脳辺雑記帖 (Nohhen-zahts)

脳病と心筋梗塞を患っての独り暮し、Rondo-Nth の生活・世相雑記。気まぐれ更新ですが、気長にお付合い下さい。

木との対話

2007年09月06日 09時09分05秒 | 随想

雨上がりの夕闇に
学舎の裏庭はガランと空いていた
背の高い一本の緑樹が目に止まった

木はまるで古武士のように立って見えた
私はそのまま対座した
風は消え蒸し暑い
私は息を殺して間合いを詰めてみた

木はじっと静かだ
木は一向に動じない
世界には、私と木しかなかった

私は帯刀したつもりで
空想の刀の鯉口を切った
鞘を払い、太刀を水平に居合抜きした

一の太刀がヒュッと風を斬る
さらに右足を踏み込んで
真っ向から二の太刀を切り下ろした

古武士は曇り空を背に
モノ言わず見下ろしていた
私の稚気を、許してくれたろうか

私は木に黙礼して、建物に消えた

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