太平洋戦争末期の沖縄戦の犠牲者らを悼む「沖縄慰霊の日」、最後の激戦地となった糸満市摩文仁の丘は平和公園で開かれた「戦没者追悼式」で、浦添市立港川中学3年の相良倫子さんの朗読。力強く読み上げた「平和の詩」。聞きながら、式典に参列された多数の方々が、ハンカチを目にあてている。私もテレビの前で思わず涙を拭いた。平和の大切さを改めて知らされた。
無断で『平和の詩』(一部抜粋)を転載せていただいた。
今日もまたはじまる いつもの日常
当たり前に食事をして 当たり前に好きなことを学んで 当たり前に安心して眠りにつく そんな普通の一日 今日もまたはじまる
いつもの日常 当たり前に基地があって 当たり前にヘリが飛んでいて 当たり前に爆弾実験が行われている
そんな普通の一日 一見「平和」に思えるこの小さな島
そこにいつの間にか当たり前ではない 当たり前であってはならないものが 入り込んでしまっていた
普通なら受け入れられない現実を 当たり前に受け入れてしまっていた これで本当にいいのだろうか
平凡な幸せを感じながら ただただ「平和」を望む今 簡単にこの違和感を 無視していいのだろうか
黒いたくさんの礎 刻まれるたくさんの名前 そこで思い知る 戦争が残した傷跡の大きさ深さ
何も幸せなど生まれなかった 何も手に入れたものなど無かった すべて失ったものばかりだった
忘れてはならない この島であった悲しい記憶 目を背けてはならない 悲しい負の遺産
それを負から正に変えてゆく それがこの遺産を背負い生きてゆく私たちにできること 変えてゆくのは難しい
しかし一人一人が心から 負である「戦争」を忌み嫌い 正である「平和」を深く愛する そんな世界になれば きっと正の連鎖がはじまるはずだ
六月二十三日 慰霊の日
あの黒いたくさんの礎には たくさんの人々が訪れる
そして その一つ一つの名前に触れ 涙を浮かべながら語りかける
「今年も会いに来たよ」と 手を合わせ目を瞑(つむ)り祈りを捧(ささ)げる その訪れた人々に 「平和」を願わないものはいない
「一度あった事は二度ある」 そんな言葉を聞いたことがある しかし こんな悲惨な出来事は もう繰り返してはならない だから……
「一度あった事は二度とない」に 変えてゆこう 平和で塗りつぶしていこう その想いはきっと届いているはずだから