7月に入ると、「蝦夷夏蝉」の鳴き声が、それは山や林をどよめかすのです。それを意識できたのは、札幌西陵高校に転勤してきてからなのです。
50近い歳まで、判らなかった。西陵高校が、五天山という山の麓に新設校として建てられた学校で、自然が近くにあったから判ったのです。毎年、夏に成ると「蝉時雨」というのですか、騒音に近い鳴き声にあたりの空気がゆれるのです。
蝉の鳴き声とは判りましたが、何でこんなに一斉に途切れることなしに鳴くのだろうと不思議に思っていました。それが、ある日、藻岩山の展望台の展示で「蝦夷夏蝉」という名前を見つけてわかったのです。当時、よくドライブに出かけ、朝里峠などに行くと、将に山がどよめくように鳴いている声に感動したりしたものでした。
それが、また不思議なこともあり、冷夏ということになると、時期だから鳴いているはずだと思って出かけても、聞くことが出来なかったりするのです。
今年は、結構暑い日があるから、聞けるのかもしれない。だが、今はその声を尋ねて、車を走らせる気持にはなれないのです。歳のせいですか・・・・。