ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

食器棚の制作 その1

2015年10月01日 | 木工
催事が済んで、しばらくへばっておりました。








忙しくてろくに写真も撮れませんでした。
雰囲気をお伝えするために2枚だけ貼ります。



初のシルバーウィークで、人の出が全く読めませんでした。
普通の三連休ですと中日がお客様が多い。
今回は三日目の最終日も五連連休の中日に当たり、
結果的には三日目が一番の人出となりました。

それにしても、予想よりはお客様の出は少なかったです。








催事のあとに一つ納品。

ウォールナットの座卓です。


お客様ご提案によるデザインの足ですが、これがなかなかかっこいいです。

折り紙で作ったようなシャープな形が和室にも洋間にも合います。


お客様にいろいろ教わるものです。








これから大作の食器棚の制作が始まります。





秋田県の材木屋に注文した材が届きました。

クルミの27mm厚、全部で約2立米です。


このような材は体積当たりいくら、という値段で取引されます。





これが図面です。
扉、レンジ収納、ごみ箱収納、野菜収納などがあります。

高さが243cm、間口がおよそ176cm、奥行きが65cmです。
高さは壁面いっぱいで作ります。



奥行きが65cmはあまり例のない大きさで、これはお客さまのご希望で決まった寸法です。

奥行きが45cmくらいならば「板の構造」で作りますが、広い奥行きのものは「フレーム アンド パネル」という構造で作ります。
いわゆる「框(かまち)の構造」です。

広い板にすると「板の構造」ですと板の収縮の影響が大きく出てしまいますので「框の構造」にするのです。

その説明は作りながらおいおいします。







部分の図面も別に描きます。

框の構造にすると、部品数が極端に増え、工程も複雑になります。

この食器棚は四つの箱に分割して作りますが、その箱全てと扉や棚板などの図面を描きます。
図面を描いてすべての部品の寸法を丁寧に出します。
そこから木取の寸法を出し、何が何枚必要なのかを洗い出します。
そうしないととても作れません。

上のような図面が何枚もありますがすべてはここにもう載せません。







材を開封して板を一枚一枚見分し、適材適所に使うよう分類します。


扉の鏡板には広くて素性のよい板を使います。

扉の縁には真っすぐな狂いの出ない柾目を使います。

長い部材は曲がっていなくてやはり素直なものを選びます。

広い材から先に木取り、だんだん狭い材を取るようにします。

曲がったものや色の悪いものは棚板など見えないところに使います。

幅が広くて良い板は今回はそれほど使わないのでなるべく取っておくようにします。



見分しながらもどんどん板を切って部材を揃えていきます。






ほぼ丸一日で木取が終わりました。
雨が降る予報だったのでお弁当も食べずに作業を進めました。


ものすごい量の板で工房の板の間が埋まりました。

間違えないように板に部品の番号を振っておきます。




結局、172枚あった板の山を使い、残ったのは40枚弱となりました。

棚物は材をたくさん使うことは承知していたつもりでしたが、改めて驚きました。