“音響栽培”というニュースを聞きました。
音楽を流しながら植物を栽培するとよく成長する……というんです。
それだけ聞くと、いかにも疑似科学的なうさん臭さが漂ってきます。はたして、本当にそんなことあるんでしょうか。
以前、科学コラムニストとして知られる竹内久美子さんの文章で、それについて読んだことがあります。
竹内さんがいうには、「優しい言葉をかけると植物がよく育つ」とか、音楽で植物がよく成長するというのは、科学的に見て必ずしも根拠のないことではないそうです。
植物に音楽を聴かせると、害虫を食べてくれる鳥が周囲にたくさんいると誤認して、よく成長するようになるというんです。
鳥が害虫を食べてくれるとしたら、植物は思う存分に成長できる。音楽などを聴かせると、そういう鳥が周りにたくさんいると植物が認識し、よく成長するようになるというわけです。実際、太平洋諸島の農民は、その地方の鳥の鳴き声をマネして作物の収穫を増やしており、インドにも似たような風習があるのだとか……
どうなんでしょうか。
まあ正直なことをいうと、竹内さんのコラムには結構マユツバなところもあると私は個人的に思ってるので(当該コラムを収録する本のタイトルが『千鶴子には見えていた! 透視はあっても不思議はない』だったりするところとか)、そのまま鵜呑みにしていいのかはちょっと戸惑うところです。
一応そういう実験もあるみたいです。
竹内さんのコラムによると、インドのアンナマライ大学のT.C.シンという教授が実験をしたそうです。
インド神話で、ヴィシュヌの化身であるクリシュナが音楽によって植物を繁茂させていたという神話に着想を得て、音楽を聞かせてみたら、植物がよく成長したといいます。
また、ドロシー・リタラックという人は、植物にロックやジャズ、クラシックなどさまざまなジャンルの音楽を聞かせる実験をしたそうです。
それによると、植物はインドの音階であるラーガを好んだということです。一方で、ロックはきらいで、レッド・ツェッペリンやジミ・ヘンドリクスを聴かせると、育ちがよくなかったとか。
ただし、別の人の研究では、カリプソマメという豆にヴァン・ヘイレンを聴かせたらすくすく育ったといいます。
……こうなってくると、植物というのは意外とちがいのわかるやつなのかもしれません。音響栽培というのも、疑似科学と切り捨てるわけにはいかないのかも。