俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

歩道の自転車(3)

2012-11-23 13:49:30 | Weblog
 歩道を歩いていて後ろから自転車のベルが聞こえたらどうするだろうか。私はそのまま歩き続ける。ほんの少しぐらいなら脇に寄るかも知れないが、少なくとも歩道から出て道を譲るようなことはしない。なぜなら歩道の優先権は歩行者にあり、近付いていることを告知するためのベルなら合法だが、道を空けろという意味でのベルは違法だからだ。従って私は相手も道路交通法を知っているという前提で、極力左右にぶれないように気をつけて真っ直ぐに歩き続ける。私を追い抜く若い男の中には振り返る者もいる。「なぜ道を譲らないのか」とでも言いたげだ。しかし違法なのは彼であって私ではない。彼が私を咎めるのは全くお門違いだ。彼の不満は被害者の抵抗を非難する強盗のようなものであって理不尽だ。
 なぜこんなことになるのか。法律を知らないからだ。道路交通法を知らないから早い者に優先権があると思っているからだ。しかし仮に事故が起こった場合、責任は100%彼にある。法律を知らなかったという理由で免責されることは無い。
 私は彼に怒ろうとは思わない。彼の無知を哀れむ。悪いのは、ルールを教えない警察であり学校だ。あるいはこんな大切なことを学校で教えさせない文部科学省に対して怒るべきなのかも知れない。
 巷には情報が溢れ返っているのに法律を知らない人が多過ぎる。マスコミは下らない番組をもっと減らして啓蒙活動に取り組むべきだろう。

医療不信

2012-11-23 13:17:59 | Weblog
 科学が日進月歩であるように医療も進歩する。昨日まで常識だったことが否定されることは決して少なくない。
 この40年で生活は大きく変わった。テレビはブラウン管から液晶へ、電話は携帯へと変わり、パソコンは必需品になった。40年前のコンピュータはピアノほどの大きさで計算しかできない機械だった。電卓が発売されてもしばらくの間は算盤で検算したものだった。
 少なくとも家電については40年前の常識は役に立たない。食品も変わった。菓子は勿論のこと、野菜でさえチンゲンサイやモロヘイヤなどは昔は無かった。
 医療は余り変わらない。最先端の病院なら最新の情報を活用しているだろうが、町のヤブ医者は数十年前の学生時代の知識に頼っている。そんな古い知識さえ殆んど忘れて、良く言えば経験に、悪く言えばヤマ勘に頼っている。医師の免許は更新されないが、今、国家試験を受けたら不合格になるような医師が少なくなかろう。
 私が医療不信に陥ったのは2009年に「傷はぜったいに消毒するな」という新書を読んだことがきっかけだった。正直な話「そんな馬鹿な」と思った。しかしその後、それを支持する本が続出し、最近では少年マガジンの「Dr.デュオ」という漫画にまで登場した。完全に定説になっているようだ。
 常識が覆ったのならもっと騒がれても良かろう。マスコミは怪しげな健康情報を垂れ流すよりも覆った常識についてもっと時間を割くべきだろう。
 血圧・血糖値・コレステロール値も高いよりも低過ぎるほうが危険らしい。これらの誤った健康常識はいつになったら是正されるのだろうか。危険な民間療法が駆逐されないのは医療不信の表れだろう。この国の医療レベルは本当に先進国に相応しいと言えるのだろうか?