ロック探偵のMY GENERATION

ミステリー作家(?)が、作品の内容や活動を紹介。
『ホテル・カリフォルニアの殺人』(宝島社文庫)発売中です!

本田美奈子.の名曲を振り返る

2022-04-19 21:32:37 | 過去記事

本田美奈子. 「アメイジング・グレイス」

今日は11月6日――これは何の日かというと、本田美奈子.の命日です。そこで今回は、音楽評論記事として、本田美奈子.について書こうと思います。(本田美奈子の名前表記は、死去した時点で......



過去記事です。

本田美奈子.について書いたもの。

先日「クイーンの日」ということで記事を書きましたが、元記事でも書いたように、「アメイジング・グレイス」にはクイーンのブライアン・メイがプロデュースしたバージョンが存在します。
その音源がYoutubeにあったので載せておきましょう。

アメイジング・グレイス 2008 produced by Brian May

ついでに、本田美奈子.の曲をいくつか。
ここでもやはり、いまの状況に響いてくる歌を……
これらの歌を聴けば、クイーンに、フレディ・マーキュリーに通ずるものがあるということが伝わってくるでしょう。



「この素晴らしき世界」。
元記事で紹介したボイスレターの音源にピアノ伴奏をつけたものです。あの記事を書いたときには知らなかったんですが、ボイスレコーダーに遺された音源にピアノをつけたものがアルバムとして発表されているんだそうで、そこに収録されているバージョンになります。

この素晴らしき世界 (Voice Recorder with Piano)

もとは、ルイ・アームストロング。
ベトナム戦争の頃に平和への願いをこめて歌われた歌で、映画『グッドモーニング・ベトナム』でも使われました。


トリノ五輪で有名になった「誰も寝てはならぬ」。

誰も寝てはならぬ~オペラ「トゥーランドット」より

以下に、歌詞も紹介しておきましょう。

  眠れなくて 眠れなくて
  夜更けにひとり 見上げるよ星よ
  教えて ねえ 人の愛はもう燃え尽きたの
 
  憎しみの炎 星さえこがして
  人は争いに生きて
  忘れたの やさしさ

  心の奥の愛に目をつぶらないで

  やさしさを呼びさまして
  招こう 愛の勝利の日を
  その日を その日を




ホルストのジュピター。
この歌も、元記事で紹介しました。

ジュピター~組曲「惑星」より



最後に、「タイスの瞑想曲」。
ちょっと前にも紹介しましたが、今回は別バージョンで。


タイスの瞑想曲 (Eternal Harmony Version)


今回は、歌詞も引用しておきましょう。
本田美奈子.自身がつけた詞です。

 争いの後に何が残るの
 傷ついて涙も涸れて冷たい心
 愛しい人失う悲しみが
 生きる希望を失くしてしまうのよ
 禁じられた扉を開けないで
 
 目を覚まして 平和な世の中を
 子供(てんし)たちが裸足で自由に
 駆け回る姿 あなたにも見えるでしょう
 無邪気なあの笑顔 あの声




クイーンの日

2022-04-17 20:13:18 | 日記

今日4月17日は、「クイーンの日」だそうです。

1975年、クイーンが初来日した日付にちなんで……
ということで、今回はクイーン特集です。

クイーンについてはこれまでこのブログで何度も書いてきましたが……やはり今、露宇戦争という状況で、平和への祈りといったことをテーマにしている曲を中心に。
ライブエイドがあった1980年代ぐらいのクイーンは、そういう曲をよくやっていました。時代背景もあるのでしょうが、そうした曲の一つ一つをみていけば、単に時流に乗ったというだけではないことがわかるでしょう。



アルバムのタイトルチューンにもなった The Miracle。
このPVは当時最新の特撮……というようなことではなく、子どもたちをつれてきて撮影したもの。
子どものように純粋な気持を表現しているということなんでしょう。
歌の内容も、まさにそういうこと。ロックスターは道化の仮面の奥にピュアな心を隠している――とこのブログではたびたび言ってきましたが、クイーンはまさにそういうバンドなのです。

Queen - The Miracle (Official Video)

