ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

丸太を買う

2013年12月03日 | 木工
丸太を買います。






材を丸太から買うのは3年ぶりだと思います。
最近はすっかり「丸太を買わねいかい」と声がかかることがなくなりました。
山にましな木がもうないのかもしれません。
景気が悪くてよい値が付かないので、木を伐ってもわりに合わないから、という話も聞きます。
丸太の流通量が明らかに少ないんです。


話しはそれますが、一方で「相場が上がって木が買えない」という話も聞きます。
同業者、小売店の方の「ちっとも景気が良くなった気がしない」「仕事が増えない」「ものが売れない」という声も聞きます。
需要が減っているのに値段が上がっています。
いびつな形で物事が進んでいるような印象です。


私は市場で丸太を競って買ったことはありません。
何軒かの業者から話を持ちかけられて買うだけです。
今回の丸太もある業者が会津の山から買い付けて運んだものを向けられたものです。
丸太は大きくて重いので、トラックに積んで運んでくるのも容易ではありません。
ひとしきり、材を集めること、運ぶことの苦労話をお聞きました。
あちらの山はすでに雪が降ってしまい、残りは雪がなくならないと運べないそうです。


丸太は栗とクルミです。
長さはおおよそ5m、直径は太いもので70cmほどの物から40cmくらいまで。7、8本ほど。
あれこれと好き嫌いを言っていたらもう丸太は買えないと思い、みな買うことにしました。





5mもあるとそのまま製材できません。
切るのですが、どこで切るのかが重要な問題になります。
この辺に傷がありそうだとか、木目がよさそうだとか、
丸太の切り口や皮の表情を観察しながら、その判断をしなくてはなりません。
それでも最後は製材してみないと本当のことはわかりません。


この丸太を製材に立ち会うために何日も製材所に通い、製材を手伝い、
挽いた板を運んでもらい、重い思いをして一枚一枚桟を入れて屋根をかけるなどの、
これからかかる手間を考えると、正直、とても憂鬱になります。
しかも使えるのは少なくとも3年後くらいです。
製材は丸太が板になる瞬間に立ち会う、心ときめく作業ではありますが、そのあいだ工作の作業は止まってしまいます。
桟をを入れて干す作業も、うまく乾いてくれるように祈るような気持ちでの作業ですが、体はとても疲れます。
もちろん丸太の代金、製材賃も払わなくてはなりません。



そんな思いをしても丸太から始めるのは、なるべくよい材を手にしたいからです。
乾燥材で買うことができる物は広い板や耳の付いた板があまりありません。
結局丸太から始めないと満足できないのです。
まあ意地で買っているようなところもあるかな。