ブラックホールには2つのタイプがあるのを知ってます?
太陽の数倍程度の質量を持つ恒星質量ブラックホールと、
太陽質量の数百万倍から数十億倍の質量を持つ超大質量ブラックホールです。
超大質量ブラックホールは、恒星質量ブラックホールが合体してできると考えられているので、この2つのブラックホールの中間くらいの質量を持つ“中間質量ブラックホール”もあるはず。
なのに、“中間質量ブラックホール”の決定的な証拠はまだ見つかっていないんですねー
今回、2つの研究チームがそれぞれ数十個の“中間質量ブラックホール”の候補を見つけました。
この“中間質量ブラックホール”を調べていけば、いまだ謎になっている超大質量ブラックホールの形成過程を解明する手がかりが得られるかもしれません。
初の中間質量ブラックホールを確認 “HLX-1”
小さな銀河に活動的なブラックホールを発見
今回、2つの国際共同研究チームがそれぞれ独立に、“中間質量ブラックホール”に関する新たな研究成果を発表しています。
その1つ、スペイン・宇宙科学研究所を中心とする研究チームが用いたのは、NASAのX線天文衛星“チャンドラ”で行われた“チャンドラCOSMOSレガシー・サーベイ”の観測データ。
このデータから、通常の銀河の1/100ほどの質量しかない“矮小銀河”に存在する“中間質量ブラックホール”を探しています。
“チャンドラCOSMOSレガシー・サーベイ”は“COSMOS(Cosmic Evolution Survey)”と呼ばれる
大規模サーベイ観測キャンペーンの一環として行われた。
COSMOSは、ろくぶんぎ座の方向にある約2平方度(満月の約2.5倍)のエリアを、
世界中の天体望遠鏡や観測衛星を使ってあらゆる波長で極めて暗い天体まで
根こそぎ撮影しようというプロジェクト。
“チャンドラ”は2012年11月から2014年3月まで、述べ53日間にわたってCOSMOSサーベイの観測領域をX線で観測。
X線は、ブラックホール周囲のガスが数百万度にまで過熱されて放射されるので、銀河の中心近くに明るいX線の点光源があれば、そこにブラックホールが存在する紛れもない証拠にななります。
研究チームは“チャンドラ”のデータから、矮小銀河の中にある活動銀河核を40個発見。
活動銀河核とは、ガスを盛んに取り込んで成長している活動的なブラックホール。
これらは太陽質量の1万倍から10万倍の“中間質量ブラックホール”だと推定されます。
このうち12個は地球から50億光年以上はなれた距離にあり、最も遠いものは109億光年の距離にあります。
これは矮小銀河で見つかった活動銀河核としてはこれまで出最も遠いものになる。
また、活動銀河核を持つ矮小銀河として過去最小の銀河も見つけています。
ただ、見つかったのはまだ数十個ほど…
理論を裏付けるほど十分な数の“中間質量ブラックホール”が見つかったわけではないんですねー
過去最大の“中間質量ブラックホール”サンプル
一方、アメリカ・ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの研究チームが用いたのは、スローン・デジタル・スカイ・サーベイの可視光線データです。
このデータから、太陽質量の30万倍以下の活動銀河核を持つと見られる銀河を305個を選出。
この305個のうち18個の銀河について詳細なX線観測のデータを調べてみると、10個からブラックホールによるX線を検出されます。
ブラックホールの質量は太陽の4万~30万倍と求められた。
この個数の比率から研究チームが見積もったのは、X線を出していないものも含め、305個の候補の約半数は“中間質量ブラックホール”ではないかということ。
発見された“中間質量ブラックホール”候補天体は約9割が13億光年以内にあり、最も遠いものでも28億光年の距離でした。
これは過去最大の“中間質量ブラックホール”のサンプルになります。
今後、これらのブラックホールが超大質量ブラックホール形成の謎を解明するために活用されることになります。
超大質量ブラックホールへの成長
超大質量ブラックホールはビッグバンから間もない初期宇宙でも見つかっています。
宇宙で最初に作られた恒星たちが一生を終えてブラックホールになり、これら複数のブラックホールが合体して超大質量ブラックホールへ成長したとすると、時間がかかりすぎるんですねー
それでは、ビッグバンの後、どうやってこれほど速く超大質量ブラックホールが作られたのでしょうか?