  すべての木々のすべての葉が
  物語を語ることができたなら
  それは奇蹟

  すべての路地のすべての子どもたちに
  身につける服と食べるものがあったなら
  それは奇蹟

  すべての人々が自由になり
  全き調和のもとで生きることができたなら
  それは奇蹟

  僕らは奇蹟を手にしている
  母なる自然がすべて造りあげた

  心臓外科手術 日曜日の朝の一杯のコーヒー
  超大国は戦いに明け暮れ
  モナリザはただ微笑み続ける

  僕らが待っていることはひとつ
  戦争には終わりを 地には平和を
  それが僕らの望む奇蹟
  僕らがいま待っている奇蹟なんだ

  いつか みんな友だちになれる日がくるさ……

この歌詞は、お花畑と笑われるかもしれません。
しかし、子どものようにピュアな望みをすべて捨て去ってしまえば、その後には渇いて寒々とした荒野しか残らないでしょう。それではいけない。このブログで紹介してきたロックスターたちは、みんなそういうメッセージを歌ってきたのです。


「悲しい世界」。
この曲は、以前ライブエイドでの動画を紹介したかと思います。そこでは、バンドのクイーンとは別枠で、フレディ・マーキュリー&ブライアン・メイとしてやっていましたが、これは一応クイーンとしてのステージです。

Queen - Is This The World We Created? (Live At Wembley Stadium, Friday 11 July 1986)

  これが僕らのつくった世界なのか
  僕らはいったい何をしてきたんだ
  これが法に背いて
  僕らが侵略した世界なのか

  もしも空に神さまがいて
  地上を見下ろしているのなら
  いったいどう思うだろう
  彼の創った世界に僕たちがしてきたことを



ライブエイドでやった曲をもう一つ。
冷戦下、核戦争の恐怖を背景にした歌ともいわれる Hammer To Fall です。

Queen - Hammer To Fall (Official Video)

  扉を閉じても 雨は窓から降りこんでくる
  もう、お前のあがきも無駄なこと

  きのこ雲の影の下で たくましく育ってきた俺たち
  誰も聞いちゃくれないとわかっていても
  ただ大声で叫びたいんだ もっともっと大きな声で


フレディ・マーキュリーの死後に遺された音源をもとにして制作されたアルバム Made in Heaven に収録されている Heaven for Everyone。
もとはドラムのロジャー・テイラーがやっていた別バンドの曲、フレディの歌った音源をクイーンの曲に仕上げたものです。

Queen - Heaven For Everyone (Official Video)

  この世界は
  すべての人にとって楽園になれる
  世界は自由になれる ひとつになれる

  子どもたちに愛を伝えるんだ 愛を
  この世界は
  すべての人にとって楽園になれる

  人が人に対して何をしているか見てごらん
  命を奪い 生きる目的を打ち砕き
  人権も尊厳も無慈悲に引き裂かれていく
  この世界は
  すべての人にとって楽園になれるのに……


最後に、これはクイーンではありませんが……先ほどのロジャー・テイラーがジェフ・ベックのギターで歌う People Get Ready。
前に紹介した We've Got to Have Peace のカーティス・メイフィールドによる名曲。いろんな人が歌ってますが、ロジャー・テイラーのバージョンもありました。

Roger Taylor and Jeff Beck - People Get Ready (Live)

さわやかな歌ですが、歌詞は結構辛辣なところもあります。

  希望のない罪人どもに居場所はない
  自分自身だけを守るために全人類を傷つけるようなやつには
  救われる見込みが薄くなっていくやつらを憐れんでやろう
  天の裁きから身を隠す術はないのだから



ウクライナ、重大局面に

2022-04-14 16:12:56 | 時事



ロシア軍によるウクライナ侵攻は、重大な局面をむかえつつあるようです。

ロシア軍は、キーウ周辺からいったん退いた部隊を再配置し、東部に対する総攻撃を準備。包囲戦が続くマリウポリの陥落は間近ともみられています。

いっぽうで、これもうまくいかないのではないかという見方も出ているようです。

ここまでの軍事行動でロシア軍がこれだけ苦戦しているのは、組織のあり方に根本的な問題があるためであり、改善するためには抜本的な組織改革が必要で、それをやるには数か月かかる。したがって、東部の制圧も難しいのではないか……そういう見方もあります。

もちろん、そう決めてかかるのには注意が必要ですが……

ただ、どうあってもこの戦争はロシアの勝利というかたちで終わらせてはいけない。そこは、強調しておきたいと思います。

前にも書きましたが、軍事侵攻が成功裏におわってしまうと、今後それを真似する国が出てくるおそれがあり……逆に失敗に終われば、同じようなことを考えている国を思いとどまらせることになるでしょう。

ただし、必ずしも軍事的にロシアに抵抗し続けるということではありません。

軍事的にはロシアが限定的な目的を達成するとしても、政治的、経済的に大きなダメージを負い、誰の目から見ても失うもののほうが大きかった、というかたちにする必要がある。侵略戦争に報酬があってはならない、ということです。

