肝臓病と共に生きる人たちを応援します

肝臓友の会との関わりで成長した肝臓専門医のブログです。2017.2.12より新規開始しました。

患者さん向け 慢性肝炎・肝硬変の診療ガイド2013の読み解き方 第1回 肝臓教室とサロン会 から

2013年07月17日 | 肝臓教室
2013年7月16日かでる2・7で、肝臓教室とサロン会をしてみました。
病院で行っていた肝臓教室もいいのですが、病院まで来るよりは街の方が参加しやすいという方もいるので、今回は札幌駅から徒歩10分ほどでつくかでる2・7を場所に選んでみました。外来で誘った患者さんやブログを見てきていただいた方を中心に10名の方が参加してくれました。

テキストとして 
慢性肝炎・肝硬変の診療ガイド(2013)1,260円(税込)
著者/編集:日本肝臓学会 出版社:文光堂
を使用して、その中で記載されいている部分を中心に患者さん向けに話をしてみようとやってみました。ちなみに札幌緑愛病院の売店でも売っていますので、このブログを見ながら一緒に勉強してみたい方も試してみて下さい。

このテキストは、医療従事者向けに書いているので、患者会の方が相談を受けたときに知識として身につけておきたいからといっていたのも印象的でした。内容としては職員の勉強会にも使用しているので、説明しながらちょっと難しいなあと思いましたが、みなさん頑張って聞いてくれていました。
患者さん方がこの本を活用するときには、難しい内容は読み飛ばして、わかるところだけ読んでください。具体的には目次の太字のところを表題のところだけをみるのも一つです。内容を読んでも難しいので、こんな項目があるんだなあ。でも、十分です。
そして、memoって書いている部分はかなり上級者の知識になりますので、こんな難しいこと先生方は勉強してるんだなあと思って読んでもらえたらいいかなと思います。

さて、今回の前半の肝臓教室の部分では 最新治療のエッセンスということでお話ししてきました。
テキストの序文をまず読みました。この本がどういう意図で書かれた物かが書いています。肝臓学会が出してきたいろんな本も紹介されています。1人でも多くの方へ肝臓について教育していく部分もになっている本であることがわかります。治療ガイドラインに示されている新しいC型肝炎ウイルスに対する薬や標準治療となってきていること、B型肝炎の治療も核酸アナログが3種類から4種類へと増えていくことにも触れていました。常に新しい話が出てきているのでこのガイドも2011年から2年弱で改訂になっているのです。内容的には新しい内容が付け加わっている感じでそんなに変わってはいません。その新しい内容について今回は勉強をしました。

今回解説した部分
○19ページの今後の展望のところ
エンテカビルの耐性出現率が低く、これは、B型肝炎ウイルスの核酸アナログの治療はとてもよく聞くのですが反面、効きにくいウイルスが出現します、これが耐性ウイルスというのですが、この耐性ウイルスの出現が少ないというのが特徴です。それでも、免疫不全や肝硬変、抗ウイルス症例などの場合には出現することがあるので、欧米ではすでに使われている、テノホビルやその合剤が推奨されています。日本ではこれから使えるようになるでしょう。
日本でもHIV(エイズのウイルス)には使える薬になっているので入手は可能で、HIVの合併例や治療抵抗例で使用経験として報告されています。
また、インターフェロンや核酸アナログ以外の薬も研究されているが、5年以上かかるとされています。
核酸アナログの長期投与の安全性と治療効果、治療の中止時期、核酸アナログとインターフェロンの併用療法の効果と適切な使用法の更なる検討が望まれていると結んでいました。
○37ページのこれからの抗ウイルス治療
シメプレビルが臨床開発段階であることが書かれていて、早ければ今年の末には使えるようになっているかもしれない。他の薬も研究が進んでいることが書いていました。ゲノタイプ2型の人向けのテラビックの臨床試験もおこんな我いるそうです。
○39ページのインターフェロン少量長期投与
これが私としては一番うれしい内容です。ウイルス排除だけでなく、肝がんができないようしていく治療として行うことがあると記載されるようになりました。医療費助成が実現してくれたらと思います。
○50ページのフィブロスキャン(FibroScan)
検査として、肝生検に置き換えることが可能と期待されています。超音波の原理を利用して肝臓の硬さを測定して、慢性肝炎や肝硬変の時期かを推測することができる。全体をチェックしているのではない点に注意が必要です。

次回は、8月20日かでる2・7 510会議室(5階)で午後1時から2時半(肝臓教室30分、その後サロン会)、B型肝炎(2ページから)とC型肝炎(22ページから)のそれぞれの概要を15分ずつ解説して行けたらと思います。
肝臓教室だけの参加もサロンからだけの参加も可能です。興味のある方はどなたでも参加下さい。
 

肝癌研究会 報告 メモです 医療従事者向けです

2013年07月17日 | 学会研究会報告新聞記事など
医療従事者向けです。一般の方には難しい内容がたくさんあるかと思われます。
今回も勉強になった研究会でした。聞きながらのメモなので、誤字脱字、内容間違いあり得ます。参考になれば幸いです。

