先日、ジュンスカについての記事を書きました。
ジュンスカは、インディーズ時代にアルバムを一枚出しています。それは、キャプテン・レコードというところからでした。
このキャプテン・レコードというのは宝島という雑誌が主宰していたものです。
宝島……
拙著『ホテル・カリフォルニアの殺人』も、宝島社からの刊行。
私も宝島社に拾い上げられた身であり、ということは、キャプテン・レコードと従兄弟の孫ぐらいの縁はあるといえます。
やや強引ですが……今回は、その強引なつながりをさらに拡張し、「キャプテン・レコードからインディーズ時代にアルバムを出していたバンド」つながりで、the pillows について書きます。
ピロウズ。
ご存知でしょうか。
同じくキャプテン・レコードからアルバムを出していることからもわかるとおり、ジュンスカとは同世代で、30年近く前から活動しています。チャートで1位になったりすることはありませんが、強く支持するファンがいて、長きにわたって消滅することなく活動を続けています。
ピロウズの名曲は数あります。ストレンジ・カメレオン、ハイブリッド・レインボウ、スケアクロウ……と、ちょっと考えただけでも次々に浮かんできます。そのなかで、今回は「確かめに行こう」という曲について書きたいと思います。
ピロウズといえば、切ないメロディに切ない歌詞というのが一つの特徴だと思いますが、それがぎゅっとつまった曲が、この「確かめに行こう」だと思うんです。
冒頭のギターから、もうそうですね。
あれを聴くと私は、雨があがったあとに、曇り空から淡く日が差してくるような情景が思い浮かびます。
どこかもの悲しく、世界に弾かれているような感じが、歌詞にも描かれます。
ゆずったぶんだけ歪んだのさ
ひび割れたとこ 手をあててみた
なんだか毒が抜けて真っ白
僕が鏡で笑ってる
ひび割れたとこ 手をあててみた
なんだか毒が抜けて真っ白
僕が鏡で笑ってる
この曲では、G→Em→Bm7→Cというコード進行がひたすら繰り返されます。途中の一部分を除いて、すべてそれです。
名曲というのは、えてしてそんなものです。
レディオヘッドのCREEPなんかも、4つのコードの繰り返しですからね。
どんな期待をしていたんだろう
種も仕掛けもないマジックに
騙されたいと願ってみても
目と耳は飾りじゃないから
それもできない
種も仕掛けもないマジックに
騙されたいと願ってみても
目と耳は飾りじゃないから
それもできない
ピロウズは、オルタナ系であることを自任していますが、このあたりの歌詞にはオルタナっぽさが濃厚に表れています。こういう感じは、ピロウズの歌で繰り返し出てきます。
歌詞の最後は、「いつわりのない世界まで確かめに行こう」というフレーズでしめくくられます。
ピロウズはまさに、「いつわりのない世界」を目指しているんだと思います。
プロダクションで作り出された虚構の人気なんかいらない。彼らの音楽を聴いていると、そういう感じが伝わってきます。作り物だらけの世界に弾き出されたとしても、時代に流されて歌ったりしない。だからピロウズは、リアルなんです。