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とても冷たかった!? 惑星のゆりかご“原始惑星系円盤”

2016年03月04日 | 宇宙 space
アルマ望遠鏡などの観測により、
若い星の周りにある原始惑星系円盤の外縁部が調べられました。

この観測では、
外縁部に含まれる大きなチリの粒子の温度が初めて測定され、
チリが摂氏マイナス266度であることが突き止められたんですねー

予測よりずっと低いこの温度は、
これまでの惑星形成モデルを書き換えるほど、
衝撃を与えるものだそうです。


チリの粒子の温度

今回、大きなチリの粒子の温度を測定したのは、
フランスのボルドー天文台の研究チーム。

地球から約400光年離れた、へびつかい座ρ(ロー)星の星形成領域にある、
若い星“2MASS J16281370-2431391”の周りを測定しています。

この星はガスとチリの円盤に囲まれていて、
円盤内は惑星形成の初期段階(原始惑星系円盤)にあるそうです。

地球からは、円盤をほぼ真横から見る位置関係にあり、
可視光線で撮影された姿から“空飛ぶ円盤”と呼ばれているそうです。
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した、
へびつかい座ρ星の星形成領域の若い星“2MASS J16281370-2431391”と、
周りの原始惑星系円盤。

そして、アルマ望遠鏡による円盤の測定と、
スペインのIRAM30メートル望遠鏡による背景の星雲とを組み合わせて、
分かったことがあります。

それは、中心の星から150億キロの位置にあるチリの粒子の温度が、
絶対零度よりわずか7度高いだけの摂氏マイナス266度しかないことでした。


惑星形成モデルの書き換えも

同種の天体で、1ミリほどの大きなチリの粒子の温度を、
直接測定したのは今回が初めてのことでした。

最新の惑星形成モデルが予測する温度は、
摂氏マイナス258度~マイナス253度なのですが、
今回測定された温度は、その予測よりも低いことに…

この不一致を説明するためのアイデアとして、
「温度は粒子の大きさに依存し、大きな粒子は小さなものより冷たい」
といったことが考えられるのですが、まだ確証はありません。

ただ、これほどの低温がありふれた特徴だとすると、
円盤の形成や進化についても考え直す必要がでてくるんですねー

それは、チリの粒子がぶつかり合うときに何が起こるのか、
惑星形成においてチリがどんな役割を果たすのか、
といった事柄にも影響が生じるからです。

また、より小型な円盤を考える上でも、
チリの温度が低いことは大きな影響があります。

チリの量を計算する時には、あらかじめ温度を仮定するのですが、
温度が低いと電波が弱くなります。

小型円盤が現在の予測よりも低温の粒子で構成されているとすれば、
観測される電波強度を生み出すためには、
想定より多くの物質を含んでいることになるからです。

これは、中心星から比較的近いところで、
巨大惑星が形成されうることを意味するんですねー

より詳しい理解のためには、今後さらなる観測が必要なんですが、
今回アルマ望遠鏡が発見した冷たいチリは、
原始惑星系円盤を理解する上で重要な知見になりますね。


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