東電事故調報告 多くの謎、未解明
産経新聞 12月3日(土)7時55分配信
震災直後の福島第1原発の状況
■「何もできない」「残ってくれ」
福島第1原発事故をめぐり、東京電力が2日に公表した事故調査報告書。発電所員への聞き取り調査などで、事故直後の緊迫した状況が浮かび上がった。一方、事故検証では「予測できなかった」「(厳しい環境で)難しかった」などの言葉が躍り、“想定外”を強調。これまで謎とされてきた、多くの事項についても未解明のままで課題を残した。
◆「ボコッ不気味な音」
「海水が流れ込んできている!」。福島第1原発に津波が押し寄せた3月11日午後3時半すぎ、原発をコントロールする中央操作室に運転員が駆け込んできた。室内の電源のランプが点滅を始めると、一斉に消灯。暗闇に包まれた。
「操作もできず、手も足も出ないのに、われわれがここにいる意味があるのか」。運転員から噴出する不満や不安の声。対応した責任者は頭を下げ、「ここに残ってくれ」と懇願するしかなかった。
東電による聞き取り調査で判明した、事故直後の状況だ。ほかにも原子炉の圧力を抜くベント作業に向かった作業員は「ボコッ、ボコッと大きく不気味な音を聞いた」と証言。高温場所で「長靴がズルッと溶けた」こともあった。
◆事実の列挙のみ
報告書で詳述された事故直後の状況だが、肝心の事故原因などについては事実関係の列挙に終始。具体的な政府とのやりとりや、判断を下した背景についての説明はなかった。
例えば、多くの専門家が高い関心を寄せる1号機の「非常用復水器(IC)」の操作については、従前の説明を繰り返すのみ。ICは緊急時に原子炉を減圧・冷却する重要な装置だが、津波直後に運転員が約3時間停止させている。
東電は「ICが空だきになって壊れ、放射能が外に出るのを防ぐため止めた」と説明するが、稼働していれば事故拡大を防げた可能性があり、操作の妥当性は検証課題として残った。
◆「全て明らかに」
ほかの謎も未解明のままだ。ベント作業が遅れた点も、準備指示が出てから14時間近くかかった理由を十分に説明できていない。
2、3号機では非常用冷却システムが稼働し、燃料溶融まで2、3日の余裕があったが、その間、具体的にどのような対策を講じてきたかも説明不足だ。
九州大の工藤和彦特任教授は「事故当時の人の動きなど、東電にしか分からない情報がたくさんある。当時、運転員はどのような指示で、どう考えて事故対応にあたったのか、全て明らかにするのが東電の責務だ」と話している。
福島第1原発>地震での設備損傷を否定 東電事故報告書
毎日新聞 12月2日(金)21時24分配信
東京電力は2日、福島第1原発事故の社内調査委員会(委員長・山崎雅男副社長)の中間報告書を公表した。
地震による配管など主要設備の損傷を改めて否定し、想定外の津波で全電源が喪失し、原子炉を冷却できなかったことが事故の原因と結論づけた。
山崎副社長は会見で「国と一体となって安全対策を実施してきた」と国の責任を強調した。来年6月をめどに最終報告をまとめる。
【福島第1原発は今…】福島第1原発:報道陣に公開 吉田所長「作業なお危険」(11月13日)
社内事故調査は政府の「事故調査・検証委員会」とは別に、東電が今年6月に始めた。
報告書はA4判で130ページ。津波対策について、東電は08年には明治三陸沖地震(1896年)と貞観津波(869年)のモデルを使って津波水位を最大10.2メートルと試算したが、「仮定に過ぎない」と、対策に反映させなかったと従来の主張を繰り返した。
同原発を襲った地震については、「政府の地震本部の見解に基づく地震より、広範囲を震源域とする巨大地震」などと認定。
「想定した前提を大きく外れる事態で、結果として事故拡大を防止できなかった」とした。
地震の影響について、原子炉のデータなどから、配管や冷却装置など主要設備に損傷はないと評価。
津波で非常用発電機が浸水するなどして使えず、散乱するがれきで1~3号機の注水作業が難航し、「多重の安全機能を同時に失ったことで発生。
長時間の電源喪失と除熱機能の喪失が要因」と断定した。
水素爆発については、1、3号機の各建屋にどう水素が流出したかは不明だが、格納容器のふたなどの結合部分から漏れ出た可能性を指摘した。
中間報告に対し、社外有識者による検証委員会(委員長=矢川元基東京大名誉教授)は2日、関係者が「過酷事故は起こり得ないという『安全神話』から抜けだせなかったことが事故の背景」との意見を公表した。【奥山智己、中西拓司】
有識者とは・・・ 謎の人間も含んでいるのでは・・・ サハリンマン
