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世界初! 原始星を成長させる竜巻状高速ガス流を発見

2015年10月06日 | 宇宙 space
原始星から噴き出す高速ガス流が竜巻状の回転運動を伴っていることを、
鹿児島大学を中心とする研究グループが発見したんですねー

この原始星は“S235AB”といい、
国立天文台VERA望遠鏡を用いた、1年あまりにわたる継続観測による成果になります。


原始星を取り巻く円盤

太陽のような恒星はガスが集まって形成されますが、
そのガスは、もともと様々な運動をしているんですねー

なので、一度に全体が集まることはできず、
かなりの量のガスが、形成途上の恒星(原始星)の周囲を巡る円盤になります。

この円盤の回転にブレーキがかからないと、
円盤から原始星へガスが降り積もることができず、
原始星はそれ以上成長することが出来なくなります。

では、どうすれば円盤の回転にブレーキがかかるのでしょうか?

実は、原始星からは高速のガスが円盤と垂直方向に噴き出しています。

そのガス“双極ガス流”が、
磁場の働きによって回転すると、反動で円盤にブレーキがかかる
っという説がああります。

ただ、この説は、
これまで決定的な証拠は得られてはいません。


生まれたての恒星“S235AB”

今回、鹿児島大学の研究グループは、
太陽の11倍の質量を持つ生まれたての恒星“S235AB”に注目し、
国立天文台のVERA望遠鏡を用いて観測を行っています。

ぎょしゃ座の方向、
天の川の中央線に沿ったところに位置している“S235AB”は、
太陽系から見て、ちょうど天の川銀河の中心と反対方向。

この星について分かっていることは、
2方向にガスが噴き出していて、水分子が放つメーザー輝線を発していることでした。

研究グループでは、
2013年1月から1年3か月にわたって10回の観測を繰り返し、
“S235AB”の年周視差を測定。

そして距離を5100光年と決定しています。
VERA望遠鏡入来局のアンテナ。同型のアンテナが全国に4か所設置されていて、
全体で1つの望遠居を構成している。


メーザースポットから分かったこと

また“S235AB”では、
メーザーを発している部分(メーザースポット)を毎回10個以上観測。

地球が動くことで生じる見かけの運動のほか、
メーザースポット自体が運動しているので、
観測ごとにメーザースポットの位置が動いていることも確認されました。

距離が確定したことにより、メーザースポットの見かけの動きが、
実際には、秒速何キロに相当すかを求めることができます。

さらに、メーザー輝線は発信源での周波数が確定しています。

なので観測される周波数が、
ドップラー効果によってどれぐらいズレているかを、
測定することで視線に沿った速度を知ることができます。

つまり一連の観測から、
“S235AB”でのメーザースポットの動きを、
立体的にとらえることができるということです。

測定できたすべてのメーザースポットの動きを説明できるモデルを検討。

すると、メーザースポットが円筒状に分布し、軸に沿って一方方向に運動しつつ、
軸の周囲を回転しているとすれば、このモデルを上手く説明できることが分かることに…

要は、メーザースポットの動きは、
原始星から噴出するガスが回転していることを意味しているんですねー
回転しながら噴き出すガス流のモデル。

今回発見された竜巻状光速ガス流のイメージ図。

今回の発見は、
生まれてきた恒星が、どのように成長していくのかを理解する上で、
重要かつ先駆的な研究成果になります。

長年の謎であった、
恒星が形成される際に、回転がどのように遅くなるのかについて、
複数提唱されている説のどれが正しいのか?

決定的な答えが出るきっかけになるといいですね。


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