歌野晶午の『死体を買う男』を読んだ。
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主人公は、かつて推理文壇で賞を受賞したこともある作家の細見辰時。最近は小説を全く書いていない彼が、「白骨鬼」というミステリー作品を読んで、筆をとるというお話。作中作の「白骨鬼」は、江戸川乱歩と萩原朔太郎が南紀白浜で自殺した双子の片割れの青年の死に疑問を持ち、謎解きをする本格ミステリー。二転三転する展開はまずまず読み応えあり。「そんなわけないだろ」という突っ込みを入れつつも楽しく読める作品。以下ネタバレを含むので未読の方は読まないように。
「白骨鬼」は、実際に起こった事件を元に書かれた作品。直と均の双子のうち直が自殺したと思われていた事件なのだが、乱歩と朔太郎が推理した真実は、均は事前に殺されていて、双子の直(実は均)が自殺したように見せかけたというもの。それで大団円のはずなのだが、細見辰時が筆をとったのは、細見自身が均であり、実際に殺されていたのは直だというお話。誰が殺されていて誰が生き残っているのかという点が二転三転する。ちと無理のあるお話だが、それなりに楽しく読める作品だ。
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