産経新聞 12月3日(土)7時55分配信
震災直後の福島第1原発の状況
■「何もできない」「残ってくれ」
福島第1原発事故をめぐり、東京電力が2日に公表した事故調査報告書。発電所員への聞き取り調査などで、事故直後の緊迫した状況が浮かび上がった。一方、事故検証では「予測できなかった」「(厳しい環境で)難しかった」などの言葉が躍り、“想定外”を強調。これまで謎とされてきた、多くの事項についても未解明のままで課題を残した。
◆「ボコッ不気味な音」
「海水が流れ込んできている!」。福島第1原発に津波が押し寄せた3月11日午後3時半すぎ、原発をコントロールする中央操作室に運転員が駆け込んできた。室内の電源のランプが点滅を始めると、一斉に消灯。暗闇に包まれた。
「操作もできず、手も足も出ないのに、われわれがここにいる意味があるのか」。運転員から噴出する不満や不安の声。対応した責任者は頭を下げ、「ここに残ってくれ」と懇願するしかなかった。
東電による聞き取り調査で判明した、事故直後の状況だ。ほかにも原子炉の圧力を抜くベント作業に向かった作業員は「ボコッ、ボコッと大きく不気味な音を聞いた」と証言。高温場所で「長靴がズルッと溶けた」こともあった。
◆事実の列挙のみ
報告書で詳述された事故直後の状況だが、肝心の事故原因などについては事実関係の列挙に終始。具体的な政府とのやりとりや、判断を下した背景についての説明はなかった。
例えば、多くの専門家が高い関心を寄せる1号機の「非常用復水器(IC)」の操作については、従前の説明を繰り返すのみ。ICは緊急時に原子炉を減圧・冷却する重要な装置だが、津波直後に運転員が約3時間停止させている。
東電は「ICが空だきになって壊れ、放射能が外に出るのを防ぐため止めた」と説明するが、稼働していれば事故拡大を防げた可能性があり、操作の妥当性は検証課題として残った。
◆「全て明らかに」
ほかの謎も未解明のままだ。ベント作業が遅れた点も、準備指示が出てから14時間近くかかった理由を十分に説明できていない。
2、3号機では非常用冷却システムが稼働し、燃料溶融まで2、3日の余裕があったが、その間、具体的にどのような対策を講じてきたかも説明不足だ。
九州大の工藤和彦特任教授は「事故当時の人の動きなど、東電にしか分からない情報がたくさんある。当時、運転員はどのような指示で、どう考えて事故対応にあたったのか、全て明らかにするのが東電の責務だ」と話している。
福島第1原発>地震での設備損傷を否定 東電事故報告書
毎日新聞 12月2日(金)21時24分配信
東京電力は2日、福島第1原発事故の社内調査委員会(委員長・山崎雅男副社長)の中間報告書を公表した。
地震による配管など主要設備の損傷を改めて否定し、想定外の津波で全電源が喪失し、原子炉を冷却できなかったことが事故の原因と結論づけた。
山崎副社長は会見で「国と一体となって安全対策を実施してきた」と国の責任を強調した。来年6月をめどに最終報告をまとめる。
【福島第1原発は今…】福島第1原発:報道陣に公開 吉田所長「作業なお危険」(11月13日)
社内事故調査は政府の「事故調査・検証委員会」とは別に、東電が今年6月に始めた。
報告書はA4判で130ページ。津波対策について、東電は08年には明治三陸沖地震(1896年)と貞観津波(869年)のモデルを使って津波水位を最大10.2メートルと試算したが、「仮定に過ぎない」と、対策に反映させなかったと従来の主張を繰り返した。
同原発を襲った地震については、「政府の地震本部の見解に基づく地震より、広範囲を震源域とする巨大地震」などと認定。
「想定した前提を大きく外れる事態で、結果として事故拡大を防止できなかった」とした。
地震の影響について、原子炉のデータなどから、配管や冷却装置など主要設備に損傷はないと評価。
津波で非常用発電機が浸水するなどして使えず、散乱するがれきで1~3号機の注水作業が難航し、「多重の安全機能を同時に失ったことで発生。
長時間の電源喪失と除熱機能の喪失が要因」と断定した。
水素爆発については、1、3号機の各建屋にどう水素が流出したかは不明だが、格納容器のふたなどの結合部分から漏れ出た可能性を指摘した。
中間報告に対し、社外有識者による検証委員会(委員長=矢川元基東京大名誉教授)は2日、関係者が「過酷事故は起こり得ないという『安全神話』から抜けだせなかったことが事故の背景」との意見を公表した。【奥山智己、中西拓司】
有識者とは・・・ 謎の人間も含んでいるのでは・・・ サハリンマン