こういうとウクライナを利用しているというふうに聞こえるかもしれませんが、これはウクライナを支援することが結果としてそういう方向性とも一致するということであり、少なくとも私は、ウクライナの人々に抗戦の意思があるかぎり、それを支援することが道義的に間違っているとは思いません。

ことによると、数か月、数年単位の長期戦になるかもしれないという見方も出てきていますが……ひとまずは、山場とみられている今後数週間の動きを注視したいと思います。





StandUpForUkraine

2022-04-11 16:07:45 | 日記


ウクライナへの人道支援を呼びかける StandUpForUkraine というSNS運動が行われています。
貧困擁護団体Global Citizen がはじめたもので、これに、多くの俳優やミュージシャン、アスリートらが賛同し、メッセージを寄せたりパフォーマンスを公開したりしているようです。
音楽業界では、先日グラミー賞の授賞式でウクライナのゼレンスキー大統領が直接呼びかけたこともあってか、とりわけ活発な活動が見られるようで……今回はそのなかから、Youtubeにアップされた動画をいくつか紹介してみようと思います。


U2のボノとエッジによるパフォーマンス。
U2の Walk On を、Walk On Ukraine として歌っています。

U2 - Walk On Ukraine - #StandUpForUkraine

ビリー・アイリッシュ。
この方は、かねてから社会的なイッシューについてたびたび発言してきました。その物怖じしない姿勢が頼もしいところです。

Billie Eilish - Your Power (Live for Stand Up For Ukraine)

ジュリアン・レノンは、ヌーノ・ベッテンコートのギターで父の Imagine をカバーしています。意外にも、公の場でこの曲を歌うのはこれがはじめてとか。
いわく、「イマジン」を歌のは世界の終りのときだといってきたけれど、ウクライナの悲劇を前にして、人間として、アーティストとしてもっとも重要な方法で対応しなければならないと感じた――と。

Julian Lennon Performs 'IMAGINE' for Global Citizen's Stand Up For Ukraine w/Nuno Bettencourt


ほかにも、セリーヌ・ディオン、ブルース・スプリングスティーン、マドンナ、ボン・ジョビ、アニー・レノックス、メタリカ、レニー・クラヴィッツ……と大物アーティストが続々とこの活動に参加しています。

 最後に、アスリートの活動として、五輪金メダリストのルタ・メイルティテ(リトアニア)さんが行ったアクションを。ロシア大使館前の池を赤く染め、そこで泳ぐというものです。




フォークの日

2022-04-09 23:32:47 | 日記


今日4月9日は、「フォークの日」だそうです。

フォー(4)とク(9)でフォーク。

いまこの時に、フォークという音楽が意味をもっているのではないか……

そんなわけで、今回はフォークソング特集をやりたいと思います。


ピーター、ポール&マリーの「虹と共に消えた恋」。

Gone the Rainbow (Live in Japan 1967)

歌の中に、「シュー、シュー、シュラルー……」という印象的なフレーズが出てきます。
他にも明らかに英語ではない言葉がいくつも出てきており……私はスキャットだとずっと思ってたんですが、ふと思い立って調べてみると、これはアイルランドで使われているゲール語なんだそうです。
英国の戦争に動員されたアイルランド出身の兵士がイングランド人にわからないようにゲール語で会話しているという体で、こっそり脱出しようといったことを話しているんだとか。


ちなみにこの動画は、いまから10年前に発表された Live in Japan 1967 というアルバムのバージョンで、日本でのライブ音源です。
PPM50周年ということで、新たに発掘された音源を発表したもの。ただ、なにしろ1967年の話なので、あまり録音状態がよいとはいえず、時折ノイズが混じっていたりするのもそのためでしょう。
実は、このアルバムのことは、以前このブログでちょっと触れています。
そこでは、PPM50周年ということとアルバム発売にあわせて日本の朝日新聞がピーター・ヤーロウにインタビューした記事を紹介しました。その記事中に出てきたピーターの言葉をもう一度引用しておきましょう。

 今こそフォークが必要だ。格差、原発、環境危機……。様々な問題に対して、手を携えて心を一つにし、本当の意味でグローバルで平和な世界を目指していなかければ。フォークはそれができる音楽だと思う。

それから十年、いまロシアによるウクライナ侵攻という事態を受けて、フォークに、音楽に何ができるのかが問われているということでしょう。


スティーヴ・アールとアリソン・ムーラーが歌う「花はどこへ行った」。
PPMも歌い、ジョーン・バエズも歌いました。日本語訳詞もあり、先日は忌野清志郎バージョンをこのブログで紹介したところです。

