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自転車通勤は心血管疾患やがんの死亡リスクを下げる、徒歩通勤は心血管疾患のリスクを下げる

2017年05月08日 | 学会研究会報告新聞記事など
 
自転車通勤は心血管疾患やがんの死亡リスクを下げる、徒歩通勤は心血管疾患のリスクを下げるという研究結果がでました。

当たり前と言えば当たり前のように思われますが、きちんと前向き(結果を見てから調べるではなくて、結果が出る前から調べる方法)研究がされているので重要な研究成果になります。この研究は、通勤手段として、アクテイブ(自転車、徒歩、自転車徒歩混在)、非アクティブ(それ以外の車や公共交通機関利用)にわけて研究をしていて、結果として、自転車通勤は心血管疾患(CVD)・がん・全死因死亡のリスク低下と、徒歩通勤はCVDのリスク低下とそれぞれ関連していることがわかったと言うことでした。簡単な運動として歩く、自転車に乗るということが、からだにとっていいってことの証明がされているってことでいいかと思います。

ケアネットさんから抜粋です
英国・グラスゴー大学のCarlos A Celis-Morales氏らにより、前向きコホート研究の結果が明らかにされたました。BMJ誌2017年4月19日号掲載の報告。
以下内容の要約です。
26万3,450例を前向きに追跡 研究グループの検討は、2007年4月~2010年12月の英国内22地点からの英国バイオバンクの参加者26万3,450例(うち女性52%、平均年齢52.6歳)を対象に行い。仕事場までの通勤手段(非アクティブ、自転車、徒歩、混在)を曝露変数として用い、主要アウトカム(致死的・非致死的CVDおよびがん、CVD死、がん死亡、全死因死亡)の発生について評価した。
 結果、追跡期間中央値5.0年(四分位範囲:4.3~5.5)の死亡発生は2,430例で、うちCVD関連死496例、がん関連死1,126例であった。また、がん発生は3,748例、CVD発生は1,110例であった。
自転車通勤は、全死因死亡、がん発生・死亡、CVD発生・死亡とも有意に低下 最大限補正モデルにおいて非アクティブ群と比較して、自転車通勤群は、全死因死亡(ハザード比[HR]:0.59、95%信頼区間[CI]:0.42~0.83、p=0.002)、がん発生(0.55、0.44~0.69、p<0.001)、およびがん死亡(0.60、0.40~0.90、p=0.01)のリスクが有意に低かった。同様に自転車通勤を含む混在群も、全死因死亡(0.76、0.58~1.00、p<0.05)、がん発生(0.64、0.45~0.91、p=0.01)、およびがん死亡(0.68、0.57~0.81、p<0.001)のリスクが有意に低かった。
 CVD発生のリスクについてみると、自転車通勤群(0.54、0.33~0.88、p=0.01)、徒歩通勤群(0.73、0.54~0.99、p=0.04)ともに有意な低下が認められた。CVD死についても、自転車通勤群(0.48、0.25~0.92、p=0.03)、徒歩通勤群(0.64、0.45~0.91、p=0.01)ともに有意な低下が認められた。
 一方で、徒歩通勤群は、全死因死亡(1.03、0.84~1.26、p=0.78)、がん関連アウトカム(がん発生:0.93、0.81~1.07、p=0.30、がん死亡:1.10、0.86~1.41、p=0.45)について、統計学的に有意な関連はみられなかった。徒歩通勤を含む混在群も、測定アウトカムのいずれについても顕著な関連はみられなかった。

原著論文はこちら
Celis-Morales CA, et al. BMJ. 2017;357:j1456.