俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

使い捨て

2013-01-26 09:43:14 | Weblog
 贋物のエコ活動は沢山あるが「割り箸廃止」の活動ほど滑稽なものは少なかろう。彼らは「割り箸は森林を破壊する」と主張していた。
 こんな漫画を読んだことがある。大木を切り倒してから丁寧に削り続けること数時間。そして彼は叫ぶ「できた。これこそ究極の爪楊枝だ」。この漫画が滑稽なのはあり得ないほど無駄なことをしているからだ。絶対に誰もこんな無駄なことをしないと分かっているから笑える。
 割り箸廃止を主張する人はこんな常識を持ち合わせていないようだ。大木を切り刻んで割り箸を作ると思っているから「割り箸が森林を破壊する」と主張するのだろう。
 当り前の話だが、大木からはまず柱が作られる。多くの柱は四角だから次には四辺の周囲から4枚の大きな板が作られる。その後は小さな板や棒が取られ最後に残った木片が割り箸や爪楊枝になる。勿論、間伐材を使うこともあるが、いずれにせよ他に使いようの無い木片の有効活用だ。言わば「勿体ない」の実践だ。割り箸に反対する人は余った木片を燃料にせよと言いたいのだろうか。
 多分、彼らは「使い捨て」を総て悪い物と思い込んでいるのだろう。だから割り箸=使い捨て=資源の無駄遣いと考えるのだろう。しかしどうせ噛み付くのならむしろティッシュペーパーに噛み付くべきだっただろう。西洋人の多くはハンカチを使って鼻をかむ。日本人のように紙を使い捨てにはしない。ティッシュペーパーは良質な紙だからこれこそ悪しき使い捨てのシンボルに相応しい。なぜ彼らがティッシュペーパーやポケットティッシュではなく割り箸に噛み付いたのか私には理解できない。間違ったエコ活動は正しいエコ活動の邪魔をする。

発癌性

2013-01-26 09:19:50 | Weblog
 発癌性という言葉で一括りにされているがその有害性には大きな隔たりがある。かなり危険な発癌性物質としては石綿(アスベスト)やコールタールや放射線などが挙げられる。一方、発癌性が疑われる物質としては煙草・アルコール・太陽光・酸素・大半の食品などが挙げられる。
 中皮腫の原因とされる石綿や大阪などの印刷所で胆管癌を発症させたジクロロメタンは癌の原因物質だろう。これらには因果関係があると思える。
 一方、煙草・アルコール・太陽光などと癌が因果関係にあるとは思えない。余りにも例外が多過ぎるからだ。大半の癌は様々な要因が複合することによって起こっているのだから、これらを石綿などと同列に扱うことは不合理だ。発癌性ではなく誘癌性と捕らえるべきではないだろうか。
 IARC(国際癌研究機関)の「発癌性リスク」では煙草・アルコール・太陽光はコールタールや石綿などと共に最高ランクのグループ1であり、グループ2Aにはシフト勤務や「美容・理容に従事」などが挙げられ、グループ2Bにジクロロメタンやアジア式漬物やコーヒーなどが挙げられている。
 全く変なランク付けだと思いそうだがこれには訳がある。リスクとは危険性×確率だ。従って危険性がごく低くても巷に氾濫しているものは高リスクと評価されている。リスク=危険性という誤った認識を持っている人はコゲや漬物について危険だと騒ぐ。リスクと危険性の違いを理解していればこんな誤った主張はしない。生半可な知識は無知よりも有害だ。