仲間たちとの贅沢な組み合わせ。ラストの曲でサンバを歌っている。なんと、そのギターをひいているのが・・・・。ぜひズミに行って聞いて下さいw。



youtubeでも沢山彼女の歌が聞けます。こんな素晴らしい歌手を今までなんで知らなかったんだろう。勉強不足でお恥ずかしい・・・。


毎週日曜は夜10時からミュージックバードというラジオで「フリージャズ」を中心に泉さんが解説しながらレコードをかける番組を担当されている、という事でその放送を楽しむ事に。この番組、残念ながら、毎月使用料を払わないと聞く事ができないので、この時間になると、ビール飲みながら聞きにくるお客様がいるのだ!

昨日も一人の青年がビールとおつまみを頼み、静かにラジオを聞きに来た。放送終了後も私たちに熱く語る泉さんの話を聞きながら、ふっと席を立った。
あれ?帰ったのかな?と思いきや、大きな立て看板を7階までエレベーターで運んできたのだった。

ひえ~。お客様なのにw。

「私は歳だから、みんなが勝手にやってくれるんですわ。」

これもひとえに泉さんの人徳。素敵なお店にかんぱ~い!

次回はまったく未知の中東の面白いパーカッション、ドラムなどを聞かせてもらう約束をして帰宅。楽しかった~~。