是枝監督の『万引き家族』がカンヌ映画祭でパルムドールを受賞しました。
伝えられるところでは、この作品には現在の日本に対する監督の思いが込められているそうです。
その点に関して海外メディアに語った内容が議論を呼んでいるようですね。
私としては、結構なことだと思います。
社会に何か問題がるのなら、それは指摘されるべきでしょう。
愛国心というのは、現実を無視してとにかく「日本すごい」といい続けることではないはずです。
近年一部の人たちが主張する愛国心というのは、とにかく日本の文句をいうな、国のやることを批判するなというふうに聞こえるんですが、それはなんだか愛をはき違えてるよなあ、と常々思っています。
たぶん、是枝監督にもそういう問題意識があったんじゃないでしょうか。
グローバル化が貧富の差を拡大させ、偏屈な人を増やす……というのはずいぶん前からいわれていることですが、この十数年ほどのあいだに、日本もそれがかなり進行してきたような気がします。焼きが回ったというやつですかね。弱い者が、自分よりも弱いものをたたいて満足を得る……そんなブルーハーツのTRAIN TRAIN的な状況があちこちにあって、それが是枝監督の一連のコメントにつながっているようにも思えるのです。
そういう状況に異を唱えるのは、表現の手段を持っている人としてやらずにられないことだったんじゃないでしょうか。
たとえそれが、奔流を手でせきとめるような試みだとしても……