日本が韓国を「ホワイト国」から除外したことが騒動になっています。
韓国側も、これに対してただちに報復的措置をとり……泥仕合の予想を呈してきています。
この件で韓国を非難するのはたやすいでしょう。
問題の大本をたどっていけば、韓国側の問題のほうが比重が大きいのかもしれません。
しかし私には、ここにいたるまでの経緯に、致命的な外交の失敗があったように思えてなりません。
というのも、問題なのは日韓関係だけではないんです。
以前も書きましたが、北朝鮮の拉致問題もいっこうに進展していないし、アメリカには5倍の負担をしろといわれる。ロシア関係では、日本側の再三の中止要請にもかかわらず、メドベージェフ首相が北方領土を訪問しています。
これらの事例からわかるとおり、いまの日本に“外交”は存在しません。
あるのは、自分より強いとみたものにはこびへつらい、そうでない相手には強気に出るという子供じみた態度だけです。
これはまるで、江戸時代末期の幕府のようです。
ペリー来航後の徳川幕府は、砲艦外交でごり押ししてくるアメリカなどに対しては低姿勢に出る一方で、二百年来の友好国のよしみで強硬姿勢をとらなかったオランダに対しては冷淡な態度を見せていました。
じつに、情けないというかカッコ悪い態度です。
こんなことで、まともな外交なんてできるわけがありません。結果、江戸幕府は滅びてしまいました。
話を現代に戻すと……
もし韓国の態度に問題があるというだけなら、「日韓関係は悪化の一途だけれど他の国との関係はうまくっている」という状態になるはずじゃないでしょうか。
しかし現実には、対米、対ロ、対北朝鮮と、軒並みバカにするような扱いを受けているわけです。となると、これは日本の外交に問題があると考えざるをえないでしょう。
今回のホワイト国除外という問題に限定しても、日本側にも相当なダメージがあると指摘されています。
一時の感情で動き、長期的には国益を損なう……これは外交とはいえません。強硬な態度をみせることで人気取りというこの状況は、なんとかする必要があるでしょう。