スティーヴ・アールという人は、だいぶ前になりますが、このブログで一度紹介しました。
カントリー系のミュージシャンですが、保守色の強い米カントリー界においては珍しく、イラク戦争にもはっきり反対していた人。

Steve Earle & Allison Moorer - Where Have All The Flowers Gone (Live at Farm Aid 2006)


「花はどこへ行った」を作ったのは、ピート・シーガー。
先述したPPMの記事でも、このレジェンドの名前は出てきました。
そこでは、94歳になったピートが FarmAidのステージに立つ動画を紹介しました。
ここで、同じステージの別の曲の動画を載せておきましょう。この曲も、PPMはカバーしていました。

Pete Seeger - This Land is Your Land (Live at Farm Aid 2013)

あらためて調べてみて知ったんですが、ピート・シーガーはこのステージからおよそ4か月後に死去しています。
文字通り、死ぬまでメッセージを歌い続けたといえるでしょう。

そのシーガーの死に接し、同じくフォークの巨人であるトム・パクストンがラジオで哀悼のパフォーマンスを披露しています。
亡き友に捧げた Peace Will Come です。

Tom Paxton - Peace Will Come [Live at Bluegrass Country Radio]


ここから、日本のフォークソングを。

まず、さだまさし「防人の詩」を、ウクライナ出身のナターシャ・グジーさんがカバーしたバージョン。

この方は、ウクライナの民族楽器バンドゥ―ラの奏者としていま注目されています。もっとも、こういうかたちで注目を集めるのは複雑な心境かもしれませんが……


防人の詩 ナターシャ・グジー / Sakimori no Uta by Nataliya Gudziy


「防人の詩」のカバーは10年以上前のもので現在のウクライナ侵攻と関係があるわけではありませんが、いまの状況と重ね合わせてきくと、胸に迫ってくるものがあります。


五つの赤い風船「血まみれの鳩」。

血まみれの鳩

  血まみれの小さな鳩が
  私の窓辺に 私にこう聞くんだ
  この世界の空に私の休める所はないのでしょうか
  どこの空を飛んでもどこの国へ行っても
  傷ついたあの叫び声が
  私の心をいやしてくれない

これ以上ないぐらいにストレートな反戦の歌です。
最後のほうでは、次のように歌われます。

  いつわりの平和のなかで あきらめ暮らすよりも
  まことの平和つくろう


そして最後は、日本フォークのレジェンド、小室等。

小室さんはPPMよりも一年早く50周年を迎え、50周年ライブを行っています。

その音源から、小室等さんが谷川俊太郎さんの詩に曲をつけた「いま生きているということ」。これはアマゾンミュージックなので、視聴環境がかぎられてしまいますが……
このライブには、谷川俊太郎さん自身も参加しており、曲の前に「モナ
・リザ」という詩を朗読しています。また、息子であるピアニストの谷川賢作さんも参加。


このもとになった谷川俊太郎さんの「生きる」について、昨年TBSのニュースで取り上げた動画があります。
動画のなかで紹介されている絵本「へいわとせんそう」も、いまの時代にこそ意味をもつものでしょう。

詩人 谷川俊太郎×小川彩佳 「生きる」が注目される理由

せっかくなので、「生きる」の詩の一部を抜粋して引用します。

  生きているということ
  いま生きているということ
  それはミニスカート
  それはプラネタリウム
  それはヨハン・シュトラウス
  それはピカソ
  それはアルプス
  すべての美しいものに出会うということ
  そして
  かくされた悪を注意深くこばむこと
  
  生きているということ
  いま生きているということ
  泣けるということ
  笑えるということ
  怒れるということ
  自由ということ

  生きているということ
  いま生きているということ
  いま遠くで犬が吠えるということ
  いま地球が廻っているということ
  いまどこかで産声があがること
  いまどこかで兵士が傷つくということ

ちなみに、50周年ライブには井上陽水さんもゲストで参加していました。
また、及川恒平、四角佳子といった古くからの仲間、さらに娘のゆいさんも「六文銭'09」のメンバーとして同じステージに。
サックスでは、ドクトル梅津こと梅津和時さんも参加しています。この方は、忌野清志郎のバックバンドでもサックスを吹いておられました。陽水さんといい、こういうところからやっぱりキヨシローにもつながっていくわけです。

もう一曲、同じ50周年ライブから、同じく谷川俊太郎さんの詩がもとになっている「死んだ男の残したものは」。


戦争の惨禍を目の当たりにして、この歌は痛切に響いてきます。