(ホテルの室内にあったウェルカムフルーツ)
バンコクに着いたのは、夜の19時だった。
「訪タイ記 1) 国境へ」
「訪タイ記 2) 国境の診療所α」
「訪タイ記 2) 国境の診療所β」
「訪タイ記 2) 国境の診療所γ」
「訪タイ記 3) ドリアン」
「訪タイ記 4) 難民キャンプα」 「β」 「γ(学校)」
「δ(カレン族とキリスト者)」 「ε(仕事があること、時間があること)」
「訪タイ記 5)国境にて」
「訪タイ記 6)つれづれなるままに」
「訪タイ記 7)バンコクへ」
「訪タイ記 8) バンコク→」
「訪タイ記 2) 国境の診療所α」
「訪タイ記 2) 国境の診療所β」
「訪タイ記 2) 国境の診療所γ」
「訪タイ記 3) ドリアン」
「訪タイ記 4) 難民キャンプα」 「β」 「γ(学校)」
「δ(カレン族とキリスト者)」 「ε(仕事があること、時間があること)」
「訪タイ記 5)国境にて」
「訪タイ記 6)つれづれなるままに」
「訪タイ記 7)バンコクへ」
「訪タイ記 8) バンコク→」
「ミンガラバー(ビルマ語で、こんにちは)」から「サワッディー・カップ(カー)(タイ語で、こんにちは)」へ。
ドンムアン Don Mueang 空港から、市中に入るのには、タクシーや電車、バスがある。
航空券と一緒に予約したホテルから提示されたのは、260Bのタクシーだった。
(高い)
そう感じたキャベツは、情報収集の結果、
「空港を出て、赤バスに乗ってファラムボーン駅まで行き、
そこからサラディーン駅まで乗り継ぎし、
サラディーン駅から、予約したホテルに行こう」
と、考えた。
**************
理由は、いくつかあった。
1.アジアのタクシーは苦手
アジアに旅慣れていないキャベツは、ぼったくりタクシーに一度やられたことがあった(前回=初・東南アジアにて)。
さすがに、ホテルからの迎えならば間違えはないだろうが、・・・だが、260B(=700円)は高い。
2.最寄駅のサラディーン駅の近くの、クリスチャンゲストハウスで、タイ語―英語の聖書が売っているとの情報あり
日曜日、お邪魔する集会は、タイ語onlyの集会と聞いたキャベツ。
Mae Sotでお会いした方から、タイ語と英語の対訳の聖書が売っているところがあると、
それも今回泊まるホテルの近くであるとわかり、そこに立ち寄ろうと考えた。
3.タクシーを使うなんて、貧乏旅行には似合わない
沢木耕太郎の『深夜特急』や、ジョージ・オーウェルの『パリ・ロンドン放浪記』が好きなキャベツ。
タイ自体にはそれほど興味がなかったため、深夜特急に載った場所は全然覚えていないが、
カオサン通りくらいは、知っている。
ただ、慣れていない場所の上、タイ語もできないとなると、格安ホテルにするのも軽率な気がする。
仕方ない。
ホテルはきちんとしていそうなところを選んで、その代わり、できるだけ交通費は節約しよう。
(バンコク⇔メソット間の航空機は、時間>費用という優先順位故)
<ドンムアン Don Mueang 空港から市中へ>
ホテルのタクシー 260B
空港ビル前始発の、BTSモーチット駅までの空港バス 30B(≒100円)
空港前のウィパワディーランシット通りからの、黄バス ?B
同上からの、赤バス 6.5B ときどき、無料
(・・・赤バス、探すっきゃない)
*****************
ちなみに、今後、成田から、Air Asia経由でドンムアンを利用する旅行者もい少なからずいると思うので記すが、ドンムアン空港から、赤バス・黄バスのある通りに行く道は、本当に分かりづらい。
個人サイトで写真付きで詳細に情報が載ってあるが、入口が分かりにくい。
日本の情報誌にも、それは書かれていない。
空港の案内のおじちゃんに聞いても、「アマリエアポートホテルを予約しているのかい? そうでないなら、こっちはどうだい?」とホテルを薦められてしまうが、とりあえず、教えてもらうと、灯台もと暗しとは良く言ったものだ、道は目の前にある。
雨の中、上って、下って、待つこと20数分。
赤バスは来なかったため、29番の黄バスに乗った。
黄バスは、空調(エアコン)が付いているらしく、快適だった。日本の普通のバスのよう。
乗車して椅子に座ると、じゃらじゃら切符とお金が入った筒のようなものを片手に持ったおばちゃんが、私に何かを尋ねたが、タイ語はさっぱりわからなかった。
「誰か、英語できる人、いない?」
そんな感じのおばちゃんの声かけに、若くて美人なお姉ちゃんが、声をかけてきた。
「どこまで行くの?」
―フアラムボーン駅まで行くって、聞いたんですけど・・・ そこからサラディーンまで乗り換える予定なんですが・・・。
お姉ちゃんが、おばちゃんに尋ねた。おばちゃんは、かぶりを振った。
「このバス、最終地点まで行かないらしいの。その代わり、途中、モーチット駅を通るから、そこまででいい?」
―ありがとうございます!!
かくして、16B(=60円)をおばちゃんに支払い、先に降りるお姉ちゃんに会釈をしたキャベツだった。
モーチット Mo Chit駅からサラディーン Sara Daeng駅まで42B。
BTS サラディーン駅からホテルまで「400m位ですが、道が悪いので、タクシーを呼んだ方がいいですよ。40-50B位です」とバンコクでお世話になる方から、親切なコメント付き案内が事前にあったが、先の「理由その1・2」のため、歩くことを選択したキャベツ。
結局、そのクリスチャンゲストハウスはどうにか見つかったが、タイ語―英語の聖書は置いておらず、代わりに、タイ語―英語の聖書関連のうすっぺらい辞書を買った。
20時過ぎ、だろうか。
ホテルには、無事に着いた。
ホテルのスタッフは、流暢な聞きやすい英語だった。
「朝食は、いかがですか?」
-あまり、食べないので大丈夫です。
朝、コーヒーと果物で十分なキャベツにとって、2,000円以上の朝食は不必要だった。
ポーターに、20B。
航空券と一緒に、ビジネスホテル並みの料金で予約できたホテルは、空調もしつらえもタオルも従業員も行きとどいた、良いホテルだった。
このとき、一息ついたのと同時に、私は、奇妙な感覚を味わっていた。
国境で、あの蒸し暑さを味わい、
慢性期状態の、あの難民キャンプを見聞きし、
難民のための診療所を見、
新しい診療所のためにセメントを流しているところにお邪魔し
川辺の草むらの中にすむ人たちを見、
友人のバイクにスーツケースごと乗りこんで市中を動き、
雨の中、バスを待ち、
人々の中を歩いていた異邦人が、
今、
涼しく、快適な空調となるよう整えられた中、
清潔で、ふかふかのベッドとリネンを味わい、
横たえられるほどの広さのユニットバスで、ふんだんにお湯を用いて、体を洗い、
備え付けのコーヒーや果物があり、
身を横たえられることに、
その落差に、くらっときたのだった。
体力があったら、夜のシーロム、すなわちパッポン通りとやらを見に行ってみたかったが、
キャベツには、もはやその気力もなかった。その夜、記録もできなかった程、身体はくたびれていた。
数切れの果物を口にし、コーヒーを飲み、
久しぶりの風呂(=お湯をためる)に入り、
バタンと布団に入ったキャベツが、
そこが 実は五つ星ホテルであると知ったのは、翌日だった。
(続く)