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いまだ解明されていないエウロパの熱的地質活動ってなに? アルマ望遠鏡から得られた熱放射マップから分かること

2018年11月24日 | 宇宙 space
地下には海があって、そこには生命が存在する… っと考えられている木星の第2衛星エウロパ。
その衛星エウロパの全球をカバーする熱放射マップが、アルマ望遠鏡による観測から始めて作成されたんですねー

そして分かってきたのが、北半球の一部には低温の領域があること。
温度にばらつきが生じる理由は分かっていませんが、どうやら表面にある物質が場所によって異なっていることが原因のようです。
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エウロパの表面は場所によって温度のムラがある

カリフォルニア工科大学の研究チームが、アルマ望遠鏡を使った観測で、木星の衛星エウロパの全球をカバーする熱放射マップを作ることに初めて成功しました。

マップの解像度は、エウロパ表面にある長さ約200キロの構造を見分けられるほど高いもの。
地上からの電波観測で、これほどの解像度が得られるのはアルマ望遠鏡ならではのことなんですねー
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アルマ望遠鏡で得られたエウロパの表面画像。
左から2015年11月17日、25日、26日、27日に観測されたもの。
研究チームはアルマ望遠鏡を使ってエウロパを4回観測した後、1990年代にNASAの木星探査機“ガリレオ”で得られたエウロパの温度モデルと比較。

その結果明らかになったのは、エウロパの表面は場所によって温度のムラがあり、北半球の一部には低温の領域が存在すること。

表面温度にばらつきが生じる理由は分かっていませんが、表面にある物質の温まりやすさが場所によって異なっているのかもしれません。


表面の温度から地質活動の発生場所や範囲が分かる

エウロパの表面には割れ目や裂け目といった複雑な地形があります。

これらの地形ができたのは2000万年前から1億8000万年前だと推定されていて、太陽系の46億年の歴史から考えると非常に若い地形といえます。

また、表面の薄い氷の層の下には塩水の海が存在していて、岩石質の核と接触しているという強い証拠もあります。

そのため、エウロパの表面や内部では、いまだ解明されていない熱的な地質活動が起こっているようです。

  木星の衛星エウロパでも地殻変動が起こる?
    

エウロパは地質学的に活動が活発で、地下に海を持つ天体だと考えられています。
なので、表面の温度から地質活動の発生場所や範囲を特定できるかもしれないんですねー

その意味でも、アルマ望遠鏡がもたらしてくれたエウロパ全球の熱放射マップは、大変重要なデータになります。


温度の低い天体の熱放射は電波望遠鏡だから観測できた

エウロパの表面は、最高でも摂氏マイナス160度以上の温度になることはありません。
なので、エウロパからの熱放射は電波望遠鏡の観測対象といえます。

それは、彗星や小惑星、衛星といった温度の低い太陽系天体が放射する熱放射は、アルマ望遠鏡のような電波望遠鏡やミリ波望遠鏡でないと検出することができないから。
光学望遠鏡で惑星や衛星を観測する場合には、これらの天体が反射した太陽光しかとらえることが出来ないんですねー

エウロパの表面で何が起こっているのか?
エウロパの熱的な性質を調べていけば、現象を理解するヒントが得られそうですね。


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