この疑問を説明するモデルに、太陽の数十万倍の質量を持つ巨大ガス雲が収縮して、短期間で一気に超大質量ブラックホールが出来るというものがあります。
ただ、かなりの数の“中間質量ブラックホール”が宇宙に存在することを示唆する研究結果もあります。
なので、太陽質量の100倍程度の“ブラックホールの種”が時間をかけて合体して“中間質量ブラックホール”になり、“中間質量ブラックホール”がさらに合体して超大質量ブラックホールに成長しているのかもしれません。
どちらか一方というより、超大質量ブラックホールへの成長には両方のメカニズムが存在するように思えますね。
より確かな結論を得るには、さらに多くのブラックホールのサンプルを得る必要があるので、将来打ち上げられる観測衛星や望遠鏡に期待しましょう。
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中間質量ブラックホールは球状星団の中心に隠れていた
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超大質量ブラックホールは、恒星質量ブラックホールが合体してできると考えられているので、この2つのブラックホールの中間くらいの質量を持つ“中間質量ブラックホール”もあるはず。
なのに、“中間質量ブラックホール”の決定的な証拠はまだ見つかっていないんですねー
今回、2つの研究チームがそれぞれ数十個の“中間質量ブラックホール”の候補を見つけました。
この“中間質量ブラックホール”を調べていけば、いまだ謎になっている超大質量ブラックホールの形成過程を解明する手がかりが得られるかもしれません。
初の中間質量ブラックホールを確認 “HLX-1”
小さな銀河に活動的なブラックホールを発見
今回、2つの国際共同研究チームがそれぞれ独立に、“中間質量ブラックホール”に関する新たな研究成果を発表しています。
その1つ、スペイン・宇宙科学研究所を中心とする研究チームが用いたのは、NASAのX線天文衛星“チャンドラ”で行われた“チャンドラCOSMOSレガシー・サーベイ”の観測データ。
このデータから、通常の銀河の1/100ほどの質量しかない“矮小銀河”に存在する“中間質量ブラックホール”を探しています。
“チャンドラCOSMOSレガシー・サーベイ”は“COSMOS(Cosmic Evolution Survey)”と呼ばれる
大規模サーベイ観測キャンペーンの一環として行われた。
COSMOSは、ろくぶんぎ座の方向にある約2平方度(満月の約2.5倍)のエリアを、
世界中の天体望遠鏡や観測衛星を使ってあらゆる波長で極めて暗い天体まで
根こそぎ撮影しようというプロジェクト。
“チャンドラ”は2012年11月から2014年3月まで、述べ53日間にわたってCOSMOSサーベイの観測領域をX線で観測。
X線は、ブラックホール周囲のガスが数百万度にまで過熱されて放射されるので、銀河の中心近くに明るいX線の点光源があれば、そこにブラックホールが存在する紛れもない証拠にななります。
COSMOSサーベイの観測領域。カラーで表示されているのが“チャンドラ”で検出されたX線減で、 ほとんどがブラックホールだと考えられている。青色に近いほどX線のエネルギーが高い。 赤外線天文衛星“スピッツァー”で撮影された同じ領域の赤外線画像を白黒で重ねている。 右下は銀河中心のブラックホール(イメージ図)。 |
活動銀河核とは、ガスを盛んに取り込んで成長している活動的なブラックホール。
これらは太陽質量の1万倍から10万倍の“中間質量ブラックホール”だと推定されます。
このうち12個は地球から50億光年以上はなれた距離にあり、最も遠いものは109億光年の距離にあります。
これは矮小銀河で見つかった活動銀河核としてはこれまで出最も遠いものになる。
また、活動銀河核を持つ矮小銀河として過去最小の銀河も見つけています。
ただ、見つかったのはまだ数十個ほど…
理論を裏付けるほど十分な数の“中間質量ブラックホール”が見つかったわけではないんですねー
過去最大の“中間質量ブラックホール”サンプル
一方、アメリカ・ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの研究チームが用いたのは、スローン・デジタル・スカイ・サーベイの可視光線データです。
このデータから、太陽質量の30万倍以下の活動銀河核を持つと見られる銀河を305個を選出。
この305個のうち18個の銀河について詳細なX線観測のデータを調べてみると、10個からブラックホールによるX線を検出されます。
ブラックホールの質量は太陽の4万~30万倍と求められた。
この個数の比率から研究チームが見積もったのは、X線を出していないものも含め、305個の候補の約半数は“中間質量ブラックホール”ではないかということ。
発見された“中間質量ブラックホール”候補天体は約9割が13億光年以内にあり、最も遠いものでも28億光年の距離でした。
これは過去最大の“中間質量ブラックホール”のサンプルになります。
今後、これらのブラックホールが超大質量ブラックホール形成の謎を解明するために活用されることになります。
超大質量ブラックホールへの成長
超大質量ブラックホールはビッグバンから間もない初期宇宙でも見つかっています。
宇宙で最初に作られた恒星たちが一生を終えてブラックホールになり、これら複数のブラックホールが合体して超大質量ブラックホールへ成長したとすると、時間がかかりすぎるんですねー
それでは、ビッグバンの後、どうやってこれほど速く超大質量ブラックホールが作られたのでしょうか?
この疑問を説明するモデルに、太陽の数十万倍の質量を持つ巨大ガス雲が収縮して、短期間で一気に超大質量ブラックホールが出来るというものがあります。
ただ、かなりの数の“中間質量ブラックホール”が宇宙に存在することを示唆する研究結果もあります。
なので、太陽質量の100倍程度の“ブラックホールの種”が時間をかけて合体して“中間質量ブラックホール”になり、“中間質量ブラックホール”がさらに合体して超大質量ブラックホールに成長しているのかもしれません。
どちらか一方というより、超大質量ブラックホールへの成長には両方のメカニズムが存在するように思えますね。
より確かな結論を得るには、さらに多くのブラックホールのサンプルを得る必要があるので、将来打ち上げられる観測衛星や望遠鏡に期待しましょう。
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