n45-50

ロシア・サハリンと北海道を結ぶ架け橋ネット。
サハリン州には。、ロシア人もウクライナ人も住んでいる混住地域です。

ヤクートの忠犬ハチ公 身重の友達を守って

2011-12-13 09:18:25 | 樺太犬・サハリン犬
 写真Вести.Ru

 東シベリア北部のヤクート(サハ)共和国では、一匹の犬の示した強い愛情と献身的な行為が地元市民の胸を揺さぶっている。
マイナス50度の厳しい寒さの中でこの野良犬は2週間もの間、死んだ身重のメス犬を守り、自分の体で暖めようとし続けた。

 人々は犬を保護しようと手を尽くしたが犬は現場を動こうとはせず、メス犬が葬られた今でも同じ場所にとどまり続けている。
ヤクートの人たちは極寒のなか昼も夜も死んだメス犬を守りつづけたこの犬をハチ公と呼んでいた。
 渋谷駅で亡くなった主人を9年もの間待ち続けた、あの忠実な犬名ハチ公の話はヤクートでもよく知られている。

 この忠犬に最初に気づいたのは空港を利用する乗客たちだった。
犬は空港近くの倉庫脇に横たわったメス犬に寄り添うように座っていた。この倉庫を2匹の犬は一緒に守っていたのだ。エコロジストらは、死んだメス犬は野犬を狙ういわゆるドッグハンターの標的になり、えさに釣られて殺されたものと推測している。

 地元の自然保護者たちはハチ公が凍えてしまうのではないかと心配し、何度も温かい場所へ連れて行こうと試みた。ハチ公は人なつこい犬ではあったが、メス犬を置いていくことだけは拒否しつづけた。
ハチ公はメス犬の耳を舐め、あたかも(ねえ、おきてよ。ぼく、いっしょにいるよ!)と語りかけているかのようだったが、メス犬は起き上がることはなく、ハチ公の顔には大きな涙が凍り付いてした。

 ヤクーツクにある動物保護基金の代表者らは苦労の末、ハチ公を檻の中に移したが、それでもハチ公は金属製の柵を噛み切って逃げ出してしまった。
この間、メス犬は葬られたものの、彼女のいた場所に戻ったハチ公は今度は人間を恐れ、誰も寄せ付けなくなってしまった。

 畜犬学者のアレクサンドル・スミルノフ氏は、犬は本当に深い忠誠心を持っていると語り、犬の条件反射の研究で有名なパヴロフ学者も最後は、犬の行動の全てを本能に根拠付けたことは誤りだったと告白したとして、次のように続けた。

「犬にも他の動物にもとても強い心の結びつきがあり、そういう犬はとてもとても長い間待ち続けることができる。これは本能ではない。犬も人間と全く同じで心、感情がある。自分なりの願い、知恵などがある。愛情も感じれば、憎しみも抱く。これは驚くに値しない。ただ、これだけ強い感情的な結びつきがある例は確かに珍しい。犬と人間、犬どうしがこれだけ強く結びついて、性格が一致するということはそうあるものではない。この意味で今回の例はまれではあるが、超自然的なことではない。」

 ロシアのことわざで「時が解決する」という言葉があるが、今回のハチ公の傷ついた心がしばらくすれば快癒するかどうかはわからない。

 ヤクートの人たちはハチ公にえさをやり、はげまし、メス犬の死んだ場所に温かい犬小屋をたててやろうと惜しみない援助を与えている。

 犬の果てしない愛情の深さはシベリアの人々たちを越えて、外国にも感動を呼んでいる。
 動物保護基金は、ドイツのある女性からハチ公をぜひ引き取りたいという申し出を受け取っている。

 ケルン在住のこの女性は報道でヤクートのハチ公のことを知り、自分のうちで引き取りたいと願い出たが、長い距離の飛行を行うためには、麻酔で眠らせる必要もあり、犬には大きな負担になるだろうと自然保護者らは危惧している。

 このため、自然保護者たちはこの先ハチ公が人間になれるときがくれば、地元ヤクートで彼を大事にしてくれる主人を探すほうがよいだろうと考えている。

 ロシアの声  サハリンマン
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする