脳辺雑記帖 (Nohhen-zahts)

脳病と心筋梗塞を患っての独り暮し、Rondo-Nth の生活・世相雑記。気まぐれ更新ですが、気長にお付合い下さい。

自動車の運転と発達障害

2007年05月22日 20時19分49秒 | 発達障害
私は車を運転できない。恐いのである。運転免許は持っている。20年前に会社命令で取らされた口である。だが免許取得後、運転どころか、ほとんど車を動かしたことはない。

何故出来ないかを考えてみると、運転席にすわると、フロントガラス越しに見える外の世界が、ただの映像のように見えて、現実感が持てなくなるのである。仮に人を轢いたとしても、事の重大性に実感がないように感じられるのである。精神医学的に言えば、心に解離が生じて離人性障害の症状が出てしまうのである。

もう一つは、運転には、多視的で複雑な注意力の集中とその適度な分散が必要である。ドライバーは信号の色と交通標識等を見、他の車や歩行者等との距離感覚を働かせ、状況を総合的に瞬時に把握しつつ、両手と両足を同時に駆使して、自分の判断と意思でもって車を運転している訳である。これらには非常に高度な精神力の持続を要求されているはずである。私には、そのような精神力を要求されることがひどく苦痛である。

ドナ・ウィリアムスという著名な自閉症当事者がいるが、彼女は、モノ・トラックとマルチ・トラックという表現で、自身の障害を語っているそうである。トラックとは陸上競技の走路のことである。彼女の場合、注意や集中がモノ・トラックとして一本道の走路上にしか働かないので、同時に複数の注意のトラックを開いて行動できない、ということらしい。

全ての自閉症者がモノ・トラックであるということではなかろうが、モノ・トラックの人は、発達障害、あるいは自閉症スペクトラムの何処かに位置する可能性があるのだろう。

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