第21回北海道門脈圧亢進症研究会が3月6日札幌で行われました。
今回も、様々な演題が発表され、これからの治療法の新しい方法となりそうなもの、今までの治療をさらに改善させていく可能性を秘めた発表があり、とても有意義な物でした。以下、川西から、簡単な内容ではありますが感想をのせていきたいと思います。
小林病院の矢崎先生からは、非常に珍しい食道粘膜下嚢腫が食道静脈瘤錠に連なった患者さんや胃静脈瘤ではないかとみまちがうような壁外圧迫の血管をもった患者さんの発表や胃粘膜から出血をクリップで上手に止めた患者さんの報告がありました。
北大の中西先生からは食道静脈瘤治療で注意すべき副作用について、
札幌厚生病院の星野先生からは門脈圧亢進症胃症(胃前庭部毛細血管拡張症)の出血に対して、現在はアルゴンプラズマ凝固などで粘膜を焼灼することで、治療することが主流となっているのですが、札幌厚生病院の方から、EVL(内視鏡的結紮術)という胃粘膜を結紮することできれいに粘膜が治って再出血が予防されていることが発表され、とても、すごいいい治療になりそうで今後に期待されます。
市立釧路総合病院の長谷川先生からは、形態が小さいが出血した胃静脈瘤のクリップでの止血とB-RTOの報告がありとても有効でした。
門脈血栓症については、手稲渓仁会の辻先生、札幌医大の若杉先生からダナパロイドナトリウム(オルガラン)の発表があり、この治療が北海道発信の治療として地位を確立してきているなあと実感しました。
帯広厚生の福岡先生は門亢症に発症した肺高血圧症についてわかりやすく発表されていました。
札医大の藤井先生からは、シェーグレン症候群と合併した特発性門脈圧亢進症の患者さんの貴重な発表がありました。
札幌緑愛病院の川西からは、脳症を繰り返していた肝硬変に肝がんと食道静脈瘤を合併した患者さんに対して、内視鏡的静脈瘤硬化療法(EIS)と部分的脾動脈塞栓術(PSE)をすることで脳症が改善血小板も増加して、インターフェロンまで可能となった患者さんの報告がされて、あきらめずにでがんばった患者さんについて報告されていました。
北海道消化器科病院の町田先生からは、左側門脈圧亢進による静脈瘤に対しての治療が報告されて、とても難しい治療が上手にされていることに感動しました。
札幌共立病院の女澤先生からは、肝硬変の患者さんにできた珍しい形態をとっている脳症の原因となる血管に対して、PSEとコイル塞栓術を上手に施行して脳症が改善したという患者さんの報告がありました。
特別講演は
非代償性肝硬変腹水における腹腔―静脈シャント術の効能
大牟田市立総合病院 消化器科 野口 和典
でした。腹水を伴った肝硬変の治療でのデンバーシャントの160例の報告で、成功例や苦労した患者さんの話はとてもためになりました。適応となる患者さんは数多く、肝臓の機能も改善したり小さかった肝臓が大きくなってきた患者さんもいたり、腹水がコントロールできて、肝がんの治療が出来るようになった患者さんの報告もありました。
より上手にこの治療を行えるようになりたいと思いました。
だんだんと私もベテラン組に入るようになって、いろんなことを思うようになってきたなあとびっくりしている今日この頃です。今後ともよろしくお願いいたします。
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