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“ジュノー”の軌道周期短縮はなし。理由は探査機の状態と軌道変更のリスク

2017年03月17日 | 木星の探査
53日周期の軌道で木星を周回しているNASAの探査機“ジュノー”。

計画では、現在の軌道を14日周期に短縮するはずだったんですが、
再検討の結果、53日周期の軌道に留まり続けることが決まりました。

探査機に何かあったのでしょうか?


“ジュノー”の状態

木星誕生の謎を解明するために2011年8月5日に打ち上げられた“ジュノー”は、
昨年の7月4日に木星に到達し、2月上旬までに木星を4周して観測を行っていました。
  ミッション開始! 探査機“ジュノー”が木星を初めて接近観測
    

最接近時には木星の雲頂から4100キロまで高度を下げ、雲を見透かしてオーロラを観測し、
木星の起源や構造、大気、磁気圏に迫ろうとしています。
2月2日に“ジュノー”が撮影した木星の南極。上層雲や多数の渦巻く嵐がくっきりと見えている。(雲頂からの距離は10万1000キロ)

当初の飛行計画では、“ジュノー”は53日周期の軌道で木星をもう2周してから、
残るミッション期間では軌道周期を14日に短縮することになっていたんですねー

でも、“ジュノー”の状態や軌道変更のリスクなどを考慮した結果、
計画を取りやめて53日周期の軌道に留まり続けることに決定しました。
  “ジュノー”はこれまでに、セーフモードに入ることや、
  バルブのトラブルにより予定軌道に入れないことがあった。



追加のボーナスミッション

ただ軌道変更は行われませんが、
木星への最接近距離は53日周期でも14日周期でも同じなので、
最接近時に得られるデータに違いがでるわけではありません。

また、長周期の軌道では木星から大きく離れる期間があるので、
そのときには遠く広がった木星の磁気圏を観測するチャンスにもなります。

これは当初の計画にはなかった探査上のボーナスになるんですねー

すでに追加ミッションも予定されていて、
木星の磁気圏尾部や磁気圏界面、磁気境界領域などを理解し、
磁気圏と太陽風とが、どのような相互作用を起こしているのか?
を理解することにつながるので、非常に重要な成果が期待できそうです。


探査機の寿命を長くする

さらに長い周回軌道のもう1つの利点は、
“ジュノー”が強力な放射帯の中を飛行する時間が短く済むことです。

放射線は探査機の寿命を短くする主な要因になるので、
これは大きなメリットになります。

現在、“ジュノー”は木星から4100キロ上空を周回していて、
探査を終える2018年7月までに木星を12周する予定。
木星周辺のNASAの探査機“ジュノー”(イメージ図)

その間は科学的な探査以外にも、
天文ファンからの投票によって撮影対象が決められるカメラ
“ジュノーカム”の稼動も予定されているそうですよ。


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