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過度なアルコール消毒は手荒れの原因に 健康プラザ No.554

2022年05月16日 | 学会研究会報告新聞記事など

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○手指消毒とウイルス感染対策

 手指消毒しすぎて手荒れを起こしていませんか?たとえば新型コロナウイルス感染症は、主にウイルス粒子を気道から吸い込むことにより感染します。手指に高濃度のウイルスが付着することは滅多にありませんし、その手で目や鼻、口の粘膜に触れなければ,感染する可能性は低いです。むしろ過度な手指消毒は、皮膚が本来持っているバリア機能を損ない、手荒れ・手湿疹の原因となるだけでなく、細菌や真菌(カンジダなど)、ウイルスへの感染防御力を弱めてしまいます。

○皮膚のバリア機能

 皮膚の表面は角質層で覆われています。角質層はアレルゲンや細菌、真菌、ウイルスなどの侵入を防ぐバリアとして働きます(↑写真)さらに角質層に含まれる多種の抗菌ペプチド(アミノ酸が連なってできている物質で、細菌の細胞膜を攻撃することにより殺菌作用を発揮する。皮膚のほか消化器、泌尿器など様々な場所で生産されている。)と、弱酸性に保たれた角質層の表面が、細菌の増殖を防いでいます。

○手荒れは美容と感染防止の敵

 アルコール消毒はあくまでも手洗いができないときの代わりです。たとえば手を介したノロウイルス感染症は手指のアルコール消毒では防げません。石けんでよく手を洗いましょう。アルコールは角質層の皮脂を取り除いてしまい、手荒れの原因となります。食器を洗う洗剤も、アルコールを含まないものを使うほうが手荒れを起こしにくいです。手荒れは炎症を招き、炎症によりさらに皮膚のバリア機能が低下します。

○皮膚の健康を保つ手洗い

 石けんでよく手を洗って充分にむずで流したら、清潔なタオルやペーパータオルで軽く水をぬぐい、保湿剤やハンドクリームを塗って皮膚を保護します。

 手荒れを起こしてしまったら、炎症を止めるためにステロイド剤の外用が必要です。皮膚科専門医を受診しましょう。