今日はイラストレーターの村松正孝さんとツー・スリーのI君で王子駅前の北とぴあで行われた沢田研二のライブを取材(もちろん自腹取材)。それまでも個人的にはジュリーのアナログ盤を集めていたりして興味はあったのだけれどもライブは初めてだ。しかしレコードで聴くことはあっても、70年代に大ヒットを連発していた大衆歌手ジュリーから、突然変貌した80年代半ば以降のロックシンガー沢田研二あたりまで。それから現在まで、シンガー沢田研二の記憶はほとんど抜け落ちている。
ステージはギター2本(なんと下山淳が参加!)にベース、ドラムとシンプルな構成。噂には聞いていたけれども、ほとんどMCもなく新曲を中心に1時間30分ほどのステージを一気に突っ走る。ロックである。ジュリーの膨大なヒット曲の中からわずかに選曲された「ストリッパー」もまるでロッククラシックスのようだった。つまり、おそらく、ジュリーはあの頃(80年代)から変わっていなかったのだ。
ヒットパレードを期待する人にとっては物足りなさもあったかもしれないが、このライブで初めて聴いた“新曲”はかなりレベルの高い楽曲ばかりだった。もちろんライブ後には今年2月にリリースされた最新作『CROQUEMADAME & HOTCAKES』も購入(10曲収録で3500円というかなり高めな価格設定だが)。これ必聴。
ただ、やはり、物足りなさは残る。ジュリーはなぜ過去のヒット曲を封印してしまうのだろう。キャリアからも実績からも、そして年齢からももっとエンタテイメント志向に向かってもおかしくないはずなのに(そして、それがシンガーとしてもっとも長生きしやすいと思う)、それでもジュリーはロック“バンド”へ向かう。
もっとロッカーとして再評価されるべき人だと思った。久々に観た下山にも感動したが。