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壱岐の思い出「春一番の塔」

2019-02-20 09:59:01 | 日記

  「春一番」が吹いた。「春一番」は冬から春に季節が移り変わる時季に初めて吹く南風。今年は昨年より5日遅かったという。この日、県内各地の気温は上がり、上天草では20℃を超える3月下旬から4月中旬なみの温かな陽気となったそうだ。

 18日に発表された気象庁の「異常天候早期警戒情報」では、2月24日以降は高温がつづくとある。どうやら寒かった冬も、「春一番」で一区切りついたようだ。

 「春一番」は春先に吹く強い南風のことをいい、いまでは気象用語や俳句の季語にもなっているが、この言葉の発祥の地は長崎県の壱岐の島。

 1859年〈安政6)東シナ海五島付近の海域で、春さきの強い南風を受けた影響で、大勢の地元漁師が遭難した。そのことがあって、海と共生する壱岐の人々に自然の怖さを忘れないようにとの思いを込めて昭和62年、博多からのフェリーが発着する郷ノ浦港入り口近くの元居公園に、船の帆をイメージした「春一番の塔」が建てられた。

 30年も前のこと、短い期間だったが転勤で1年ほど壱岐に住んだことがある。休みの日に公園近くの堤防で釣り糸をたれながら、白い「春一番の塔」を何度も見上げたものだ。出身地の熊本にいつ帰れるのだろうかと。毎年春に訪れる「春一番」は、壱岐の楽しかった生活を懐かしく思い出させてくれる。機会があればまた玄界灘の夢の浮島壱岐を訪ねてみたいものだ。