7つの地球型惑星が見つかっている“TRAPPIST-1”の惑星系。
今回、すばる望遠鏡による観測から“TRAPPIST-1”の惑星の公転軌道面が、太陽系の惑星と同様に主星の自転軸に対してほぼ垂直だと分かりました。
地球に似た環境の惑星で、このような関係が示されたのは初めてのこと。
低温・低質量の恒星の周りにある惑星系の起源を議論する上で不可欠な情報になるようです。
太陽より低温で低質量の恒星を回る系外惑星
みずがめ座の方向約40光年彼方に位置する恒星“TRAPPIST-1”の周りには、7つの地球型惑星が公転しています。
どれも、地球から見て系外惑星が主星の手前を通過(トランジット)するときに見られる、わずかな減光から惑星の存在を探る“トランジット法”という手法により発見された惑星です。
そのうち特に注目されているのは“TRAPPIST-1 e”、“TRAPPIST-1 f”、“TRAPPIST-1 g”の3つの惑星。
これらの惑星が、惑星表面に水が液体の状態で存在可能な領域“ハビタブルゾーン”に位置していたからです。
これまで、各惑星の質量や大気について、いくらか手掛かりは得られていました。
ただ、生命生存の可能性に関わる条件の一つになる軌道の傾きについては、何も分かっていなかったんですねー
恒星の自転軸に対する惑星の軌道面の傾き
そこで、東京工業大学の研究チームは、すばる望遠鏡に搭載された太陽系外惑星探査のための観測装置“IRD”を用いて“TRAPPIST-1”の惑星系を観測。
“TRAPPIST-1”のスペクトルを精密に測定しています。
観測日は2018年8月31日。
この日は“ハビタブルゾーン”に位置する2つを含む3つの惑星が、“TRAPPIST-1”の前を一夜のうちに通過する機会に恵まれていました。
研究チームは、“ロシター効果”と呼ばれる現象で引き起こされるスペクトルの変化を解析。
すると、主星の“TRAPPIST-1”の自転軸と、その周りの惑星の公転軸が、ほぼ揃っていることが分かります。
これまでに“ロシター効果”によって検出されていたのは、木星型惑星や海王星型惑星の公転の傾きのみ。
“ハビタブルゾーン”に位置する地球型系外惑星の軌道の傾きについて情報が得られたのは、今回が初めてのことでした。
これまでの研究では、軌道面が大きく傾いていたり、公転が完全に逆行しているものも知られています。
このような傾きの原因としては、惑星同士の重力の相互作用で軌道が大きく変化する散乱効果などが考えられています。
一方、“TRAPPIST-1”の惑星系で、主星の自転軸と惑星の公転軸がよく揃っているというのは何を意味するのでしょうか?
それは、複数の惑星が同じ軌道面で作られ、その後は軌道を大きくかき乱されることなく現在に至ったということなんですねー
このことは、“TRAPPIST-1”のような低温・低質量のM型矮星の周りにおける惑星系の起源を議論する上で不可欠な情報になります。
M型矮星は天の川銀河に最も多いタイプの恒星なので、その周りの惑星系や生命生存の可能性について大きく注目されています。
太陽よりも小さくて暗い主星の近くを回っている液体の水が存在できる惑星。
このような惑星はどのような環境を持っているのでしょうか? 生命は存在しているのでしょうか?
いずれにせよ、地球とは全く異なっているはず…
今後、さらに探査や研究が進むと、どんな発見があるのでしょうか? ワクワクしますね。
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天王星の自転軸はどうやって横倒しになったのだろう? シミュレーションから分かった天体衝突のシナリオ
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地球に似た環境の惑星で、このような関係が示されたのは初めてのこと。
低温・低質量の恒星の周りにある惑星系の起源を議論する上で不可欠な情報になるようです。
太陽より低温で低質量の恒星を回る系外惑星
みずがめ座の方向約40光年彼方に位置する恒星“TRAPPIST-1”の周りには、7つの地球型惑星が公転しています。
どれも、地球から見て系外惑星が主星の手前を通過(トランジット)するときに見られる、わずかな減光から惑星の存在を探る“トランジット法”という手法により発見された惑星です。
そのうち特に注目されているのは“TRAPPIST-1 e”、“TRAPPIST-1 f”、“TRAPPIST-1 g”の3つの惑星。
これらの惑星が、惑星表面に水が液体の状態で存在可能な領域“ハビタブルゾーン”に位置していたからです。
これまで、各惑星の質量や大気について、いくらか手掛かりは得られていました。
ただ、生命生存の可能性に関わる条件の一つになる軌道の傾きについては、何も分かっていなかったんですねー
恒星の自転軸に対する惑星の軌道面の傾き
そこで、東京工業大学の研究チームは、すばる望遠鏡に搭載された太陽系外惑星探査のための観測装置“IRD”を用いて“TRAPPIST-1”の惑星系を観測。
“TRAPPIST-1”のスペクトルを精密に測定しています。
観測日は2018年8月31日。
この日は“ハビタブルゾーン”に位置する2つを含む3つの惑星が、“TRAPPIST-1”の前を一夜のうちに通過する機会に恵まれていました。
研究チームは、“ロシター効果”と呼ばれる現象で引き起こされるスペクトルの変化を解析。
すると、主星の“TRAPPIST-1”の自転軸と、その周りの惑星の公転軸が、ほぼ揃っていることが分かります。
これまでに“ロシター効果”によって検出されていたのは、木星型惑星や海王星型惑星の公転の傾きのみ。
“ハビタブルゾーン”に位置する地球型系外惑星の軌道の傾きについて情報が得られたのは、今回が初めてのことでした。
これまでの研究では、軌道面が大きく傾いていたり、公転が完全に逆行しているものも知られています。
このような傾きの原因としては、惑星同士の重力の相互作用で軌道が大きく変化する散乱効果などが考えられています。
一方、“TRAPPIST-1”の惑星系で、主星の自転軸と惑星の公転軸がよく揃っているというのは何を意味するのでしょうか?
それは、複数の惑星が同じ軌道面で作られ、その後は軌道を大きくかき乱されることなく現在に至ったということなんですねー
このことは、“TRAPPIST-1”のような低温・低質量のM型矮星の周りにおける惑星系の起源を議論する上で不可欠な情報になります。
M型矮星は天の川銀河に最も多いタイプの恒星なので、その周りの惑星系や生命生存の可能性について大きく注目されています。
太陽よりも小さくて暗い主星の近くを回っている液体の水が存在できる惑星。
このような惑星はどのような環境を持っているのでしょうか? 生命は存在しているのでしょうか?
いずれにせよ、地球とは全く異なっているはず…
今後、さらに探査や研究が進むと、どんな発見があるのでしょうか? ワクワクしますね。
“TRAPPIST-1”の惑星系のイメージ図。7つの地球型惑星のうち4つが描かれている。(Credit: 国立天文台) |
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