ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

店舗の椅子の制作 3 

2014年01月28日 | 木工
椅子ができました。



塗装して静かに並べてオーバーナイト。


塗装は水性のウレタン。ガン吹きです。

ウレタン塗装というとトルエン・キシレンなどの有機溶剤、いわゆるシンナーの匂いを思う方もいるかと思いますが、
この水性のウレタンはほとんど匂いがありません。
匂いがないので、極端な話、今日塗ってあした納めても匂いとしては問題がありません。
有機溶媒系の物だとかなり長い間匂いが抜けなく、
納品を急ぐと飲食店ではクレームが出ることもあります。

この塗料ですと水性ですので機器も水洗いでOK。
本当に良いです。

もっとも普段作る家庭用の家具はほとんどオイルフィニシュです。






集合写真だとわかりにくいので。こんな椅子です。

納品まで倉庫に入れておきました。






椅子を作り終えての感想を少々。


私のような一人工房で40数脚の椅子を作るのは珍しいことで、
少量多品種を注文生産しているのとはいろいろ勝手が違いました。

まずは仕入。
今回のお仕事は店一軒分の家具ということで、
実はほかにもこのブログには載せていない物もあります。
これだけの家具を作るための材を集めるのはなかなか大変でした。
大変というのは、そもそも最近の業界の事情で材木が入手できないこと、そして経済的なこと。
資本力のない私にはそれだけの材を買って備えていることはなかなかつらいことです。

数が多いので当然工期は長くなります。
一つの工程にかかる時間も長くなります。場所も多く取られます。
いつものような仕事ならば、同じ厚みにするものなら一緒に機械を通すところを
分けて機械にかけないと取りまわせないようなことになります。
いつもとちがう工夫が必要で、工程の組み方から考えなおしました。

そして飽きてしまうこと、疲れること。

同じ作業が延々と続くのは正直苦痛です。
労働の奴隷にならないことは私の人生のテーマなのですが、今回は仕方ない。

ある工程が始まるとき、まずはその作業をどのように進めるのかをよく考えます。
こう置いて、この印を上にして加工、そのあとはこう並べて置く、などと。
そして加工作業にはいったらあえて物を考えずその作業に集中する。
考え事をすると間違えるから。
監督する人間と、それに従う作業員を私ひとりで演じ分けているような感じ。

一つの作業が続くことは肉体的にも苦痛です。
同じ動作で磨くことに2日とか、スプレイガンを半日使うとかすると
その動き自体は最初は大したことがないのにずっとそれをしていると体が悲鳴を上げてくる。
疲れが蓄積する。
数ものを作ることの大変さを知りました。
でもまたこんなお仕事が来たら、、、請けるでしょう。