ロック探偵のMY GENERATION

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深尾光洋『日本破綻 デフレと財政インフレを断て』

2018-01-28 21:16:48 | 
深尾光洋さんの『日本破綻 デフレと財政インフレを断て』(講談社現代新書)という本を読みました。

“日本破綻”とは、なかなかショッキングなタイトルですが、デフレをなんとかしないと日本の財政が破綻しかねないぞ、という内容です。

発表されたのは、2001年。
当時はまだ国の借金も(今と比べれば)そこまで深刻ではありませんでしたが、デフレを脱却しないとまずいということで、そのための提言をしています。

その中身は、国債の買取や、株価に連動した金融商品などの買取による積極的な量的緩和、そしてマイナス金利の導入……

この五年ほど黒田総裁のもとで日銀がやってきたことの多くは、この本で提言されている内容に沿ったものといえるでしょう。
かなり専門的な内容で私の理解が追いつかない部分もありましたが、基本的には、なるほどそういうものかと納得させられる話が多いです。

デフレを脱却しなければならないというのはそのとおりでしょう。

しかし、ではその対策として、果たして量的緩和やマイナス金利は有効なのか……ということになると、そこには首をかしげます。

実際それをやってみて、日本経済がデフレから脱却しているとは言い難い現状があります。
二、三年ならともかく、“異次元緩和”をはじめてからもう何年も経ったわけですから、このやり方に本当に効果があるのかということを検証しなければならないでしょう。
というよりも、実はもうすでに日銀自身、その失敗は半ば認めているんですね。
先日、日銀の政策決定会合では現状維持が確認されたということですが、実はその裏側で、もうすでに“異次元緩和”は事実上手じまいにむかって動いているといわれます。緩和によってインフレを起こすという政策は、その目的を果たせないままに終わろうとしているのです。

なんだか批判的な書きぶりになってしまいましたが……べつに、この著者の方をディスろうというわけではないんです。
いまの日銀のやり方で本当に大丈夫なのか。このことは考えておく必要があります。
ついでなので、そのあたりについてもう少し書いておきましょう。

人工的にインフレを起こすということの可否以前に、そもそも論として、物価上昇が経済をよくするとは私には思えません。

先日読売新聞に載った記事によると、消費者が肌で感じる“体感インフレ率”は5%ほどにも達しているといいます。この状況に、消費者は支出の抑制でこたえ、その結果消費が伸びないのが現状でしょう。そこへ物価がどんどん上がっていって、それで景気がよくなるとは思えません。
企業業績は好調でも、一般の人はどんどん窮乏していく。それが世の中全体をぎすぎすさせている……それが現状ではないでしょうか。


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