今週一番騒がれたのは安倍政権による「集団的自衛権」の閣議決定だっ
たと思う。憲法九条の解釈改憲という事態だが、何を急いでいるのか、
どうもよく分からない。かつて自民党右翼といわれた中曽根政権でさえ
集団的自衛権は憲法上の制約から明確に否定していたものだ。
時の内閣・司法・行政が時流の変化に応じて憲法解釈を変更することは
寧ろ当然のことである。だが解釈である以上、自然な許容幅は一定にあ
ろう。強引な拡大解釈を一時の政権が行うのなら、政府・内閣の暴走で
ある。憲法遵守義務を明文で負っている政治家の違反行為でもある。
憲法に基づく法と秩序の下に、権力分立・法治主義・基本的人権を原理
とする政治体制、立憲主義体制は、歴史的には絶対王政に対抗する民主
国家の基本形として登場し、国家制度の枠組みとして、議会主義や民主
主義に先んじて、その確立が要請された基盤制度である。
明治以後の日本の近代化でも、近代国家は先ず立憲主義を基盤として議
会主義と民主主義を発展させてきた。立憲主義の思想と制度は、今後と
も現代民主国家が継承していくべき歴史遺産である。
日本では戦時中、軍部が台頭し国家三権を上回る決定権力にのし上がり、
戦争遂行を至上目的とする軍事国家が誕生した。国家を超える軍部によ
る「超国家主義」が、立憲主義や議会主義の息の根を止めたのが、過誤
の、歴史の轍である。
今ここで、安倍政権は閣議決定で憲法規定を超えようとする。現代国家
の立憲主義なら、内閣に憲法の規定を超える権限があるはずもない。そ
れでは、明治の擬似立憲政体に時代が戻してしまう。それをやってしま
うのなら、軍部ではなく、政権政治による新たな「超国家主義」の始ま
りではないか。
「閣議」という最高権力の意思決定機関が、解釈変更に依ってであれ憲
法を超えられるのなら、議会主義・基本的人権・民主主義という、近代
国家の原理的なものさえ、人治的な裁決次第で改変し得ることになる。
これでは憲法の最高規範性は殺がれ、国民や社会は、如何様にでも権力
の恣意的な支配や統制に左右されてしまう可能性がある。
どうして個別的自衛権と日米安保条約で不足なのか? 中国・ロシア・
北朝鮮が仮想敵でありその脅威も分かるが、「集団的自衛権」に急いで
傾斜する喫緊の事情や理由が不鮮明である。また、平和憲法の制約から
日本は武器輸出を原則禁止してきたが、これを解禁する方針でもあるよ
うだが、軍需産業と結託した経済振興策なのか、或いは今後は、国家集
団による共栄圏まで構想していくつもりか??
近代国家の根幹でもある立憲主義を潜脱する解釈改憲には、権力を縛る
立憲主義の存立危機という意味で、私は反対である。重ねて記すが、現
憲法を時代の変遷に即応した形で、国民生活に資するよう弾力的に拡大
・類推解釈等を行うことはすべきである。
「集団的自衛権」については、その必要も一部認められるかもしれない
が、時間を掛けて智慧を絞り、別の方途を考えることは出来ない問題な
のだろうか? 近代国家原理さえも破って拙速に走る、この復古調保守
な政権の危うさには、毎度のことだが、不快感と危惧を覚える。
まったく安倍というヒトは、大政治家なのか、馬鹿なのか利口なのか、
私には、未ださっぱり判らない。
たと思う。憲法九条の解釈改憲という事態だが、何を急いでいるのか、
どうもよく分からない。かつて自民党右翼といわれた中曽根政権でさえ
集団的自衛権は憲法上の制約から明確に否定していたものだ。
時の内閣・司法・行政が時流の変化に応じて憲法解釈を変更することは
寧ろ当然のことである。だが解釈である以上、自然な許容幅は一定にあ
ろう。強引な拡大解釈を一時の政権が行うのなら、政府・内閣の暴走で
ある。憲法遵守義務を明文で負っている政治家の違反行為でもある。
憲法に基づく法と秩序の下に、権力分立・法治主義・基本的人権を原理
とする政治体制、立憲主義体制は、歴史的には絶対王政に対抗する民主
国家の基本形として登場し、国家制度の枠組みとして、議会主義や民主
主義に先んじて、その確立が要請された基盤制度である。
明治以後の日本の近代化でも、近代国家は先ず立憲主義を基盤として議
会主義と民主主義を発展させてきた。立憲主義の思想と制度は、今後と
も現代民主国家が継承していくべき歴史遺産である。
日本では戦時中、軍部が台頭し国家三権を上回る決定権力にのし上がり、
戦争遂行を至上目的とする軍事国家が誕生した。国家を超える軍部によ
る「超国家主義」が、立憲主義や議会主義の息の根を止めたのが、過誤
の、歴史の轍である。
今ここで、安倍政権は閣議決定で憲法規定を超えようとする。現代国家
の立憲主義なら、内閣に憲法の規定を超える権限があるはずもない。そ
れでは、明治の擬似立憲政体に時代が戻してしまう。それをやってしま
うのなら、軍部ではなく、政権政治による新たな「超国家主義」の始ま
りではないか。
「閣議」という最高権力の意思決定機関が、解釈変更に依ってであれ憲
法を超えられるのなら、議会主義・基本的人権・民主主義という、近代
国家の原理的なものさえ、人治的な裁決次第で改変し得ることになる。
これでは憲法の最高規範性は殺がれ、国民や社会は、如何様にでも権力
の恣意的な支配や統制に左右されてしまう可能性がある。
どうして個別的自衛権と日米安保条約で不足なのか? 中国・ロシア・
北朝鮮が仮想敵でありその脅威も分かるが、「集団的自衛権」に急いで
傾斜する喫緊の事情や理由が不鮮明である。また、平和憲法の制約から
日本は武器輸出を原則禁止してきたが、これを解禁する方針でもあるよ
うだが、軍需産業と結託した経済振興策なのか、或いは今後は、国家集
団による共栄圏まで構想していくつもりか??
近代国家の根幹でもある立憲主義を潜脱する解釈改憲には、権力を縛る
立憲主義の存立危機という意味で、私は反対である。重ねて記すが、現
憲法を時代の変遷に即応した形で、国民生活に資するよう弾力的に拡大
・類推解釈等を行うことはすべきである。
「集団的自衛権」については、その必要も一部認められるかもしれない
が、時間を掛けて智慧を絞り、別の方途を考えることは出来ない問題な
のだろうか? 近代国家原理さえも破って拙速に走る、この復古調保守
な政権の危うさには、毎度のことだが、不快感と危惧を覚える。
まったく安倍というヒトは、大政治家なのか、馬鹿なのか利口なのか、
私には、未ださっぱり判らない。