国立がんセンター 荒井先生
ビーズについて 特定の血管系の部位で血管内腔を閉塞する
凝集しにくいので近位塞栓を起こしにくい

ゼラチンはいろんなレベルでつまっちゃう

ビーズの種類は4種類ほどある

薬剤溶出型 へパスフェアは抗がん剤はどれでもいいが放出も早い

本当に塞栓進度が一定かいろんな血管があるから必ずしも言えない

いろんな特性がある

コリアジャパンスタデイ
アジアンTACE
きちんとした、TACEの比較はないと言いきっていいだろうと

肝がんに対するビーズを含む動脈塞栓にかかる研究これからしっかりできる絶好の環境である

ミリプラチンTACEにおける加温法の有用性 虎の門 小林先生

小尾先生の 腫瘍栓のある方が効きやすいってのは、血流とかの因子も絡んでるんだろうなと思います。
肝内病変のコントロールが重要

TACEと動注化学療法:分子標的薬との併用 工藤先生
TACEのあとのソラフェニブ 長く飲んでいくと予後が改善していくかも
現在、TACEとTACEソラフェニブなどが走っている。

TACTICSトライアルを工藤先生方がしている
TACEの繰り返しが肝機能の低下をも足らずので、何とか下げる前にSorafenib?

海外では動注はガイドラインに入っていない

SILIUSトライアル
ソラフェニブHR(Hazard ratio)は0.77と改善する。
脈管侵襲がないと0.55ともっとよくなると
順調に進んでいる

○定位放射線治療 
SABR 武田先生大船中央病院
277例315病巣 根治目的
最大線量の80%のisodose line
ChildAは50Gy/5fr
Childbで40Gy/5回
他の治療と比べてもいい治療 3年局所制御率は90%を超えている
ドーム直下、肝門部、など

広島大学の本田先生 局所制御率98%ってすごいなあ。

粒子線治療
胆管、消化管などがそばであれば回数を増やして合併症を減らしていた。

寺嶋先生の発表
Bragg peak 炭素線はエネルギーが大きい
炭素の方がシャープな感じ
3年の局所制御率が90%いいねえ。
消化管が近いと制御率が落ちる。

VirtuTraxは針先が推測できるので有用だなあ。

ランチョンセミナーで
マルチニードルによるRFA新時代ってことで
東京医科大学の森安先生の講演で
Nanoknifeって機械が海外では広がっていて、焼灼が1.5分で、温度も上がらず、細胞
だけが壊れて、繊維とかはのこる、構造がのこる、血管や胆管も構造がのこるので内膜が壊れても再生されて、脈管の近くも適応になると、6本使える。
すごい機械でした。
水蒸気も発生しないので焼いている部分の把握は難しいのと、
しかしプラズマ的な機械なので、全身の筋肉の収縮が発生するため、全麻でミオブロックするのが必須ということで、残念です。シールド技術など局所で一瞬で終わ
る治療としてあり得ればなあと思いました。

RVSではエコーとエコーのフュージョンが有用とたしかに造影でみたのと比べられるのが一番ですね。
Active trackerが導入されて、位置合わせが不要となるとすごい。

ニードルトラッキングは、VirtuTraxが代用になる
これが、針先がわかって深さを把握する場合に有用、ずれも考慮して治療中なども先端が見づらい場合に有用だと思いました。
In planeでは角度フリーでさせるデバイスができてきている。
xDなんとかトランスディユーサー? すごい綺麗に見えるプローブができてきている。

ワークステーションで、自動で腫瘍の範囲を囲んだりもいまできるようになってきている、血管を自動で描出もしてくれると
10分くらいで穿刺ラインまでかけるようになると。早くなっているのねえ。

ポスターでは
NBNC肝がんの比率が増えてきている。C型B型の発がんが減って割合が増えているというのが主因だとは思いますが、今後のこるこの部分の肝がんをいかに減らすか、早く見つけるかと言うことになってくるので、脂肪肝やアルコール、糖尿病などの因子のある人は年に1回以上のエコー検査は必須としていっていいのでと思われます。

血管腫としてフォローしていた患者さんで硬化型に変化した症例の報告がありました。
また血管腫と思っていても増大する例は肉腫の可能性が有るので、初回の血管腫診断した患者さんは2~3ヶ月以内に再度チェックをすることが望ましいだろう言う発
表もありました。

NBNC肝がんについてのセッションみてきました。
脂肪肝がらみは半年に1回のエコーチェックかなあというかんじ、
HBc抗体は調べると半数以上に出ている施設もありました。
オカルトbの関連が今後とも大事かなと思いました。

武蔵野の細川先生
喫煙者は、NBNCの肝癌でも予後が悪いというデータを示していました。予想されることですがしっかりとデータを出している点が参考になりました。