脳辺雑記帖 (Nohhen-zahts)

脳病と心筋梗塞を患っての独り暮し、Rondo-Nth の生活・世相雑記。気まぐれ更新ですが、気長にお付合い下さい。

今また、人種差別と拳銃という、古い亡霊が‥。

2016年07月10日 17時41分05秒 | 社会時評
米テキサス州・ダラスで、デモを警備していた警察官が狙撃され、5人
の警官が死亡する事件が発生した(他にも警官・市民に多数負傷者有り)。
デモ自体は、白人警官による黒人射殺事件に抗議するもので、目下全米
各地で抗議の動きが拡大しているが、警官に直接報復に出る者が現れた
ということで、米社会での暴力による連鎖反応が大いに懸念される。

「ダラス」という地名、「人種差別」・「狙撃」という符牒は、否応な
く古い時代のアメリカ、特に1963年11月のジョン・F・ケネディ
暗殺事件を思い起こさせる。ケネディは、お昼のダラス市内をオープン
カーでパレードしていた最中、何者かに狙撃され死去した。当時46歳
の若々しい大統領だった。ケネディは1917年の生まれなので、来年
は生誕100年になるようだ。

21世紀の今日、アメリカでは黒人が大統領となっているが、今尚人種
偏見・人種問題が根深いことを改めて思い知らされた。アメリカ社会で
の、もう一つの大きな課題は銃規制問題である。が、テロが大規模化・
国際化している昨今、銃規制は尚更進展しないだろう。

先進国のアメリカ社会で起こった問題は、10年遅れで日本でも起こる
とも言われてきたが、人種問題と銃規制は、アメリカという移民社会に
淵源する問題系であり、日本社会ではこれらは今の処、問題ではない。
だが、少子高齢化する日本社会で、今後は移民を増やさざるを得ないと
なれば、将来にはアメリカ社会と同じ問題系が生じるかもしれない。


バングラデシュの首都ダッカで武装集団がレストランを襲撃する事件が
あった。日本人やイタリア人等、在留外国人が多数、問答無用なテロの
凶弾に倒れた。テロリストたちは現地の20代の若者で、しかも富裕な
家庭で育った高学歴者たちだった。ISの洗脳を受けた連中なのだろう
が、まるでかつての「オウム真理教」のメンバーにも似た印象である。

宗教を基にした過激主義、富裕家庭、高学歴、若い世代。これらの特徴
には、日本で起きたのと同種の問題や事件は、10~20年遅れてアジ
アの低開発国で発生するという傾向があるのだろうか? 

60年代後半、学生運動は世界的な高まりを見せた。日本の安保闘争も、
戦後経済的に豊かになる過程で発生した余剰エネルギーの放出にも思え
る。若い世代の体制への反乱とは、一面ではそのような時代の、先進国
病だったとも、私は思う。

かつては、社会主義或いは革命イデオロギーによる権力闘争が武装的に
展開することがあったが、暴力や殺人は主目的ではあり得なかった。今
日の「宗教テロ」という形態での自爆を含む殺戮行為は、自他共に葬り
去る「必殺主義」である。世界は、これにいかに立ち向かえばいいのか?

もしかして、低開発国では今、宗教を教義としテロを手段とする、青年
期に差し掛かった先進国病が発生しつつあるとでも、楽観できるのだろ
うか。ならば、テロも時代の一過性で止むのだろうが。 人種と宗教、
戦争とテロ、いつまでも片付かない人類永遠の諸問題である。 






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