火星の衛星フォボスとダイモスのどこからきたのか?
いま考えられているのが捕獲説と巨大天体衝突説なんですが、
今回、コンピュータ・シミュレーションで巨大天体衝突説が検証され、
衛星が作られる過程が解明されたんですねー
地球の月の起源と同様に、
火星の衛星も“ジャイアント・インパクト”によって形成可能なようです。
ふたつの小さな衛星
火星の衛星フォボスとダイモスは、半径が10キロ程度で、
質量が火星の1000万分の1未満と非常に小さい天体です。
半径が1000キロを超える地球の月とは大きく異なる衛星ですが、
どちらの衛星も形状がいびつという特徴があります。
捕獲説
フォボスとダイモスの形状と表面のスペクトルは、
火星と木星の間に存在する小惑星と類似しています。
なので、この両衛星の起源は、
小惑星が火星の重力に捕獲されたものだと考えられていました。(捕獲説)
でも捕獲説には、
火星の赤道面を円軌道で回っているという運動を説明するのが、
極めて困難だという指摘もあるんですねー
巨大天体衝突説
一方で火星の北半球には、
巨大天体の衝突で形成された太陽系最大のクレーター“ボレアレス平原”が存在しています。
このことから提案されたのが、
巨大天体が衝突して衛星が形成されたという考え。(巨大天体衝突説)
地球の月の形成過程も、
同様の“ジャイアント・インパクト説”が有力視されているんですねー
ただ、火星の衛星も天体衝突で形成されたという、
具体的な過程を明らかにした研究はこれまでありませんでした。
衛星が作られるプロセス
今回の研究では、
コンピュータ・シミュレーションによって巨大天体衝突説を検証し、
次のようなプロセスで衛星を作ることが可能なことを示しています。
まず、火星質量の数%の天体が火星に衝突して破片が飛び散り、
火星の周囲に大量の破片を含んだ厚い円盤と、
その外側に少量の破片でできた薄い円盤が作られます。
内側の円盤の物質が集まって巨大衛星が形成され、
外側に移動して円盤外縁部を重力的な効果でかき混ぜ、
フォボスとダイモスの形成を促進。
その後、巨大衛星は火星の重力に引かれて落下して消失し、
現在観測される2つの衛星だけが生き残ったというわけです。
もし内側に巨大衛星ができていなければ、
フォボスやダイモスよりも小さい衛星が数多く誕生してしまい、
現在の火星系とは異なる姿になっていたようです。
今回の研究により、
火星の衛星が巨大天体衝突によって形成可能だと分かりました。
でも、この結果は捕獲説を否定するものではないんですねー
実際、どちらの説が正しいのかを決めるのに有効なのは、
衛星の物質を分析することになります。
巨大天体衝突説が正しければ、
衝突でばら撒かれた相当量の火星の物質が衛星に含まれているはずです。
日本では火星の衛星からのサンプルリターンが計画検討されているので、
探査機で衛星の物質を採取して地球に持ち帰れれば、
衛星の起源が明らかにできるかもしれませんね。
こちらの記事もどうぞ ⇒ 衛星フォボスは、ゆっくりと火星に引き裂かれている?
いま考えられているのが捕獲説と巨大天体衝突説なんですが、
今回、コンピュータ・シミュレーションで巨大天体衝突説が検証され、
衛星が作られる過程が解明されたんですねー
地球の月の起源と同様に、
火星の衛星も“ジャイアント・インパクト”によって形成可能なようです。
ふたつの小さな衛星
火星の衛星フォボスとダイモスは、半径が10キロ程度で、
質量が火星の1000万分の1未満と非常に小さい天体です。
半径が1000キロを超える地球の月とは大きく異なる衛星ですが、
どちらの衛星も形状がいびつという特徴があります。
フォボス(左)とダイモス(右) |
捕獲説
フォボスとダイモスの形状と表面のスペクトルは、
火星と木星の間に存在する小惑星と類似しています。
なので、この両衛星の起源は、
小惑星が火星の重力に捕獲されたものだと考えられていました。(捕獲説)
でも捕獲説には、
火星の赤道面を円軌道で回っているという運動を説明するのが、
極めて困難だという指摘もあるんですねー
巨大天体衝突説
一方で火星の北半球には、
巨大天体の衝突で形成された太陽系最大のクレーター“ボレアレス平原”が存在しています。
このことから提案されたのが、
巨大天体が衝突して衛星が形成されたという考え。(巨大天体衝突説)
地球の月の形成過程も、
同様の“ジャイアント・インパクト説”が有力視されているんですねー
ただ、火星の衛星も天体衝突で形成されたという、
具体的な過程を明らかにした研究はこれまでありませんでした。
近接遭遇した天体を重力によってとらえる捕獲説(左)と、 巨大衝突によって形成された破片から衛星が集積する巨大天体衝突説(右)の概念図。 |
衛星が作られるプロセス
今回の研究では、
コンピュータ・シミュレーションによって巨大天体衝突説を検証し、
次のようなプロセスで衛星を作ることが可能なことを示しています。
まず、火星質量の数%の天体が火星に衝突して破片が飛び散り、
火星の周囲に大量の破片を含んだ厚い円盤と、
その外側に少量の破片でできた薄い円盤が作られます。
内側の円盤の物質が集まって巨大衛星が形成され、
外側に移動して円盤外縁部を重力的な効果でかき混ぜ、
フォボスとダイモスの形成を促進。
その後、巨大衛星は火星の重力に引かれて落下して消失し、
現在観測される2つの衛星だけが生き残ったというわけです。
もし内側に巨大衛星ができていなければ、
フォボスやダイモスよりも小さい衛星が数多く誕生してしまい、
現在の火星系とは異なる姿になっていたようです。
巨大天体衝突説による衛星の形成過程の説明図。 |
今回の研究により、
火星の衛星が巨大天体衝突によって形成可能だと分かりました。
でも、この結果は捕獲説を否定するものではないんですねー
実際、どちらの説が正しいのかを決めるのに有効なのは、
衛星の物質を分析することになります。
巨大天体衝突説が正しければ、
衝突でばら撒かれた相当量の火星の物質が衛星に含まれているはずです。
日本では火星の衛星からのサンプルリターンが計画検討されているので、
探査機で衛星の物質を採取して地球に持ち帰れれば、
衛星の起源が明らかにできるかもしれませんね。
こちらの記事もどうぞ ⇒ 衛星フォボスは、ゆっくりと火星に引き裂かれている?
月は地球と同じもので
できているというですか?
月はキレイに丸くなったのですね。
月もゆがんでいるようですよ。