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人間ドックでのPSA値異常から精密検査をしたところ、MRI画像で疑惑が深まり、生検のために検査入院することになった。
MRI画像を見ると素人目にも影があり、明らかにそこに何かがあるだろうと分かったんで、生検が決まってからの1ヶ月は、最悪の状況も想定して覚悟を固める期間だった。
生検とは生体組織診断のことで、病変部位の組織を採取して顕微鏡で調べるというもの。
現物を見て白黒着ける、診断の最終手段ね。
前立腺の生検は肛門から器具を入れて、直腸上部辺りから前立腺を目掛けて針を刺し、12箇所の組織を採取するとのこと。
生検は初めてだし、そんな趣味はないから、お尻に物を入れるのも初めて。
入院は3歳で盲腸を切除した時以来だ。
なので、物心ついてから全てが初の体験。
生検は30分で終わるけど、その後2時間はベッドで安静にし、合併症の懸念から1泊の入院になる。
1泊なら、と個室でお願いした。
本格的な入院になった場合には個室なんて無理だから、1回くらい個室入院を経験させて貰いましょう。
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(新百合ヶ丘総合病院です。)
5月14日(土)。
かみさんに車で送って貰い、何だか分からんが、握手をして別れる。
コロナ禍にあって病院は面会禁止にしてる。
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(綺麗だね。)
受付を済ますと病室に案内される。
看護師さんから段取りの説明を受け、検査着と紙パンツを渡される。
紙パンツはお尻に穴が空いていて、検査の30分前には履いておくとのこと。
検査は14:00頃になるそうで、まだ3時間ほどある。
昼には普通食の食事が出るも、病院だから味はこんなものね。
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(カレーライスでした。)
部屋に備え付けのi-padを弄って時間を潰す。
検査着を着てベッドにいると、何だか病人になったような気分になってくる。
いつか来る事態の先行体験かね。
更に感染症予防の抗菌薬の点滴を受けると、益々病人気分が揚がってくる。
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(点滴されてます。)
時間になって看護師さんに案内され、点滴ポールをガラガラと自分で押しながら検査室へ移動。
行きは歩きだけど、帰りは車椅子になるとのこと。
いよいよだな、とちょっと緊張。
説明を受けた後、診察台に横たわり、お医者さんに背を向けて壁側を向き、膝を曲げてお尻をつき出す。
潤滑ゼリーを塗られたあと、検査機器から出た器具をブスリと肛門に突っ込まれる。
うっ!
直径2cmくらいか?
違和感が凄いから、どうしても力が入っちゃうよ。
お医者さんが機器を操作してるものの、なかなか検査が始まらない。
いつ麻酔針が刺されるか、来るか、来るか、と待ってると、
「すみません。機械がフリーズしました。」
えっ!?
「こんなことは滅多にないんですけど。申し訳ないです。」
お医者さんは機器のモニターを色々と操作している。
暫くして、
「ダメです。再起動しますので一度抜きますね。」
再び強烈な違和感が肛門を通過して、抜ける。
「本当に申し訳ないです。」
と恐縮するお医者さんに、
「機械ですからね。仕方ないですよ。」
と返す。
肛門に刺されて機器をフリーズさせるとは、持っているのか?
暫し待って、再起動が完了したようで、
「大丈夫そうですので、再開させてください。二度も申し訳ないです。」
再びブスリ。
「エコーも見えてます。大丈夫ですので、麻酔します。」
プツと針を刺される感触。
間を置かずに、
「では、1回目を取ります。」
麻酔打って直ぐだよ。
効いてるの?
早くない?
思ったところに、
カシン!
乾いた音と共に軽い衝撃を受ける。
「2回目行きます。」
カシン!
子供の頃遊んだオモチャでこんな音がしたな。
何だっけ?モデルガンだっけ?
思いながら乾いた音が続く。
8回目までは余裕があったのだけど、段々と力が入っちゃうのか、それ以降は痛みが増して冷や汗が吹き出る。
顔から血の気が引いて、気分も悪くなってきた。
この状態は尿管結石を思い出すぞ。
「12回目。」
カシン!
「終わりました。大丈夫ですか?」
終わった時には汗びっしょり。
キツかったー、と答える声に張りがない。
血圧が下がってる自覚があるから深呼吸してゆっくりと体を動かすと、ジンジンと痛みが来る。
ヨロヨロと車椅子に乗って看護師さんに押されて病室へ。
端から見たら立派な病人に見えたでしょうね。
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(戻って来ました。)
「2時間は安静にお願いします。
その後は活動いただいて大丈夫です。」
と言われ、ベッドに横たわり痛みを堪えつつ応えた返事は力がない。
我ながら本当の病人になったようだよ。
麻酔が切れたか痛みが強くなり、楽な体制を探して体を動かす。
膝を立てると多少は楽かな。
度々波のように痛みが押し寄せると、ぐっと耐える。
意を決して痛みを堪えながらトイレに行くと、がっつり血尿。
あれだけ刺せばそうなるよな。
2時間が経過して痛みは引いてきたものの、状態は回復しない。
立つと少々フラつく感じ。
ところが、看護師さんに点滴を抜いてもらったら途端にシャッキリ。
完全復活してスタスタと歩き回れるようになって、着替えて自販機にドリンクを買いに行った。
点滴が病人モードになっていた元凶だったのか?
「病は気から」は本当だね。
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(寂しい夕食。)
その後は何もないから、夕食を食べて、テレビを見て寛ぐ。
個室だからトイレや洗面も気にせず行けるし、消灯時間の21:00を過ぎてもお構い無し。
個室で良かった。
こうなるとビジネスホテルで1泊するような感じ。
翌日は痛みは消えて、血尿もなくなり普段と変わらぬコンディション。
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(朝食はクラムチャウダー。)
朝食をいただいて、体調のチェックを受け、10:00に退院。
かみさんに車で迎えに来て貰い、自分で運転して帰った。
日曜日に退院だったので、会計は後日。
郵送されて来た請求書を見ると、驚きの78,000円!
個室の差額ベッド代が2日分計上されてた。
ホテルや旅館と同じように1泊の値段だと思ってたら、2日分を取られちゃうのね。
うっかりしてたわ。
11:00入院で翌日10:00退院だから、24時間もいなかったのにな。
この先は個室入院などできないだろうから、これも経験と割り切ろう。
検査結果は2週間後だ。
ー「ジャジメント・デイ」に続くー
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