俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

科学とオカルト

2013-01-01 15:34:26 | Weblog
 科学はしばしばオカルト化する。科学の知識の乏しい人にとって科学は魔術と同じだ。科学の恩恵を受けている人の多くはその原理が分からないまま科学の成果を信じる。これは魔法を信じる野蛮人と同じ心理だ。
 大衆が科学を妄信するからインチキ科学者がトンデモ学説を流布させる。環境ホルモンとかダイオキシンとかいった大衆の知らない化学物質を採り上げてはその恐怖を騒ぎ立てる。CO2による地球温暖化など大半の科学者が眉唾物と思っているいい加減な仮説だが大衆は信じている。これでは新興宗教のようなものだ。
 日本は世界で唯一、牛の全頭検査を続けているがこのことにどれだけの意味があるのだろうか。狂牛病(BSE)に罹った日本人は一人しかいない。しかもその人はイギリスに1ヶ月滞在していた時期に感染した可能性が高い。BSEの検査費は総て消費者が負担させられているがこれは正当なものだろうか。
 インチキ預言者は魔除けを売って儲ける。しかし予言を信じた人が魔除けによるご利益を得た場合、魔除けが効いたと考えるよりも予言がデタラメだったと考えたほうが正しかろう。BSEの全頭検査もこの魔除けと同じようなものではないだろうか。
 科学に基く予測が占いと同レベルであってはならない。「地震の確率89.7%」と公表したなら検証されねばならない。「起こらなくて良かった。メデタシメデタシ」で済ませる訳には行かない。
 12月26日には国立がん研究センターが「清涼飲料水をほぼ毎日飲む女性は、ほとんど飲まない女性と比べて脳梗塞になる危険性が1.8倍高い」と発表した。これも27日付けの「デマ」で論破したとおり誤った統計データに基くガセネタだ。科学の名の元で嘘が罷り通っていることは嘆かわしい。

知は力

2013-01-01 15:01:35 | Weblog
 新年おめでとうございます。
 日頃ネガテブな記事が多いので初ブログぐらいはポジティブな記事を書こう。知が力になるということだ。
 国民年金の未納率が26.2%になったということについては12月26日付けの「自業自得」で書いたがこのことよりもずっと驚くべき事実があった。この未納者のうち8.6%の人が民間の年金保険に加入しているということだ。老後の生活を一層充実させるために、国民年金の加入者が更に民間の年金保険にも加入するのなら分かる。しかし最も有利な国民年金をボイコットして不利な民間保険に加入するとは正気の沙汰とは思えない。
 保険会社の年金保険は積み立てた保険料の運用益から企業の利益を差し引いた金額しか支払われない。一方、国民年金は積み立てと同額の税金が投じられて運用される。幾ら国の事業が非効率であろうとも資金が2倍も違えば勝負にならない。ではなぜこんな不合理な選択をする人がいるのだろうか。3つの事情が考えられる。
 1つ目は、早く死ぬ可能性があるということだ。遺族年金という複雑な制度もあるが、国民年金は基本的には死ぬまでしか受け取れない。従ってもし70歳で死ねばその時点で掛け捨てになる。一方、民間の保険なら死亡時に残額が返戻されるものが多い。
 2つ目は、国=悪、民=善と思い込んでいるからだ。これは全く偏見でしかない。公営だからこそ採算が合わない事業でも継続できる。
 3つ目が最も重要だ。それは国民年金に対する無知だ。テレビCMや保険勧誘員にたっぷりとお金を注ぎ込む民間保険とは違って国民年金の広報は地味だ。自分で調べようとしなければ誰も教えてくれない。
 無知であれば損をする。これは年金に限ったことではない。健康や法律や安全などについて知らなければ損をするのは自分でありその家族や仲間だ。正しい知識があっても正しい判断を下せるとは限らないが、正しい判断をするためには正しい知識が不可欠だ。知は力たり得る。