<西側社会の文明がいかに驚くべきものであるか--いままでそれに思い当たったことはないか? 工業化諸国は自国の市民に前例のない安全、健康、快適さを手に入れさせた。平均寿命はこの一世紀で五〇パーセントも伸びておる。そのくせ、現代人は絶望的な恐怖ととなりあわせで生きておるじゃろう。見知らぬものを恐れ、病気を恐れ、犯罪を恐れ、環境を恐れ、自分たちが住む家を恐れ、自分たちが食う食いものを恐れ、自分たちのまわりにあふれるテクノロジーを恐れ--とりわけパニックを起こしやすいものが、目に見えないもの相手の恐怖じゃ。病原菌、化学物質、添加物、汚染物質。現代人はいつもなにかに怯え、神経質になり、いらだち、抑圧されておる。さらに驚くべきは、自分たちの住むこの惑星全体の環境が破壊されつつあると信じ込んでおることだ。あきれてものもいえんわい! 魔法を信じるのとまるっきり変わらん。(中略)いかにしてこんな世界観が人々の心に浸透したのか? それはな、人間はべつべつの国に住んでいると思い込んでおるが(中略)じっさいのところは、おなじ国に住んでおるいからなんじゃよ、すなわち≪恐怖の国(ステイト・オブ・フィアー)≫にな。>(マイケル・クライトン/酒井昭伸訳『恐怖の存在』上・下巻 早川書房/下巻p219)
地球温暖化、とまでいかなくても、似たようなファナティックな人たちが(意識、無意識を問わず)作り出す状況はどこにでもある。やはり日本も「恐怖の国」。
地球温暖化、とまでいかなくても、似たようなファナティックな人たちが(意識、無意識を問わず)作り出す状況はどこにでもある。やはり日本も「恐怖の国」。