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宇宙のはなしと、ときどきツーリング

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月の内部に水が存在する新たな証拠

2017年08月07日 | 月の探査
月にかなりの量の水が存在する。 っという可能性が見つかりました。

手がかりとなったのはアポロ計画による月のサンプル分析と、
インドの探査機“チャンドラヤーン1号”のデータ。

月面に広範囲に広がる火山性堆積物の中に初めて水が検出されそうですよ。


ガラス粒子内の水

月の内部の水や揮発性物質の大部分は、すでに失われていると長年考えられてきました。

でも、2008年にブラウン大学の研究チームが検出したのは、
アポロ15号と17号によって地球に持ち帰られた火山性のガラス粒子内に水の存在を示す痕跡でした。
状況が変わってきたんですねー

2011年にはガラス粒子内の小さな結晶の形成が詳しく調べられ、
地球上の玄武岩の一部に含まれる量と同程度の水が、
ガラス粒子に含まれていることが明らかになります。

このことは、月のマントルの少なくとも一部には、
地球と同じくらいの水が含まれていることを示すものでした。

ただ、アポロ計画で持ち帰られたサンプルが月内部の全体的な状態を示しているのか、
それとも、乾いたマントル内の一部に異常に水の豊富な領域があることを示しているのか、
っという重要な問題を残していました。
  月に水があるのは小惑星が運んできたからです?
    


水は月面上に広がって分布している?

今回はハワイ大学の研究チームが、月のサンプルの計測結果と、
月面上の火砕流堆積物が存在する領域の温度に関する詳細なデータとを合わせて、
どんな鉱物や化合物が存在し、火山堆積物の含水量がどの程度かについて調べています。
  探査データとして用いられたのはインドの月周回探査機“チャンドラヤーン”のもの。

すると、アポロ15号、17号が含水ガラス粒子のサンプルを採取した場所に存在する火砕流堆積物を含め、ほぼ全ての火砕流堆積物に水が存在する証拠が得られたんですねー

水を豊富に含む堆積物の分布が問題になっていましたが、
研究の結果により月面上に広がって分布していることが分かりました。

そう、アポロ計画で持ち帰られたサンプルが例外ではないことになり、
月の火砕流堆積物全般に水が含まれていることに…
同じことはマントルにも当てはまる可能性もあるんですねー
水の存在を示した月面図。色のついた領域(とくに赤や黄のところ)は、周囲よりも水が多く存在する。

月は、地球に火星サイズの天体が衝突して生じた残骸から形成されたと考えられています。

でも、その際に発生した熱のため水の形成に必要な水素が無くなってしまい、
月の内部は乾燥しているはずでした。

なので、月内部の水の起源は謎のまま…
可能性としては、水が衝突の熱に耐えられたのか、
月が完全に固まる前に小惑星や彗星によって水がもたらされたことが考えられます。
  月の砂に含まれる水は、太陽風で作られていた
    


将来の月探査に影響を与える成果

火山性の粒子自体に含まれる水の重量は100グラム当たり5グラムほどで、
とても多いというわけではありません。

でも、堆積物は大量に存在するので、そこから水を得ることは可能なようです。

これまでの研究で、月の両極にある太陽光が当たらない領域にも水の氷の存在が示唆されています。

ただ、火砕流堆積物はもっとアクセスしやすい場所にあるので、
将来の有人月探査で必要になる大量の水を地球から運ばずに済みそうです。

これは月探査計画において大きな前進になりますね。


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