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るブルゲンラント州の州都、アイゼンシュタット。
ハプスブルク帝国最大の大地主となり、時として
オーストリア皇帝の所得を凌駕するまでになった
ハンガリーの貴族、エスターハージー家のお城が
あります。1672年に建てられたバロック様式のもの
だそうです。こことは別にアイゼンシュタットから車
で30分、ノイジードラー湖の南端エステルハーザに
も宮殿があります。「交響曲の父」ハイドンの経済的
支援者だったニコラウス1世がフランスへ行った際
に見たベルサイユ宮殿に心奪われ、模して建てた
もので、敷地内にオペラ劇場や人形劇場、音楽堂
などを造り、マリア・テレジアが「オペラを楽しもうと
思ったら、エステルハーザへ行く」と言ったと
ガイドさんが教えてくれました。
オペラをやるためには舞台装置や衣装、出演者の
ギャラなど、随分とお金の掛かる贅沢な趣味で、
広大な土地を持つ貴族がそれだけお金を使って
くれた方がマリア・テレジアとしても好都合だった
ことでしょう。
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かなりの贅沢好きの人だったようで、音楽だけでなく、
金銀の食器類・磁器・装飾品を蒐集していたみたいです。
娘をモデルにしたマリア・レオポルディーネ像はイタリア
の有名な彫刻家アントニオ・カノーヴァの作で、服のひだ
や曲線が素晴らしく印象に残っています。
ニコラウス1世の死後、当主の後を継いだ息子アントンは、
逼迫した財政を立て直すために居城をアイゼンシュタットに
戻したんだそうです。
←これは借金の借用書。
「踏み倒すことなく、きちんと払いましたよ」ってことで
展示しているのかな?
現在ノイジードラー湖を挟んでエステルハーザ、現在フェルテード村と呼ばれている東側は
ハンガリー、アイゼンシュタットのある西側はオーストリアになっていますが、元々は1つの国
で、この周辺は全てエステルハージ家の領地だったそうです。
ブルゲンラント州はヨーロッパでも有名なワインの産地で、エステルハージ家でもワイン醸造所
で質の高いワインを作っているそうです。
ウィーンのナーグラ小路にほど近いエステルハージー・ケラーのある建物は元は
エステルハージー家の持ち物でトルコ軍の17世紀の第2次包囲の際にはもっぱらここで会議が
開かれ、侯爵がただ酒をふるまった、といった話が旅行前に読んだ本に書かれていました。
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ハイドンザールと呼ばれる大広間。
音響効果のため、床は大理石ではなく木を張り、窓も奥行きをつけているという説明でした。
天井にはエステルハージー家のテーマである「アモールとプシュケ」を中心に歴代のハンガリー
の王やハンガリーの地方を描いたフレスコ画が埋め尽くされていました。
パウル、ニコラウス1世、アントン、ニコラウス2世と4人のエステルハージ家の当主に仕えた
ハイドン。このうち長きに渡って良き主従関係を結んだのがニコラウス1世で、この期間に
ハイドンは副楽長から楽長に昇進しました。音楽に関して深い造詣を持ち理解があった
ニコラウス1世のもとで、ハイドンも思う存分作曲に打ち込むことができたようです。
ニコラウス1世の依頼で、ハイドンは多くの素晴らしい曲を作曲しました。
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回って、道形に坂を下っていくと
左手にハイドンの家があります。
楽長に昇進してお給料も上がった
1766年に購入した家は、現在
ハイドン博物館になっています。
お城に向かって撮った写真を見て
もらうと家との距離感が掴んで
もらえるかなあと思います。
オレンジ屋根の飛び出た建物が
宮殿になるので、近いですね。
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ちょうどマラソン大会が行われていました。
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